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#イスラエルに寄り添います

【対談】ガザ関連報道にまつわる10の嘘(前編)

by ISRAERU 編集部 |2023年12月19日

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ハマスとイスラエルの戦争に関する報道について、多くの情報が交錯しています。日本の報道は特に偏向的であり、中には真偽があやふやなものや、フェイク情報も多く含まれています。こうした報道の状況が、今回のイスラエルーハマス戦争に対する理解を妨げていると感じている方も多いのではないでしょうか。


田中マコトさん(左)とアリさん(右)

そこで今回は、ユダヤ人の民族の歴史、宗教や文化などについてわかりやすい解説動画を日本語で発信しているYoutubeチャンネル「懸けはシオン」のアリさんに、ガザ関連報道に関する疑問や嘘について、また日本にも影響を与える可能背がある中東問題について詳しく解説していただきました。聞き手は、ユダヤ文化とイスラエルの素晴らしさを伝える活動をしている漫画家の田中マコトさん。お二人は過去に、動画シリーズ漫画でコラボレーションを実現しています。


「イスラエルはガザを占領している」という嘘

日本では、イスラエルが「パレスチナ」を占領していると、大虐殺を正当化するような論調の報道が散見されます。


これは全くの嘘です。「西岸地区」にあるイスラエルの町々は、「植民地」の定義には当てはまらないことは国際法の専門家も証明しています。そもそも、その地区に対して所有権を主張できる他国が存在しないため、国際法の侵害に当たりません。


歴史を振り返ってみると、ユダヤ民族は約3300年前から千年間以上にわたり、現在のイスラエルのある土地で国家を築いていました。これを証明する考古学的遺跡や史料は山ほどあるため、ここでは触れません。エルサレムの「Supreme Muslim Council(イスラム最高評議会)」が1925年に出版した冊子には、エルサレム神殿に「ソロモン神殿」(つまりユダヤ教第一神殿)があったことは疑いようのない事実であると、ヒトラーと手を組んだアラブ人、ハーッジ・アミーン・アル=フサイニーにより書かれています。約2000年前のユダヤ人離散以降も、少なくとも数千人のユダヤ人がイスラエルに残りましたが、殆どは離散してしまいました。


現在のイスラエルにあたる地域は、ユダヤ人離散後いくつかの帝国の支配下にありましたが、独立した国が存在したことは一度もありません。第一次世界大戦でイギリスに割譲されるまでは、オスマン帝国の支配下のアル・シャムス、いわゆる大シリアの一部に過ぎませんでした。「パレスチナ民族」という民族は存在しませんし、イギリスの支配下ではユダヤ人もアラブ人も両方「パレスチナ人」と呼ばれていました。


1915年のフセイン・マクマホン協定では「パレスチナ」という呼称は使われてすらいませんし、マクマホンは「イギリスはイスラエルの土地をアラブ人に渡す約束はしていない」という点を後程強調しています。1917年のバルフォア宣言では、歴史的な所有権を認めながらユダヤ国家を建てると約束されており、また1920年のサンレモ会議では、国際連盟がイスラエル全土でユダヤ国家を建てることが公式に決議されました。


嘆きの壁は、ユダヤ教第二神殿の西壁にあたる

1947年のパレスチナ分割決議に対しては、アラブ諸国が決議を拒否して戦争を仕掛けて、ガザ地区や西岸地区と呼ばれる地域がエジプトやヨルダンに違法に占領されました。ですから、1967年にイスラエルがそれらの地域を解放したのが真実であり、占領したというのは詭弁です。


また、パレスチナ人のテロ行為は「占領」への反抗ではないことを、1929年のヘブロン大虐殺が証明しています。一日で67人のユダヤ人がヘブロンで大虐殺され、10月7日の大虐殺と全く同じように、被害者はレイプされ、拷問され、首や腕が切断され、赤ちゃんがオーブンで生きたまま焼き殺されました。


1929年には現在言われているような「占領」問題はなく、イスラエルすらなく、「パレスチナ人」というアイデンティティもありませんでした。つまり大虐殺は、イスラエルにユダヤ人が帰還して、どんな形でも再び国を持つことへの宗教的な反対が原因です。イスラム教の「置換神学」(イスラム教はユダヤ教とキリスト教を置き換えるものであり、ムスリム達はそれらの教徒達に打ち勝つはずであるという信念)を覆す史実ですから、彼らはイスラエルを認めることができないのです。


「ガザでの取材は中立的に行われている」という嘘

この戦争が始まってから日本のメディアはガザに入っていません。メディアがガザで取材するには、誰の許可が必要でどういった経緯で公開が出来るのでしょうか?


