エゴイストがいく実力至上主義の教室   作:エビデンス海老天むす

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勉強会2

その日の夜、俺は綾小路と会っていた。

 

「よかった綾小路、無事だったのか。心配したぞ。……なんか疲れてないか?」

 

「ああ、すまん。少し兄妹喧嘩の仲裁役をしていたんだが……その話はあまり聞かないでほしい。」

 

「そうか…まぁ、なんだ……いい事あるって。それで、櫛田の件、どうなったんだ?」

 

「うーん、どこから話せばいいか…櫛田の胸を触ったことからか?」

 

「ブッッ、何言ってんだよ!お前。」

 

「待て待て、そこから指紋をとって襲われたと証言すると脅されたんだよ。」

 

ああ、そういう…

 

「そこから、堀北の話になった。嫌いならわざわざ関わる必要ないんじゃ無いかって。」

 

確かに……嫌いなのになんで関わろうとしたんだ?あんな陰口言うくらいなら堀北に拘る必要はないだろ…

 

「櫛田は、たとえ堀北のような人でも表向きは仲良くしたい。それが私の望む生き方。自分の存在意義を実感することができるって言ってた。」

 

「それは……櫛田のエゴなのか?」

 

「エゴ?そうだな…この考えは櫛田のエゴイズム…と言っても差し支えないと思うぞ?」

 

この学校にもいるんだな「エゴイスト」は……よし!

 

「決めたぞ綾小路。櫛田を仲間に引き入れよう。早速明日から引き入れる作戦に入るぞ。」

 

「即決だな。理由は?」

 

「そんなん簡単だよ。あいつがエゴイストだからだ。」

 

俺は櫛田を誘う作戦を綾小路に伝えてから部屋に戻り、ベットへ入った。

 

俺はブルーロックの出来事を思い出そうとする。

 

ここの世界じゃ未来のことだけど……俺は凛に負けたんだよな…運という一握りの可能性で……あれ?その後何してたっけ?待ち時間があったような…

 

ズキズキッ

考えると頭痛がする。いつもならここでやめてしまうが、今日こそは……

 

ダメか……この痛みがなくなれば思い出すと思ったんだがな…

 

 

 

 

次の日の放課後。今日は俺と櫛田は平田サイドでの勉強会。その前に1時間ほど須藤たちと勉強をしてからそっちに向かう予定だった。

 

「なぁ、潔。英語ってどうやって勉強すればいいんだ?単語はある程度やったんだが文章問題がさっぱりなんだよ……」

 

「俺も英語苦手なんだけどな…どこがわかんないんだ?」

 

「ここにあるisってなんだ?」

 

……須藤、相当重症だぞ…

 

「須藤、動詞って分かるか?」

 

「動詞?playなら書けるぞ!」

 

絶対 I play basketball だろ……

 

くっそ、俺が凛みたいに英語ペラペラで話せたら……ん?なんでここで凛が出てくるんだ?

 

そこで俺は思い出す。世界選抜に対して凛が英語で対応している姿を。

 

!!!思い出した……

 

「なぁ、須藤。英語を頑張れるモチベーションがあるんだけどよ……」

 

「?急にどうした?」

 

「お前、海外の選手と話した事あるか?」

 

「見た事ならあるが話したことはねぇな。だから、急にどうしたんだよ。」

 

「考えてみろ。周りの仲間は英語を話せない中、お前1人が海外選手に対して英語で受け答えするの姿。めっちゃカッコよくないか?しかもこの学校は国が運営してるんだ。海外との親善試合とかもあるかも知れない、その場面は意外と近いかも知れないぞ。」

 

「……確かに…クソカッケェ…うぉおおっし!やるぞぉぉおおおお」

 

よし、とりあえず1教科。やる気を持たせることが大事!

 

 

そこからはみんなでそれぞれ1時間勉強し終わった。

 

「よし…俺と櫛田はそろそろ平田の開く勉強会に行く予定なんだがおまえらどうする?」

 

「俺はいいかな。あそこ、陽キャの集まりって感じであんまり好きじゃねぇんだよ」

 

「俺も〜」

 

多分、帰りたいんだろうな…まぁ、それもそうか。

 

「俺は残って行くぞ。綾小路、お前も残れ。英語教えろ。」

 

「………分かった。」

 

勉強会に行きたそうにしていた綾小路……すまん。

 

だが須藤の変化はとてもいいことだ。勉強のモチベーションがあればそれはいずれ、伝播して行く。

 

「おいおい、どうしちゃったんだよ。須藤そんなやる気出して、綾小路とだけ残るなんてみずくせぇな!俺も残って行くか!」

 

「櫛田。なんでもいいから池を誉めてくれ、そうすればやる気出すと思う。」コソッ

 

俺は櫛田にこっそりと指示を出した。櫛田は黙って頷いてくれた。

 

「池くんカッコいい!」

 

「だろだろ?やっぱ俺ってかっこいいんだよなぁ」

 

結局全員、俺たちがいなくても勉強をして行くようだ。俺と櫛田は図書館を出て、2人で廊下を歩いていた。

 

「櫛田、平田の所に行く前にちょっと行きたいところがあるんだがいいか?」

 

「?いいよ!どこに行くの?」

 

「櫛田もよく知ってるところさ。」

 

「……そう言えば潔くん。いつのまにか私のこと呼び捨てになってたよね。どうしてなの?」

 

「まぁ、心境の変化かな。さぁ、ついたぞ。」

 

「……こんな時間に屋上なんて空いてないよ?」

 

そう俺たちがいるのは屋上に続く階段。昨日、綾小路と俺が櫛田をつけた場所だ。

 

こっからが勝負だ。俺は緊張する心を落ち着かせる。

 

「昨日は随分この場所でお怒りだったな。」

 

その一言で櫛田の雰囲気が変わる。

 

「……あの根暗……話しやがったのか……」

 

根暗って……ひどい言われようだな。

 

「綾小路に教えてもらったわけじゃない。俺も昨日あの場にいたんだお前らは気づかなかったようだけどな。」

 

そうすると櫛田がバッと俺の手に向かって手を伸ばしてくる。その手にはスマホもある。証拠写真をとるつもりだろう。

俺はすぐさま後ろに後退し、櫛田と距離を取る。

 

「チッ」

 

「その手は綾小路から聞いている。引っ掛かりはしない。」

 

「さっき、綾小路くんに聞いてないって言ったのに嘘ついたのね。」

 

「毎日嘘ついて生きている櫛田に比べたら大したことじゃないだろ?」

 

また櫛田は舌打ちをする。

 

「いちいち癪に触るわね。で、なんの用なの?」

 

「俺に協力してほしい。報酬はもちろんポイントで支払う。」

 

「……何すればいいわけ?」

 

「これから先、クラス間での戦争が始まるはずだ。あらゆる学校行事やその裏でな。そう言った状況の時に俺に全面協力してほしい。」

 

「目的は?Aクラスになること?」

 

「それは言えない。だがAクラスになることが目的じゃない。」

 

「目的も知らず、黙って協力しろって事?」

 

「お互い、公には言えない秘密の一つや二つあるだろ?」

 

「………分かったわ。協力する。ここで断ったら不利になるのはこっちだし。」

 

「よし、決定だな。利用し合おう。お互いのエゴのために」

 

櫛田の雰囲気が元に戻る。

 

「じゃあ行こっか、みんなもう勉強会始めてるかな?」

 

「そうだな。少し急ごうぜ。」

 

この歪すぎる関係が、俺の自主退学の日まで続くことを願うか。

 

あ……自主退学のこと言ってなかった。まぁ、後で言っておこう。


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