【2024/2/29非公開予定】「宇宙世紀……じゃない? スパロボだ、コレ!?」   作:永島ひろあき

10 / 145
ゾイドの御意見ありがとうございました。
ゾイド好きの皆さんが想像をはるかに超えて多くいらっしゃって、半ばアンケートめいてしまったとはいえ感想が百件を超えるとか、ちょっと怖いくらいでした。
本家のゾイドからはかけ離れた設定になってしまいますが、ちょこちょこと出番を用意できればと思います。


第十話 タイトル画面でスタートボタンが押されたらしい

プロローグ「燃える日本」

 

 新代歴187年。

 ジオン公国残党の最大勢力アクシズがジオン共和国の要請を一切無視し、地球圏へ急速に接近。

 またスペースノイド弾圧を繰り返すティターンズやOZに対する反発から、反地球連邦組織エゥーゴやカラバ、またコロニー活動家らによる独自の抵抗運動が活発化した年。

 

 しかし地球連邦政府ならびに連邦軍、そしてSRG計画の関係者達にとっては地球人類の内輪揉めより、よほど気を割かなければならない非常にして緊急の事態が発生した年である。

 地球人類の歴史上、初めて公的に地球外生命体、そして地球内異種生命体による侵略行為を受けた年となったからだ。

 

 人類有数の頭脳を持つDr.ヘル率いる機械獣軍団は、世界征服の為に富士山麓に眠るジャパニウム鉱石を求めて重要目標とした日本へ侵略を開始。

 かつて古代の地球で栄えながらも降り注ぐゲッター線に耐えきれず地下に逃げ、独自に進化したハチュウ人類の恐竜帝国は、天敵たるゲッターロボを有する日本を侵略対象の第一歩とした。

 一万二千年以上の昔、栄華を誇ったムー帝国と争い、共に海の底へと沈んだ妖魔大帝バラオ率いる妖魔帝国が長き眠りより目覚め、悪魔世紀を実現する為に地球人類へ暴虐の牙を剥き、同じく眠りから目覚めたムー帝国の守護神ライディーンの撃破を第一の目標に掲げた。

 

 永い眠りから醒め、地球征服活動を始めたキャンベル星人は世界中に侵略の魔手を伸ばしながらも、南原コネクション擁する超電磁ロボ・コンバトラーVに尖兵を撃退されたことをきっかけに、コンバトラーVを大きく敵視。

 角無き生物は労奴以下の生物であるから、角あるボアザンに支配されるべきと宇宙に植民地を広げるボアザン星人もまた角持つ髑髏という特異な旗艦に乗り、地球への侵攻を開始。

 

 地球連邦はコロニー落としが避けられた事で人口と工業施設、連邦海軍その他諸々が無事であった為、原作に比べればはるかに恵まれた状態だったが、複数の侵略者を相手にするにはありったけの国力と戦力を投入する必要に迫られた。

 ヘイデスからすればまだこれで全てではないから、堪ったものではなかったが、それでも世界中の人々と心を一つにしたのは間違いない。

 すなわち――いっぺんに来るんじゃねえよ! だ。いかんせん、地球人類への宣戦布告の時期と内容も若干被り気味だったので。

 

「お互いに潰し合えばいいのに、あいつら。そうなると実際、どの勢力が一番強いんだろう? 星間国家のキャンベルかボアザンが妥当か?」

 

 とヘイデスは思わず執務室で零したものだ。下手にスーパーロボット軍団で返り討ちにし続けていると、これは手強いと見た勢力同士で手を組んだりするから厄介だ。

 ボアザン星人は角の有無が階級制度のアイデンティティになっているから、同じ異星人勢力とはいえ、いや、だからこそキャンベルとは手を組みにくいのではあるまいか。地球の次は貴様らだ、とお互いに考えてもおかしくない。

 星間国家という規模を考えればDr.ヘルや恐竜帝国、妖魔帝国といった地球勢力は征服先の武装勢力であるわけだから、相当に追い詰められるまでは手は結びにくいに違いない。

 

