空飛ぶバイク(ホバーバイク)は、ガソリンと電気を使用し、備えられた6つのプロペラを回して浮上する仕組みだ。
仕様書などによると、最高速度は時速80キロに達し、最長でおよそ40分間飛行することができる。
価格は7700万円と高額だったが、2021年の秋頃には一般の顧客向けの販売も始まっていた。
用途としては、ショーなどのエンターテインメントだけでなく、災害時に車で行けない場所に向かうことや、貨物の輸送などにも期待されていた。
「自由に空を飛び、街を行き交う」。これまでの交通手段の概念を大きく変える予感をもたらす技術に、国内外から50億円を超える投資が集まった。
さらに国や自治体も次々にA.L.I.への協力や支援を表明。
国土交通省が7000万円近くの事業を発注するなど、見た目には順調そのものだった。
A.L.I.は、もともと東京大学で航空宇宙などを研究していた学生が中心になって設立されドローンなどの開発を行っていたが、その後、経営者が替わり規模を拡大していく。
なかでも空飛ぶバイクが発表されると大きな話題となり、会社の評価額はわずか5年で当初の71倍、210億円を超えた(STARTUP DB調べ)。一躍、有名なスタートアップとして、脚光を浴びることになったのだ。当時の資料によると、出資していた会社のなかには、京セラや三菱電機など有名企業も多く含まれていた。
空を飛ぶ新しい乗り物については海外も含めて開発競争が行われていて、まさにこれから大きな飛躍が期待されている…はずだった。