挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】事故物件の幽霊ちゃん〜隣の部屋は事故物件かと思ったら可愛い女の子の幽霊が寂しそうだったので一緒に暮らすことにした件について〜 作者:津ヶ谷

第1章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
6/50

第6話 あなたの名前は?

 翌朝、私が目覚めると、女の子はまだ隣で眠っていた。

どうやら、昨日の出来事は夢では無かったらしい。


「んー、おはよう」


 私は、布団から起き上がる。

幽霊の女の子は、薄目を開けていた。


「……うん」


 女の子は、ぼーっとこちらを眺めてきた。

幽霊なのに、寝ぼけている。

人間と幽霊の差はいったい何なのだろうか。

こうして見ると、幽霊というよりも人間という印象を強く感じる。


「あっ、名前、なんて言うの?」


 女の子に朝ご飯を食べるか尋ねようとした時、私はこの子の名前を聞き忘れていたことに気づいた。

昨夜は、それより衝撃的な事が多すぎて、すっかり頭から抜けていた。


「んっ……あ、名前、わからない……」


 女の子は、眠い目をこすりながら言った。


「えっ!?」


 私は、驚いた表情をした。


「気づいたら、あそこにいて、何も記憶がない……」


 幽霊の女の子は、どこか悲し気で、遠くを見るような目をしていた。


「マジか」


 幽霊でも、記憶喪失になるのであろうか。


「……決める?」

「ん?」


 女の子は、不思議そうな表情を浮かべた。


「名前、決める……?」

「うん!!」


 幽霊の女の子は、すぐに笑顔に戻り力強く頷いた。


「ネット検索で適当に言うから、気に入ったのがあったら言ってね」


 そう言うと、私はスマホを取り出し、検索を始めた。


「わかった!!」


 女の子は、意気込んでいた。


「アリア、アミ、こころ、ことり、さくら、さら、スイ、チノ、ニノ、ほたる、マミ、よつば、……」


 私は、スマホで検索した結果を読み上げていく。

その間、女の子は、コクコクと頷いていた。


「んふぅー。覚えられなかった!」


 女の子は、何故か得意げに言った。


「なぜ、そんなに、自信ありげに……?」

「名前……」


 女の子が呟くような声で言った。


「え?」

「名前、なんて言うの?」


 女の子は、私の顔を一直線に見つめてきた。


「ああ、私の名前か!」


 そう言えば、まだ自分の名前も名乗っていなかった。

これでは、社会人として失格である。


「薫だよ。斉田薫さいだかおる


 私は、女の子に自分の名前を教えた。


「かおる……かおるに、決めて欲しい」


 女の子に上目遣いで見つめられた。


「私に!?」


 正直、自信は無かった。

私は、まだ27歳で子供も居ない。

もちろん、人に名前を付けてあげたことなんて無かった。


「私は無理だよ。したことないし。それこそ、命名師に頼むとか……」

「いいっ……かおるが、いい……!」


 女の子は、甘えたような目で、見つめてきた。

そんな目をされたら、嫌だとは言えない。

私は、真剣に悩んだ。


「んー。変なのでも、怒んないでね……」


 そう言うと、女の子の表情は、ぱーっと明るいものになった。

その期待された表情に、私の不安は高まるばかりであった。


いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けましたら幸いです!


少しでも「気になる」「面白い」「続きが読みたい」と思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると幸いです!

感想・ブクマも大歓迎!


どうぞよろしくお願いいたします!

  • ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。