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●科学技術ニュース●分子科学研究所、国産初となる冷却原子方式量子コンピュータ開発へ向け10社と連携

2024-02-28 09:45:03 |    情報工学
 分子科学研究所(分子研)は、大森賢治教授が主導する研究グループの成果を用いた量子コンピュータ開発を目指して「事業化検討プラットフォーム」(PF)を設立し、企業や金融機関など10社の参画を得て事業化に向けた活動を始めた。

 同PFへの参画企業はblueqat株式会社(東京都渋谷区)、株式会社日本政策投資銀行(東京都千代田区、DBJ)、富士通株式会社(東京都港区)、株式会社グルーヴノーツ(福岡県福岡市)、浜松ホトニクス株式会社(静岡県浜松市)、株式会社日立製作所(東京都千代田区)、日本電気株式会社 (東京都港区、NEC)など計10社。
 
 同PFでは、スタートアップ設立、国産量子コンピュータ開発、量子コンピュータの実用化研究やサービス展開といった事業化にかかわる事項について、参画各社の強みを生かした助言や支援を得る予定。

 スタートアップは、2024年度中に設立し、「冷却原子(中性原子)方式」の量子コンピュータ開発を始める計画。

 コンピューティング技術の応用領域拡大、人工知能(AI)ブーム、社会課題の複雑化などを背景に膨大な計算量を要する問題が増えており、従来型のコンピュータでは難しい領域で高速計算が可能な量子コンピュータの実用化が期待されている。
 
 量子コンピュータは世界中で様々な方式による開発競争が進んでいるが、実用化には規模の拡大、計算中に発生するエラーへの対策といった課題がある。

 これらの課題の克服を期待できる画期的な新方式として近年、急速に世界の産学官で注目が高まっているのが、原子1個1個を量子ビットとして用いる「冷却原子(中性原子)方式」であり、室温で動作し冷凍機を必要としない点も冷却原子(中性原子)方式の特長の一つ。
 
 分子研の大森研究室はこの冷却原子(中性原子)方式の量子コンピュータ開発で世界をリードしている。

 計算に用いる高品質な「量子ビット」を平面上で多数制御する「光ピンセット」技術と顕微鏡技術、そして超高速レーザーを使って僅か6.5ナノ秒で2つの量子ビット間に「量子もつれ」を生じさせる「超高速2量子ビットゲート」技術など、多数の技術優位やコアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる技術)を有する。
 
 特に2量子ビットゲートは量子コンピュータの並外れた計算速度の源泉となる重要な中核技術。大森研究室の超高速2量子ビットゲートは、2022年に従来の冷却原子(中性原子)方式の2量子ビットゲートを一気に2桁加速する非連続的なイノベーションを達成した。
 
 これら大森研究室の数々の技術優位とコアコンピタンスを活かして、実用的な量子コンピュータを早期に実現するため、産業界と連携した実機開発、実用化体制を築く。<分子科学研究所(分子研)>
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