普段であれば、プレスカードを持っている外国人の記者は、イスラエル側のエレズ検問所から自由にガザ地区に入ることができます。しかしイスラエル人は危険回避のため、記者であろうとガザ地区に入ることは禁止されています。


現時点ではガザ地区は戦場となっていて、危険であるため記者はほとんど入ることができません。イスラエル国防軍が、比較的安全な場所に外国の記者(FOXニュースABCニュースCNN、記者・作家のダグラス・マリー氏など)を入らせたことはあります。 


以下の動画のように、以前ガザを取材したことのある日本の記者は、極端にパレスチナ寄りの報道をすることが多いと感じます。



このような内容が、美談として取り扱われていることに驚いています。子供に兵士の訓練をさせ、テロリストとして育てること、つまり「少年兵」は国際人道法によって禁止されているからです。


この動画で涙ながらに復讐を語る13歳の子供の父親は、テロリスト集団 ”イスラム聖戦” の「ロケット弾部隊」の準指揮官だったアブ・ダッカという人物です。イスラム聖戦は先日、イスラエルの市民を狙って 1,000発以上のロケット弾を発射して戦争を仕掛けましたが、その戦闘の最中にアブ・ダッカは殺害されました。


ちなみに、ハマスの「検閲」は大変厳しいことで知られています。ハマスを非難する記者は危険な目に遭い、少なくともガザに記者として戻ることは出来なくなります。例えば、2007年にハマスがガザ地区の実効支配を開始した時は、ライバルであるファタハのメンバーや、同性愛者がビルの屋上から突き落とされました。ガザの報道に関わる者なら、ハマスを非難する記者はどうなるか皆良く分かっています。


ハマスの報復が怖くて、ハマス寄りの報道をするメディアが多いということでしょうか?


残念ながら、自らの意志でハマス寄りの報道をしているメディアも散見されます。例えば、AP通信やロイター通信、CNN、ニューヨーク・タイムズなどが雇っていたガザの写真記者達が、10月7日の大虐殺に積極的に参加していたことが「HonestReporting」により暴露されています。(関連記事1記事2


彼らはテロリスト達と共にイスラエルに侵入し、大虐殺を撮影していました。その記者のひとり、Hassan Eslaiah という人物は大虐殺へ参加した時に、手榴弾を持っている動画をFacebookに公開しました。また、ハマスのガザ地区の軍事部門のトップのひとり、ヤヒヤ・シンワールと抱きあっている写真も見つかっています。


つまり、外国の記者達はハマスに操られているのみならず、ハマスと手を組んでいるテロリスト達を雇って、自らハマスのプロパガンダを配信しているということです。日本でも、メディアがテロリストと協力している可能性があることに注意すべきでしょう。


CNN、ニューヨーク・タイムズなどが雇っていたガザの写真記者が手榴弾を持っている動画を公開


「ガザの人たちは監獄のような環境で暮らしている」という嘘

日本ではガザの事を「天井のない監獄」と呼ぶメディアが多数ありますが(例1例2)、これは本当なのでしょうか?海外のメディアでも同じように表現されるのでしょうか?


海外のメディアでもこの言葉は使われていますが、これは元々パレスチナのプロパガンダであり、真実ではありません。イスラエル政府は、以前からガザの労働者にイスラエルへの入国許可書を与えてきました。前のベネット・ラピード政権下ではその許可書が極端に増やされ、その数は1万8千人にも上りました。


そして、許可を得て入国した労働者達がこれを悪用して、大虐殺の対象となった地域に関する情報を集めてハマスに渡したのです。中には情報を渡すだけではなく、大虐殺に積極的に参加した労働者たちもいたようです。ですから、ガザの人々を自由にイスラエルに出入りさせるのは自殺行為であることは明白であり、今回の大虐殺により、より強固な警備体制の必要性が証明されました。


ガザ地区では2006年に、選挙によりハマスが選ばれましたが、ハマスの憲章にはイスラエルの破壊、つまりユダヤ人のジェノサイドという目的が明記されており、これまでも何度も攻撃を繰り返してきました。テロ組織が支配する地区を包囲するのは当然ではないでしょうか?


イスラエル側から以外では、ガザからラファ検問所を通してエジプトに入ることが出来ます。ガザを出るのにはハマスの許可が必要であり、エジプトに入るのにエジプトの許可が必要です。ガザ地区の水や電気は主にイスラエルではなくエジプトから供給されています。イスラエルを敵とみなすテロリストが住む土地に、ライフラインを提供する義務をイスラエルは負いません。


2015年9月18日、ガザ地区南部のラファでエジプト軍がガザとエジプトの国境の下に掘られた密輸トンネルを水没させた後に、被害状況を調べているパレスチナ人(Abed Rahim Khatib/ Flash90、出典:The Times of Israel

