2023.10.08

【独自】債権回収で行方不明者も…SNSで話題の回収屋「釈迦憎」リーダーが初めて明かす「広島事件」「杉並事件」の真相

現代ビジネス編集部

僕らは張り込みだけ

「一方で、この事件で思い知らされたのは、キリトリはやはり現場で相手に挑発されることもあるので、トラブルが起きやすいということ。そのため債権回収の対象者と直接対峙するのはリスクが高いと判断してキリトリはやめることにした。ですが、その方針転換をする直前に依頼を受けたのが杉並の案件でした」(X氏)

釈迦憎グループがツイッター(現・X)で使用していたアイコン用画像。釈迦憎というネーミングの由来については「仲間と考えたものだが、詳細はいえない」(リーダーのX氏)という=X氏提供

X氏の説明によると、杉並の事件の経緯はこうだ。

昨年11月ごろ、今回の盗難被害者となる経営者男性と仮想通貨ビジネスをめぐってトラブルになっていたインフルエンサーの女性AさんにSNSを通じてコンタクトをとった。AさんはSNS上で詐欺被害を主張していたため、債権回収のビジネスにできると踏んだという。

「色々やりとりしてAさんから正式に依頼を受けました。Aさんによると、(経営者男性の)金庫には少なくとも2億円ぐらいはあるとの情報でした。昨年12月中旬から現場のマンションに3人一組の張り込みチームを送っていた。彼らは張り込みだけで、実際に回収を任せるのは別の部隊のつもりでした」

 

しかし、12月30日ごろまで週4日ほどのペースで断続的に約2週間張り込みをさせたが、ターゲットである経営者男性が姿を見せないと毎日報告を受けていたという。

事態が急変するのは正月明けだった。今年1月5日、オンラインメディアAERA dot.が《「杉並区のマンションで『4億円』の高額窃盗事件 被害男性が暗号資産のトラブルを告白 警視庁が捜査》との見出しで、それまで警察も発表していなかった高額窃盗事件の発生を独自に報道したのだ。

経営者男性側に取材した情報に基づいており、12月29日に事件が発生し、現金と金塊、コールドウォレットの仮想通貨で実質的に「4億円」が奪われたと主張していた。

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