「ショック・ドクトリン」に過ぎない
ショック・ドクトリンという言葉がある。大災害の発生後などの危機的状況を、既存のシステムを変えてしまう絶好のチャンスととらえ、新自由主義的な改革など国民にとって不利益となるような政策を一気に進めてしまうことを指す。
コオロギ食や培養肉はまさにショック・ドクトリンであり、既存の農業を破壊し、グローバル企業が取ってかわるための手段として使われている。
地域コミュニティ、伝統文化を破壊し、結果として一部の企業だけが儲かるなら、まさに「いまだけ、金だけ、自分だけ」ではないか。
投資家向けに煽られているだけ
そもそもフードテックが本当に効果的かどうかは疑問が残る。培養肉は通常の食用肉よりコストが高い。結局、自然環境で太陽の光を浴びて育った肉のほうが安くつく。
同じことは植物工場にも言える。植物工場では、ビルの中に畑を作り、水や栄養を管理し、LED照明で作物を育てるが、工場の維持費や電気代のせいで、価格も高くなってしまう。
ただ、新しいビジネスであるのはたしかであり、投資家向けに「これからはフードテックだ」とさんざん煽られている。日本政府はこれを鵜呑みにしているわけだ。
現在の世界経済はまさしく「株主資本主義」だ。株価さえ吊り上げられれば、本当に有望なビジネスなのか、環境対策として効果があるかどうかは二の次、三の次となりがちだ。その視点でさまざまな情報が流され、政治家や官僚に対しても売り込みが行われる。
その結果、国民にとって本当にいい政策よりも、まるで中身のないビジネスに多額の予算が投じられる、ということが起きる。
人の命や健康より、企業が儲かることが優先されているのだ。
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