海自隊員自殺、国に責任 横浜地裁、いじめ原因と認定
2004年に海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」所属の1等海士(当時21)が自殺したのは先輩隊員のいじめが原因で、上官らも黙認していたとして、遺族が国と元2等海曹(40)=懲戒免職=に計約1億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(水野邦夫裁判長)は26日、国と元2等海曹に計440万円の支払いを命じた。
元2等海曹の暴行や恐喝などが自殺につながったと認定、国の責任も認めたが、自殺することまでは予見できなかったと判断した。
水野裁判長は判決理由で、「元2等海曹から受けた暴行などの仕打ちが自殺の重要な原因となったことは優に推認できる」と認定。当時の分隊長ら上官3人も「規律違反行為を認識しながら、何らの措置も講じず、指導監督義務を怠った」と述べた。
一方で「元2等海曹や分隊長らが、自殺することまで予見することができたとは認められない」と言及。暴行などの精神的苦痛に対する慰謝料について賠償責任を負うとし、死亡に対する賠償までは認めなかった。
判決によると、1等海士は03年12月、横須賀基地のたちかぜに配属。元2等海曹から殴られたり、エアガンで撃たれたりしたほか、アダルトビデオを高額で買い取らされるなど、繰り返しいじめを受けた。04年10月に東京都内で電車に飛び込み自殺。06年4月、遺族が提訴した。
判決を受け、亡くなった1等海士の母親(56)と原告弁護団は26日、横浜市中区で記者会見し、「国と個人の両方の責任を認めたのは評価するが、予見可能性のハードルが高すぎて不当」として、控訴する方針を明らかにした。
防衛省の杉本正彦海上幕僚長の話 判決については概要の報告を受けているが、判決文を見ていないので、現時点においてコメントは差し控える。