ですから、ガザを「天井のない監獄」と呼ぶのであれば、看守はイスラエルではなく、ハマスとエジプトだと言えます。因みに、エジプトが2015年にガザ地区の南部を占領して、軍事力を行使して何千件もの家を破壊し、数多くのガザ市民を難民にさせて 1kmの緩衝地帯を作った時は、国際的な非難は全くありませんでした。


それでもガザは、「監獄」なんかじゃありません。多くの映像が証明するように、ガザ地区には大金持ちが沢山いて、別荘や高級車も珍しくありません。例えば、2015年8月23日に、「ワシントン・ポスト」がガザで贅沢な生活を送っている人々の現実を紹介する記事を掲載しました。この記事によると、2007年にハマスが支配をはじめた時には10万人の中流階級が贅沢な生活を送っていて、ハマスの影響によりその人数は減ってはいましたが、最近贅沢な生活が再び復興しはじめていたそうです。


問題は富の分配です。ハマスのリーダーたちは、汚職にまみれています。彼らは国際援助をかすめ取り、主にカタールに住んで優雅な生活を送っています。例えば、幹部のひとりであるハーリド・マシャアルの資産は50億ドルにものぼるそうです。


「イスラエル軍は病院や学校を標的にしている」という嘘

日本では、シファ病院の地下にトンネルがあるとするイスラエルの主張に対し、「病院への攻撃を正当化する事への狙い」と報じるメディアもあります。


仰る通り、シファ病院の地下にはハマスの本部があります。ハマス幹部自身が、地下にある攻撃トンネルの存在をインタビューで明らかにしていることもあり、このことはずっと前から広く知られていました。例えば2014年7月には、シファ病院を訪ねた「ワシントン・ポスト」の記者が、病院が「ハマスのリーダー達の実質上の本部になっている」と報告しています。


2006年にPBSが作った病院に関するドキュメンタリー映像では、銃を持ったテロリスト達が病院を管理していて、いくつかの場所は立ち入りが禁止されており状態が見てとれました。反イスラエルの立場を取る「国際アムネスティ」ですら、2015年にハマスがガザ市民を収容し拷問するためにシファ病院を利用していたと報告しました。


シファ病院群の地下10メートルで長さ55メートルの地下トンネルが発見されたことを報じる動画


上の動画は、最近イスラエルが病院を征した時に暴露された地下本部の様子です。病院からは多くの武器が見つかり、地下に大きなトンネルのネットワークが発見され、病院のカメラではハマスが他の病院を経由して人質をシファ病院に連れてきたことが判っています。


「イスラエル軍はガザ市民を無差別攻撃している」という嘘

双方の死者数を並べて比較する報道が日本でも繰り返されています。イスラエルの攻撃は一般市民に対する「無差別攻撃」といわれますが、これは本当ですか?


これも嘘です。イスラエル国防軍はガザ市民に向けて、北ガザ地区の戦闘地域から避難するようにアラビア語で警告を繰り返し配信したり、避難ルートを作ったりと民間人を護る努力を最大限に講じています。


そもそも、一体死者の数が何人だったら多過ぎるという判断になるのでしょうか?これは国際法によって定められており、「比例原則」と呼ばれます。これは、達成されるべき目的とそのために取られる手段としての権利・利益の制約との間に均衡を要求する原則ですが、マスコミにおいてはこの言葉がしばしば間違った解釈のもと、イスラエルを責める目的で使われがちです。


国際法を調べてみると、イスラエルの攻撃が無差別攻撃と呼ばれるものではないことが分かります。例えば、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書の第五十一条5Bには「無差別」攻撃の定義があり、「予期される具体的かつ直接的な軍事的利益との比較において、巻き添えによる文民の死亡、文民の傷害、民用物の損傷又はこれらの複合した事態を過度に引き起こすことが予測される攻撃」とされています。


国際刑事裁判所に関するローマ規程の第八条2B(iv)も同様に「戦争犯罪」を「予期される具体的かつ直接的な軍事的利益全体との比較において、攻撃が、巻き添えによる文民の死亡若しくは傷害、民用物の損傷又は自然環境に対する広範、長期的かつ深刻な損害であって、明らかに過度となり得るものを引き起こすことを認識しながら故意に攻撃すること」と定義しています。


つまり、死者が多過ぎるか多過ぎないかは「軍事的利益」により判断されるのです。第二次世界大戦では、イギリスとアメリカがナチスを倒すためにドレスデン爆撃を行い、およそ2万5千人~25万人のドイツ人市民が亡くなりました。今イスラエルが戦っている戦争の目標は、市民を人間の盾として使っているテロ組織ハマスの打倒、そしてガザ地区からのテロ脅威の排除であり、イスラエル軍はこの複雑な目標を「比例原則」に従いながら果たそうとしています。


(後編に続く)