 ヘイデスの私見に過ぎないが、あり得るとしたら地球側のDr.ヘル・恐竜帝国・妖魔帝国の三者連合か。

 ボアザンとキャンベルがバーム、ムゲ・ゾルバドス、暗黒ホラー軍団と星間連合を組んだ例もあるが、お互いにピンピンとしている内は手を組むまい。

 バーム、ベガ、ムゲ・ゾルバドスはまだ確認されていない。どれも来ないで主役ロボだけが居るだけ参戦ならいいのに、とヘイデスは日々祈り、その祈りが無駄になった場合に備え続けるだけだった。

 

 

 侵略者達はそれぞれの戦略に則って世界各地に攻撃を仕掛けていたが、先に述べた通り最も重点的な攻撃を受けたのは、地球連邦軍極東支部のお膝元にしてスーパーロボット達の存在する日本だった。

 スーパーロボットの名前に相応しく、MSが可愛く思える超性能を誇るそのロボット達のパイロットは今のところ全員が民間人だというのだから、政府や軍関係者はすわアムロ・レイの再来かと驚き、また良識ある者は民間人に重圧を担わせる現実を嘆いた。

 そして今日も日本は侵略者達に蹂躙されんとしていた。

 

 山々の合間をエレカ用の高速道路が蛇行して渡された山間部に、おおよそ二十メートル前後の異形の兵器――機械獣達が数十体もの数で展開している。

 ジオン水泳部にも勝る奇怪なシルエットは、昨今のMSを見慣れた者からすれば冗談としか思えないが、秘めたる戦闘能力はDr.ヘルが世界征服の野望に燃えるのに相応しいものだ。

 機械獣の頭上にはどう形容したらよいのか、銀色の鯨めいた胴体から武骨な翼を開き、赤い目と鶏冠を備えた飛行要塞グールの姿がある。

 グール内部では紫のフード付きマントをすっぽりと被った、男女の半身が結合したこれまた奇妙な姿のあしゅら男爵が機械獣達の指揮を執っていた。

 

「行けえ! 機械獣軍団よ、今日こそマジンガーZと兜甲児の首を偉大なるDr.ヘルに捧げるのだ!」

 

 頭部の左右から鎌を生やした骸骨の巨人ガラダK7、爬虫類めいた二つの首を生やしたダブラスM2、キングダンX10、アブドラU6などが複数生産されて軍勢を成し、眼前で進軍を阻む鉄の城マジンガーZへと一斉に駆け出す。

 特徴的な胸部の赤い放熱板、MSとは全く異なる人面に近い顔、超合金Zで作られた無敵の体を持つスーパーロボットは、弓教授の娘・弓さやかのアフロダイAと親友ボスの乗るボスボロットと共に敢然と立ち向かう。

 

「やいやい、あしゅら男爵、また性懲りもなくやってきたな。このマジンガーZが相手になってやる。今日も負けたら、今度こそDr.ヘルに愛想を尽かされるんじゃないのか!」

 

「ほざけ小僧! 邪魔な地球連邦や異星人共を片付ける為に、今日こそ貴様らを倒してジャパニウムをDr.ヘルのものとするのだ! 者共、かかれ!!」

 

「来い、おじいさんのマジンガーZはお前達なんかに負けやしないぞ! 行くぞ、さやかさん、ボス!」

 

 大地を揺らしながら、正義と悪のロボット軍団が戦意を滾らせて走る! しかし、もしこの場にヘイデスのようにスーパーロボット大戦のプレイヤーが居たならば、あるいは原作のマジンガーZを知る者が居たならば、我が目を疑ったに違いない。

 マジンガーZの背中から伸びる二門の巨大なキャノン! 足には巨大なミサイルポッドが括りつけられているではないか!

