能登震源域周辺 ひずみ残る断層 専門家解析、M7や津波懸念

2024.3.3

 能登半島地震の震源域周辺に、あまり動いていない断層や、ひずみのたまった断層があり、今後もマグニチュード(M)7クラスの大きな地震や津波の発生が懸念されるとの解析を、東京大地震研究所の佐竹健治教授(地震学)や東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が2日までにまとめた。

能登半島周辺の断層
能登半島周辺の断層

 1月1日に最大震度7、M7・6を観測した後も周辺では地震が続いている。同9日には震源域の北東端付近でM6・1の地震があり、新潟県長岡市で震度5弱を観測した。佐竹氏は「(周辺で)さらに大きなM7クラスの地震が発生すると、佐渡島を含む新潟県沿岸で3メートル程度の津波が予想される」と注意を促す。能登半島地震の震源域は、半島を北東から南西に横断するように約150キロにわたって延び、北東端は佐渡島西方沖、南西端は半島の西方沖に及ぶ。複数の断層が連動したとみられている。
 佐竹氏は、1月1日に各地で観測された津波の波形を基に、今回の震源域と重なる七つの断層がどのようにずれ動いたかを分析。半島北側の沿岸部周辺にある四つの断層が1・2~4・1メートルずれ動いた一方、北東端の二つと南西端の一つはほとんど動いていないとの結果が出た。
 遠田氏は、震源域より広い範囲で、M7・6の地震発生前後に、断層にたまるひずみがどのように変化したかを計算。南西端付近の断層や、その延長に当たる石川県志賀町沖の断層、半島南部の同県かほく市から七尾市にかけて延びる「邑知潟(おうちがた)断層帯」などに、地震の影響でこれまで以上にひずみがたまり、ずれ動きやすくなっているとみている。遠田氏は「大きな地震が次にいつ起きるかは分からないが、これらの断層に力が加われば、発生が早まる可能性がある」と警鐘を鳴らす。
 気象庁は「2004年の新潟県中越地震(M6・8)や16年の熊本地震(M7・3)などで、最大の地震発生から数カ月後に大きな地震が起きたことがある」として、注意を呼びかけている。

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