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キリスト教徒と難民が製造 平和醸すレバノンワイン、糸島の会社が輸入へ

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赤ワイン「ダー・リヒ・ハナン」を手にワイン事業への思いを語る関根健次さん(17日、福岡県糸島市で)
赤ワイン「ダー・リヒ・ハナン」を手にワイン事業への思いを語る関根健次さん(17日、福岡県糸島市で)

 福岡県糸島市で映画配給・制作会社を経営する関根健次さん(45)が今夏から、宗教・宗派間の争いが続いてきたレバノンで、キリスト教徒とシリア難民のイスラム教徒が協力して造ったワインの輸入販売に乗り出す。売り上げの一部は難民支援団体に寄付する考えで、関根さんは「ワインを通じて平和を考えるきっかけにもなれば」と願っている。(東慶一郎)

 輸入するのは、レバノンにある「メルセルワイン」のワイン。ここでは、レバノン人でキリスト教徒のエディー・チャミさん(45)とシリア難民のイスラム教徒、アブダラ・リヒさん(44)が協力してワインを造っている。関根さんは昨夏にインターネットで見つけて以来、SNSでチャミさんと連絡を取っており、昨年11月に訪問した。

共にワイン造りをするエディー・チャミさん(左)とアブダラ・リヒさん(2021年11月、レバノンで)=関根さん撮影
共にワイン造りをするエディー・チャミさん(左)とアブダラ・リヒさん(2021年11月、レバノンで)=関根さん撮影

 レバノンは18の宗教・宗派が混在するモザイク国家で、歴史的に宗派間対立による紛争が繰り返されてきた。近年は内戦が続く隣国シリアから難民が多く逃れてきているが、チャミさんはワイナリーでシリア難民を積極的に雇用している。内戦下のレバノンからオーストラリアに渡った一家に生まれ、国籍や宗教を超えた友情を大切にしているからだ。同年代のリヒさんとは気が合う「兄弟のような関係」になったという。

 関根さんの大学時代の夢は、ワインの輸入会社を起業し、いずれはフランスでワイナリーを経営することだった。だが、大学卒業後の旅行でパレスチナ自治区ガザ地区を訪れ、パレスチナ人の子どもと接して考えが変わったという。「ユダヤ人に親類を殺された。大人になったら 復讐ふくしゅう する」と語る姿と、平和な日本に生まれ育った自分の夢とにギャップを感じ、「ワインは趣味の延長でしかない」と思わされた。「それ以外の仕事で人と人をつなぎ、世界の人々が平和に暮らすために役に立ちたい」と考え、映画配給会社「ユナイテッドピープル」を設立。これまでに戦争や環境、貧困など社会問題をテーマにした映画約60本を配給してきた。

 夢がよみがえったのは10年前。会社設立から10周年の記念イベントで、招待客が持って来た南アフリカ産のワイン「ニュービギニングス」と出会ったことがきっかけだった。ニュービギニングスは白人の農場主が黒人労働者に提供した土地で造られており、少数派の白人政権が多数派の黒人を差別したアパルトヘイト(人種隔離政策)の終わりを象徴するようなメッセージ性を持っていた。「平和」をテーマとしたワインの販売を手がけたいと考えるようになり、昨年9月、事業開始に踏み切った。

 関根さんは現在、メルセルワインから3種類約1500本を輸入する手続きを進めており、今年7月頃からの販売を目指している。輸入する3種類のうちの一つが、リヒさんの妻・ハナンさんの名前にちなんだ赤ワイン「ダー・リヒ・ハナン」。紹介するメルセルワインのカタログでは、リヒさんの経歴とともに「祖国シリアに戻り、自分のワイナリーを設立するという彼の夢の実現を応援します」との文章も添えられている。関根さんは「ぜひ日本でも多くの人たちに飲んでもらい、背景の物語を伝えていきたい」と話している。

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2787100 0 ニュース 2022/02/24 15:00:00 2022/02/24 13:00:32 2022/02/24 13:00:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/02/20220224-OYTNI50014-T.jpg?type=thumbnail
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