 

 マジンガーZばかりではない。さやかの乗る女性的なデザインのアフロダイAもまた両腕にマシンガンを持ち、腰にはガンベルトを巻いてホルスターには武骨なリボルバーが収まっている。

 ボスのボスボロットに至っては武蔵坊弁慶よろしく背負った籠から無数の刀やら槍やら、ロケットランチャー、ビームライフル、ミサイルランチャーが覗いている。

 MSの増加装甲の要領で開発された外付け武装が、マジンガーZらの装備した武器の正体だ。機体本体には一切手を加えず、任意にパージできるように工夫された火器群はSRG計画のオプションであった。

 

「くらえ、光子力ビームキャノン! 光子力ミサイルもだ!」

 

 甲児の操縦により、マジンガーZの肩に背負われた大口径の光子力ビームキャノン二門が光子力の奔流をぶっ放し、足のミサイルポッドから二基で合計十八発の光子力ミサイルが噴射煙を空中に描きながら機械獣軍団へと群がる。

 

「まだ終わらないぜ、光子力ビーム! 冷凍ビーム! ドリルミサイル!」

 

 これに加えて元々マジンガーZが内蔵している火器も発射される。瞳からは光子力ビームが、耳にあたる突起物からは冷凍ビームが、機械獣へと向けて突き出された腕が肘から折れてそこからはドリルミサイルが!

 ヘパイストスラボの所長をはじめMS開発者を驚愕させた、マジンガーZ単独でMS一個中隊にも匹敵しよう膨大かつ高火力の武装の数々よ!

 

「マジンガーZだけじゃないわよ!」

 

 さやかがマジンガーZに続けとアフロダイAの両手に持たせた光子力ビームマシンガンを撃てば当たるとばかりにトリガーを引きっぱなしにし、さらにブルンと金属であるはずのアフロダイAの乳房めいた部位が震えると、それは光子力ロケットを内蔵したミサイルの正体を露にして発射される。

 元々はジャパニウム採掘用のロボットだったアフロダイAは、戦闘用に転用されてなおパワー不足を指摘された為、マジンガーZ以上に武装オプションが整えられていた。ボスボロットの竹で編んだような背負い籠の武器のいくつかはアフロダイA用のものだ。

 さやかは光子力をチャージしたマガジンが空になると、すぐにマシンガンごと手放して、アフロダイAの腰に巻かれたホルスターから光子力ビームマグナム二丁を抜き、一丁に付き六発ずつの圧縮した光子力のマグナム弾を連射する。

 

「ええい!」

 

 本当に元は採掘用だったのか怪しくなる火力を発揮するアフロダイAの隣で、ボスはというとスクラップから作られた(!)ボスボロットを器用に動かし、さやかが放り捨てたマシンガンを回収し、新たなマガジンを装填し直す。

 ボスはこうしてさやかや甲児が撃ち終えた武器の弾薬の補充と、手が足りなくなった場合には自らも火器を取り、火線に加わる役割分担をしていた。

 

「よおし、ヌケ、ムチャ、ボスボロットも続くだわさ!」

 

「はい、ボス!」

 

 ボスは一緒に乗っている子分のヌケとムチャに景気よく声をかけ、ヌケとムチャも揃って元気よく返事をする。

 背負い籠に収容していた大口径バズーカを二つ取り出して、ボスボロットの両肩に担がせる。すぐにボスの景気の良い声がスピーカーを通じて外部に響き渡る。

 

「くらえ~~ボスボロットウルトラデラックスデンジャラスバズーーーーカ!!」

 

 実際には、MS用のバズーカを転用した光子力ロケット砲弾を発射する光子力バズーカである。最大装填十発のこのバズーカは、ジオンのMSドムのジャイアント・バズのマジンガーZ版と言えば分かりやすいか。

 ろくな照準補正装置のないボスボロットだが、バズーカそれ自体にそれなりの照準用センサーが装備されている為、ボス達が目視と勘で撃つよりはマシな命中精度になる。

 

 陸上戦艦の二隻や三隻なら跡形もなく吹き飛ぶような光子力の嵐に襲われて、それでも生き残った機械獣達が爆炎の中から飛び出してくる。

 ガラダK7が頭の鎌を手に取り、マジンガーZの頭部に居る甲児を目掛けて一気に振り下ろしてくる。

 

「させるか!」

 

 既にガラダK7とは何度も交戦した経験から、甲児からすればその動きは知っているものだ。鎌を真剣白刃取りでもって挟み止め、動きの止まったガラダK7の胸から上を光子力ビームキャノンが容赦なく吹き飛ばす。

