「お、ひかりちゃん、学校どうしてる?」
神経内科のT先生が、変わらぬ人懐っこい笑顔で
迎えてくれました。
娘の白血病を最初に見つけてくれた先生。
入院中もなにかと気にかけてくれた先生。
小学校と大ゲンカした時は、担任が書いた連絡帳に
逐一ダメ出しして怒ってくれて、断固として子どもの
味方をしてくれた先生。
「いいんだよお、こういう子はさ、お家でゆっくり
自分のペースで勉強すればさ。」と、自宅学習を
すすめてくれた先生。
娘は、先生が白い紙を出すのを待ちかねたように
得意気に漢字を書き始める。
ここに書いたら即、住所がバレるような、ローカルな
駅名をズラズラズラズラ~っと書いてみせる。
「あれえ、すごいじゃん。電車好きだっけ?」
娘はケラケラと笑って「ひ、み、つー!」
「えー、なんか成長したなあー。こうやって大人を
おちょくるようになった。あはは。」
最近「ひ、み、つー!」が口癖の娘に代わって、
私が近況報告を。
午前中だけだけど、毎日休まず学校へ行けていること。
計算は速いこと。読書が好きなこと。
私の言葉に頷いて、先生はちょっと安心したみたいに
「……あのね、ボク、三月いっぱいでココやめるの。」
びっくりしている私たちに、先生はゆっくりと
「それでさあ。神経内科、もういいよ。
新しい先生には、引き継がない。
児童精神科とも繋がっているんでしょ?
もし、この先、どうしても何か困ったら……。
ちょっと遠いけどボクんとこ訪ねてきて。」
そう言って、他県の大きな病院を教えてくれました。
「これからさ、思春期くるよ。親に反発するよお。
でもね、それ、成長だから。
親にちゃんと甘えられてる証拠。
絶対、大丈夫だから。」
お世話になりました。と、頭を下げる。
娘は先生と大きく握手。
なんだかちょっと胸がいっぱいになって、
泣きたくなった。
遠い病院の先生を頼る事態は避けたいけど、
いつか、大人になった娘とご挨拶に伺います。
身長 122.3cm
体重 24.55kg