わっしはシカゴに向かうところ。
メキシコ空港のなかです。
クエルナバカで知り合ったひとたちが開いてくれたパーティは楽しかったが 、わっしはいつものように飲み過ぎた。頭が自爆しとる。テキーラをひとりで一本飲んだバカ旅行者を見たのは初めてだとウエイトレスのねーちゃんに言われた。すすめられるままに食べ物をいろいろ食った。なんの肉かとか材料がなんだかとかはごく初期の段階から酔っぱらっておったので、ちょっともわからん。途中で一皿中華料理のくらげみたいなのがあっておいしかったので、なんなのか訊いたらなんかの胃袋だと言われたのはおぼえてるが。それから誰かが「家にチリの良いワインがあるから遊びにおいでよ」というので真夜中であったが遊びに行った。それから、また飲んだが何をどういうふうに飲んだか記憶がない。なあーんにも、おぼえてない。
酒を飲んだときにこーゆー症状を呈するヒトを「アル中」と言います。
ワイン(赤)を高そうな絨毯(おおむね白)の上にひっくり返して「こりゃ、やべえな」と思ったのはおぼえているけど、みんなで笑って許してくれたので、またそこから記憶がなくなった。
それでも朝になると戻るべきベッドに戻って眼がさめるのだから酔っぱらいというのは不思議な生き物です。わしは、テレポートしたのか?
わっしはぶっこわれた頭がぐらぐらするのに必死こいて耐えてシャワーを浴びて荷造りをしてタクシーを呼びます。それで、お手伝いのおばちゃんに挨拶してから、門扉をがちゃんと閉めると門の外に立ってタクシーを待った。タクシーで、むかしカジノがあって、それをアメリカ人が買収してスーパーのコスコ(Costco)やなんかをぶったてたので怒ったメキシコ人が武装蜂起して激しく戦ったカジノ跡地に乗り場があるプルマンバス(http://www.pullman.com.mx/)で空港に行くのだ。
お友達たちに出発時間を何回か訊かれたが、かしこいわっしは笑って答えなかった。
誰にも教えてやらんかった。
だって万が一ここで新しく出来たお友達が来てしまってごらんなさいよ。
わっしはバカまるだしで泣いてしまうに違いないではないか。
きっと3マイル四方くらいのひとがみんな外に飛び出してくるくらいのでかい声で泣くぞ、わっしは。
そんな間抜けなことになったら、かーちゃんに会わす顔がない。
かーちゃんは常に息子はハードボイルドな人生を生きることを願っているのだ。
メキシコは天国のような国だ。そこここに色彩があふれていてまるで国民全体が芸術家であるかのようです。どこに行っても音楽が流れてる。それもライブでっせ、ライブ。
人間がものすごく親切であって、なんというか感情がいっぱいあって感傷的なところもいっぱいある。すぐでっかいハグをくれる。すぐ眼に涙をいっぱいためる。たった3時間話しただけで別れを惜しんで泣いてくれるひとたちというのは、わっしには嫌いになりようがない。
ビンボーなひとたちが住んでいる通りですら、歩きながら(にらんでいるニイチャンがいっぱいいるからコワイけどな)よく見ると、 コンクリの破片や石ころや錆びた釘まで使って壁面いっぱいに装飾がある。わっしは、わっしと同じくらいむさくるしいニイチャンが軒先でタイヤを抱え込むようにして何か一生懸命やっているのを見て好奇心に勝てなくなった。こーゆーことをすると、ナイフで刺されるかな?とちょっと思ったけど、近寄っていって「何してるの?」と訊いてみると、ニイチャン、「うるせえな」と言う顔でボーズになってつるつるりんのタイヤの表面を指さします。
次の瞬間、アミーゴ、わっしはめちゃくちゃ感動したぞ。
このぶーたれたニーチャンはタイヤの表面いっぱいに彫刻を彫っておったのだ。
マヤ風の美しい曲線がぼろいタイヤの表面をぎっしり埋めている。
にーちゃんの仕事は交差点に立ってくるまを運転しているひとたちにお菓子を売ることだそうだが、今日は暇なのでタイヤを彫刻しておる。
なんという文明度の高さだろう。
わっしなどは足下にも及ばない。
叔父の命令でメキシコに長くいられない我が身がうらめしい。
もっと、いたいよぉー。
退屈で、わっしにも劣るぽんぽこりん頭のアメリカ人がいっぱいいるシカゴなんか行きたくねえ。
と言いながら、搭乗時間が迫ったゲートにすごすご向かうわっし。
ちょー残念。
画像は、昨晩お別れのパーティが終わったあと出口までやってきてくれて、「また来いよ、この酔っぱらい!」と叫んででっかいキスをぶちゅっとくれたレストランのウエイトレスのねーちゃん。
(この記事は2008年1月に旧ブログに掲載された記事の再掲です)
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