 その一発で光子力ビームキャノンのバッテリーが空になり、甲児はキャノンと撃ち尽くした脚部のポッドをパージして、マジンガーZを素の状態へと戻す。

 身軽になったマジンガーZは、まるで人間のようにぐるりと肩を回す。ウォーミングアップはおしまいだと告げるようなその動きに、グールで指揮を執るあしゅら男爵は歯噛みした。

 

「ええい、数を揃えてもあの火力は厄介か。だが、機械獣はまだまだ……」

 

 あるいはあのような火力の使用できない市街地や工業地帯に誘き出して、とあしゅら男爵の頭脳が次の戦略を瞬時に練り出したその瞬間、グールの巨体が大きく揺れて、あしゅら男爵は直ちに状況の把握に努めた。

 

「ぬうう!? 何事か! ちい、連邦政府の犬共め! マジンガーZ共々ことあるごとに邪魔をしおって」

 

 グールの光学観測機器は、遠方からメガ粒子砲を連射する極東支部所属のストーク級空中母艦二隻を捕捉していた。そしてストーク級が姿を見せたのなら、当然、艦載機も出撃しているわけだ。

 

「マジンガーZばかりに任せるな! 彼らは民間人だと忘れるなよ、軍人の本懐を果たせ!」

 

 ストーク級空中母艦“しょうほう”、“ずいほう”から出撃したゲシュペンストMk-Ⅱのパイロット達は、緑色のパーソナルカラーに塗装された隊長機の檄に応じて遅滞のない動きを見せる。

 

「ゴースト小隊は俺とマジンガーZに続け。スペクター小隊はアフロダイA、ボスボロットと共に火線を形成、撃ち漏らしを叩け!」

 

「了解!」

 

 地球連邦極東支部はスーパーロボットの研究所が複数存在する重要性から装備に恵まれ、支部単位の平均的技量においてはティターンズやOZのような精鋭部隊と肩を並べる。

 ましてや異種・異星勢力の齎す被害が集中しているのが極東、特に日本である為、侵略者に対する敵対心と闘争心もまた極めて高い。

 そしてSRG計画の恩恵を最も強く受ける支部でもあり、支部単位でのゲシュペンストMk-Ⅱ配備率に至っては地球・宇宙を含めてトップだ。

 

「甲児、遅れてすまん!」

 

 隊長は既に下の名前で呼ぶくらいには共闘した年下の少年に詫びを入れながら、飛びかかってきたアブドラU6の首と右手を取って足を払い、背負い投げの要領で投げ飛ばすや、仰向けに倒れ込んだ敵機に左手のプラズマステークを叩き込む!

 

「ジェットマグナム!」

 

 アブドラU6の頭部を叩き潰した緑のゲシュペンストMk-Ⅱに向けて、ダブラスM2をロケットパンチで仕留めた甲児は笑みを浮かべる。

 

「キタムラさん! 助かります! こいつら、今日は数を揃えてきているから」

 

 甲児が明るい声を出したところで、ダブラスM2の爆炎の向こうから、四つ足の生えた台座に角と顔のある機械獣トロスD7が凄まじい勢いで突撃を仕掛けてくる。

 恐るべきことにトロスD7の角を用いた突撃は、超合金Zの装甲すら貫通する威力を誇る。マジンガーZの一瞬の隙を突いたトロスD7を止めたのは、速度の関係上、ゲシュペンストMk-Ⅱ隊に先行して出撃していたMZレッドホーン三機だ。

 

 スティラコサウルスをモチーフに開発されたこの機体は、対メカザウルス用として全高十五メートルと原作の倍近い巨体かつ単座式でロールアウトしている。

 レッドホーン達は頭部に装備するホーンクラッシャーで、トロスD7を三方向から串刺しにして受け止めたのだ。

 左右からトロスD7を貫いたレッドホーンが後退し、正面のレッドホーンは痙攣するトロスD7へと向けて、背中の大口径三連“ゲッター”ビームキャノンを発射し、頭から尻までを容赦なく吹き飛ばした。

