経済安保情報に新資格創設 保護活用法案を閣議決定

2024.2.27

 政府は27日、経済安全保障に関する機密情報の管理を強化するための新法案「重要経済安保情報保護・活用法案」を閣議決定した。国が保有する経済安保情報の取り扱いを有資格者に限定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の創設が柱。漏えいには最長5年の拘禁刑か500万円の罰金を科し、機密保全を徹底する。

重要経済安全保障情報保護・活用法案の主なポイント
重要経済安全保障情報保護・活用法案の主なポイント

 こうした機密保全の枠組みは防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野を対象に特定秘密保護法で定められているが、経済安保分野では明確な規定がなかった。既に導入済みの欧米各国と足並みをそろえ、当局間の情報共有や、関連技術を巡る企業の国際共同開発を円滑に進める。今国会に提出し成立を目指す。
 政府による恣意的な秘密指定や、適性評価の身辺調査に伴うプライバシー権の侵害を懸念する声もあり、そうした弊害を防げるかどうかが国会審議の論点となる。
 新法案では、漏えいすると国の安保に支障を与える恐れがあるため秘匿すべき情報を「重要経済安保情報」に指定する。先端技術や重要インフラ、サイバー攻撃対策などの情報を想定している。指定期間は5年だが、通算30年まで延長でき、内閣の承認があればさらなる延長も可能とする。
 情報の取り扱い資格を審査する適性評価は公務員や研究者、企業の従業員らを対象とする。本人の同意を前提に犯罪歴や飲酒の節度、配偶者の国籍などの調査を行って資格付与を判断する。
 企業の従業員が、業務に関連して重要情報を漏えいしたり不正取得したりした場合は、本人に加え、所属企業にも罰金刑を科す。

 セキュリティー・クリアランス 秘匿すべき国の情報へのアクセス権限を有資格者に限定する制度。英語で「Security Clearance」と表記し「適性評価」などと訳される。日本では防衛や外交など4分野を対象とした2014年施行の特定秘密保護法で導入済み。欧米では経済安全保障分野でも整備されている。保全する国家機密を指定した上で、身辺調査に基づいて対象者への資格付与を判断。情報漏えいには罰則を科す一連の枠組みにより情報管理を徹底する。

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