「セクシー田中さん」問題、漫画ビジネスの転機に
編集委員 石鍋仁美
ドラマ「セクシー田中さん」を巡り、日本テレビ放送網が制作の経緯を調査するチームを立ち上げると発表した。同作は終盤、予定を変更し原作者の漫画家自身が脚本を執筆し、後に遺書のようなものを残し亡くなった。これを機に漫画家らから原作者の権利や作品の扱われ方を巡り発言が相次ぎ、メディアミックスビジネスの裏面が明るみに出つつある。日本がこれまで育んできた漫画文化やエンテーテインメントのビジネスモデルは転機を...
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(更新)- 福井健策骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士分析・考察
今回の事件の内実は、存じ上げないのでコメントは控えますね。その上でコンテンツ契約を専門にする立場から言えば、この記事は拝見した中では非常に深く、また現場の現実を踏まえた、多層的な考察です。 契約は、口頭でも相互の合意があれば成立します。つまり契約がないということはあり得ない。大事なのは、①いざとなれば引き返せるだけの時間のゆとりをもって、②段階的に互いの考えをすり合わせ、③議事メモでもメールでも良いからしっかり残しながら進んで行くことですね。 無論、契約とマーケティングに重きを置きすぎ、結果、冒険的な企画が成立しにくいハリウッド式が正解とは限らない。世界が愛する日本の良さを残しながら、です。
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(更新) - 青木慎一日本経済新聞社 編集委員ひとこと解説
この問題で気になっているのは、原作者の権利である「著作者人格権」の扱いです。原作者が承諾しない限り、作品の内容は改変できないもので、著作権法に定められた強い権利です。契約書にどこまで書き込んでいたのかは不明ですが、ドラマや映画をヒットさせるために原作者の権利を軽視した制作が常態化しているように感じます。構造的な問題を解決しないと、原作利用の映画やドラマ、アニメは成り立たないのではないでしょうか。
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