資料公開
タイトル | 佛教大学仏教学会への申入書 |
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カテゴリ | その他 |
概要 |
私、馬場紀寿は、表題の件につき、下記の通り報告いたします。 1 2024年2月1日、私は、佛教大学仏教学会に対し、研究倫理上の問題に関する申し入れを致しました(以下のファイル欄より申入書をダウンロード可能)。ここに公開するとおり、それは『佛教大学仏教学会紀要』第21号(77頁~146頁)に掲載された清水俊史氏の論文「パーリ上座部における「小部」の成立と受容——結集と隠没の伝承を巡って——」に認められる研究倫理上の問題を指摘し、それへの対処をお願いしたものです。先行研究の訳文をわずかな語句を変更して自作の訳文のごとくに使用すること、また先行研究の着想、論証方法、データ及び結論に依拠しつつも独自の成果のごとくに論述を行うことは、研究倫理に著しく違背する行為です。そのため、次に発行される号の紀要において、しかるべき追補がなされるよう、佛教大学仏教学会に申し入れました。 2 清水俊史氏は、2023年12月に公刊された著作『ブッダという男――初期仏典を読みとく』(ちくま新書)の「あとがき」(p.219)において、私が同氏の著作の「出版妨害」をし、同氏に対し「さまざまな圧力」をかけたと述べています。しかし、そのような事実は一切ありません。上記1の紀要掲載論文における研究倫理上の問題を指摘したことについて、このように事実と甚だしく異なる形で公言がなされていることを極めて遺憾に思います。 学問研究は研究者間の生産的な協力と健全な競争によって進展し、その豊かな実りが社会の多くの人々の間で共有されるべきものと考えます。そこに必要なものが研究者各人の誠実さと研究者相互の信頼であり、それらを支えるのが公正な研究倫理です。学問の世界の自律と自浄の力が保持されることを願い、佛教大学仏教学会がこの問題に対して適切にご対応くださることを切に希望いたします。 2024年2月5日 東京大学東洋文化研究所教授 馬場紀寿 |
ファイル | 佛教大学仏教学会への申入書.pdf 1658 |
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