2024.02.23
# プロレス # アントニオ猪木

「異色の対決」はなぜ実現したのか…?猪木の愛弟子・藤原喜明が語った「TOBE滝沢秀明vs.アントニオ猪木」の真相

週刊現代 プロフィール

人生最後のピンフォール負け

ゴングが鳴ると、猪木はジャージにTシャツ姿ながら実際のプロレスと変わらぬ殺気でタッキーと相対する。マウントポジションからナックルの体勢に入り、女性ファンからは悲鳴が上がる。

慌ててレフェリー藤原が割って入りタッキーに加勢。藤原が猪木を羽交い締めにすると、タッキーがTシャツを破ったため、猪木はここから上半身裸となり、ますます現役さながらの雰囲気に。

しかし、最後は藤原のサポートを受けたタッキーが、抜群の運動能力でジャンピングエルボードロップを決めると、藤原が超高速でマットを3回叩いた。結果は3分57秒、体固めでタッキーが勝利。

猪木がレスラー人生最後にピンフォールを奪われた相手は、なんとタッキーだったのだ。

横浜アリーナの「力道山メモリアル」興行で実現した猪木vs滝沢秀明戦。藤原がレフェリーを務めた
 

「好きにやれ」…試合は全てアドリブだった

藤原――俺が猪木さんとジャニーズのアイドルとやる試合のレフェリーをやるなんて、事前には決まってなかったんだよ。

あの日、俺は第6試合に初代タイガーマスクとのシングルマッチが組まれていて(結果は藤原のレフェリーストップ勝ち)、自分の試合が終わって着替えてた時に猪木さんに呼ばれてさ、「おい、レフェリーやってくれ」って言われたんだ。それも猪木さんの試合が始まる5~6分前だよ。「どういうふうにやるんですか?」って聞いたら、「まあ、好きにやってくれ」って言うだけ(笑)。事前の打ち合わせなんかいっさいなしだよ。

全部アドリブで対応しなきゃいけなかったんだけど、考えてみたら当たり前なんだよ。闘いは闘いだからな。侍が斬り合いをする時に「◯時◯分から斬り合いをします。こういう手順でやりましょう」なんて言わねえだろ。いきなり始まるわけだ。そういうことだよ。

だから俺は「好きにやれ」って言われたから好きにやったんだよ。ただ、猪木さんがどういう考えでやっているかはちゃんと考え、その場でもしっかりと感じ取るようにした。

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