USA製のブティックギターは、オクターブが合わないというご相談でした。
09-42ゲージでかなりローアクションなセッティングにもかかわらず、6弦サドルを目いっぱい後方に移動させても、音程がかなりシャープしています。
この感じだとバネを外してギリギリですが、10ゲージの弦には絶対に対応が出来ません。
計測してみると、ネックとブリッジの距離が、適切な位置より3~4ミリ近い状態でした。
何故こんなことに・・・。
対応方法としては、ブリッジを動かすか、ネックを動かすかなんですが、リペア痕が分かりにくい後者を選択することに。
まずはネックをヘッド側に動かす分出来る隙間を埋めるスペーサーの作成をします。
テレキャスターのようにネックエンドがまっすぐであればそれほど難しいものではありませんが、このギターはストラトのようにカーブ状になっています。
つまりR130mmくらいのカーブ形状の、3.5mm厚のスペーサーを製作する必要がありますが、手作業ではなかなか困難な形状です。
それほど強度が必要な部分では無く、またツバ出しネックで最終的には殆ど見えないため、今回は3Dプリンターでスペーサーを射出することにしました。
データを作成してからものが出来上がるまで、1時間もかかりません。便利な世の中です。
出来上がったスペーサーは軽く研磨を入れ、見える部分はボディに似たカラーで着色をしました。
このスペーサーさえバッチリ決まれば、あとはネック側の元穴を一度埋め、新しい位置に開けなおすだけです。
このメーカーさんはネックの横ズレ防止のために、ボディとネックにまたがるようアルミパイプが装着されていましたので、その機構もしっかりと移設しています。
ネックを組み直し、弦張りセットアップ後は、とても自然なサドル位置におさまりました(画像4枚目、右側が作業後です)。
外見上は加工痕も全く分かりません。もちろんギターのピッチ感は、とても気持ち良くなりました。
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