 

「MZも一緒なんですね」

 

 そう言う甲児のマジンガーZの隣に、隊長――キタムラの指示に従ったノーマルカラーである青いゲシュペンストMk-Ⅱが控え、レッドホーンの他にも出撃していたコマンドウルフ三機が戦線に加わる。

 MSより重装甲、高耐久、大質量を有するのが想定される侵略者達との戦いに備え、コマンドウルフやゲシュペンストMk-Ⅱの装備している火器は、いずれもMS相手には過剰なまでの大口径、高火力のものばかりだ。

 

「狙ってではないだろうが、機械獣やメカザウルスが同じ戦場に出る事もあるからな。メカザウルスにはゲッターロボとMZが一番効果的だ。対メカザウルスを抜きにしても、MZのパワーは頼りになる」

 

 マジンガーZ、アフロダイA、ボスボロット、そしてゲシュペンストMk-Ⅱ八機、レッドホーン三機、コマンドウルフ三機らロボットが合計十七機、ストーク級二隻と残る飛行要塞グール、機械獣数十体が改めて対峙する。

 

「フン、忌々しいマジンガーZと兜甲児と小うるさい地球連邦の犬を、このあしゅら男爵と機械獣軍団が叩き潰してくれる!」

 

 ストーク級と激しく撃ち合っているグールから、あしゅら男爵が自信に満ちた声で宣言してくるのに対して、甲児は欠片も臆さずに答えた。

 

「へん、お前がそういうのはこれで何度目だ。これまでみたいにほえ面をかくのはお前の方だぜ、あしゅら男爵!」

 

 マジンガーZは頭上のグールを指さし、そしてパイロットである甲児は熱烈と叫ぶ。それは幼い頃に誰もが思い描く正義の味方の姿、そのものだった。

 

 

 同刻、日本海から出現して糸魚川近隣へ上陸しようとするメカザウルスの軍団を、早乙女研究所のゲッターロボを筆頭とするMZとMSの混成部隊が迎撃していた。

 OZのパイシーズやキャンサー、ジオンから鹵獲したズゴックなどを除けば新型ないしは強力な水中用MSに欠ける地球連邦は、水中戦に向けたMZを開発し投入している。

 

 投入されたMZはレッドホーンと同じく原作に比べて倍近い大きさになっているが、魚型のウオディック、イトマキエイ型のシンカーの二機種だ。

 共に海中で六十ノット超の速度を誇る二機種は、海中で蠢くメカザウルス達にホーミング魚雷やソニックブラスターを発射し、これ以上の進撃を阻まんと必死の態勢だ。

 

 水中のメカザウルスは生身の恐竜とメカの首の二つ持ったズーをはじめ、首長竜などかつて地球の海で暮らしていた恐竜を改造したタイプが多くを占めている。

 水中型に限らずメカザウルスは全高四十~五十メートル級の巨体に加えて、機械獣に負けず劣らずのインパクト満載のビジュアルとこちらを食い殺さんばかりの勢いを見せる巨大恐竜の殺意は、MSや機械獣とは異なる恐怖感を戦う者に与えてくる。

 

 MZ乗り達がそれでも奮起している中でひときわメカザウルスを相手に奮闘しているのは、下半身がキャタピラとなっているゲッター3だ。

 三機のゲットマシンの合体パターンによって三種の変形機構を持つ画期的なロボは、メカザウルスの天敵であるゲッター線を主動力としている事もあり、メカザウルスから集中的な攻撃を受けている。

 そんな中でもゲッター3のメインパイロットを務める巴武蔵は、同乗している流竜馬、神隼人と同様、小指の先も臆さずに民間人だったとは信じられない勇猛さで戦っている。

 

「おらおら、かかってこい、蜥蜴共!」

 

 武蔵は、名前の分からないワニめいたメカザウルスが開いた大顎に、ゲッター3の両腕を突っ込み、そのままゲッターロボ三形態最大のパワーを引き出して、メカザウルスを上下に引き裂いた。

 血液とオイルが海中に広がり、すぐさま爆発する中、海底をキャタピラで疾走するゲッター3は攻撃の手を止めずに頭部両脇のゲッターミサイルをろくに狙いを定めずに発射。

 それに続いてウオディックとシンカー隊の放った魚雷とゲッターミサイル、ソニックブラスターが獲物に群がる肉食魚の如く水中メカザウルス部隊に襲い掛かる!

 

「よっしゃ、次は空だ! オープンゲット!」

 

 水中で生じた大爆発によって水面が吹き飛び、その中にメカザウルスの生身とメカの部分が混じる中、分離した三機のゲットマシンが飛び出す!

 続いてオープンチャンネルで発せられたのは、新たな形態への変形合体を示す竜馬の叫びだ。

 

「チェェェンジ、ゲッター1! スイッチオン!」

 

 竜馬のイーグル号、隼人のジャガー号、武蔵のベアー号の順で激突するように合体し、どこがどうなったらそうなるのか分からない変形過程を経て、空中戦用に特化したゲッター1が姿を現す。

 頭頂部から左右に伸びる赤い角と真っ赤なマントを翻すゲッター1へ、空を飛んでいた黒紫色の翼竜型メカザウルス・バドの群れが殺到する。

 

 ゲッター1へと殺到するマグマ弾やミサイルの雨の中を、ゲッター1は中のパイロットがミンチになるような変則機動で回避してみせる。

 MSの技術者が目を疑うような機動を見せるゲッター1に注意を引かれるバドへ、その隙を突いて極東支部の機動兵器部隊が苛烈な攻勢を仕掛けた。

 ミノフスキークラフトで空を飛ぶゲシュペンストMk-Ⅱがスプリットミサイルやニュートロンビームライフルを叩き込み、MZプテラスも空対空ミサイルやゲッタービーム機銃を発射して次々に命中させてゆく。

 

「よし、俺達もやるぞ、ゲッタートマホーク!」

 

 竜馬の叫びと共に胴体肩部に収納されている小ぶりな斧が飛び出し、ゲッター1の右手に握られる。連邦軍が放つビームやミサイルから逃れるバドへ斬りかかり、ゲッター1のパワーで振るわれた斧が次々とバドの頭を叩き割り、翼を斬り落としてゆく。

 

「リョウ、細かいのが来るぞ」

 

 竜馬に警告を飛ばしたのはジャガー号の隼人だ。戦線後方の空母型メカザウルス・グダから発艦した恐竜ジェット戦闘機の大群が、見る間に距離を詰めてきているのに、いち早く気付いたのだ。

 

「それなら敷島博士のとっておきだ、ミサイルマシンガン!」

 

 どこに収納されていたのかゲッター1は背中から取り出した巨大な銃器を取り出して、銃弾代わりに小型ミサイルが猛烈な勢いで発射されてゆく。

 ゲッター1に続いてゲシュペンストMk-Ⅱ、アッシマー、プテラスといった極東支部所属の機動兵器部隊が恐竜ジェット戦闘機の編隊を叩き潰すべく動く。

 

 空中ではストーク級が、また地上ではライノセラス級陸上戦艦が指揮管制ならびに砲撃支援を担い、メカザウルスの本土上陸を全力で阻止する構えだ。

 更には波打ち際を蹴散らして駆け上がろうとする、サイやスティラコサウルスにも似た外見のメカザウルス・ザイとメカザウルス・サキに、ヘパイストスラボ謹製の巨大ロボットが真っ先に襲い掛かった!

 

「究極! メガ・ゲシュペンストオオオオ、キイイックウ!」

 

 一度上空へと飛び上がり、五十メートル超の巨体の大質量を、ブースターによる加速も加えた飛び蹴りでザイへと叩き込むのは、レナンジェスの駆るゲシュペンスト・リーゼ。

 

「必っ殺! メガ・ゲシュペンスト・パァアンンチィ!!」

 

 ほとんど同時のタイミングでサキの顔面へ必殺の拳を叩き込んだゲシュペンスト・リーゼは、ミーナの操縦する機体だ。

 ゲシュペンスト・リーゼ――亡霊の巨人はヘパイストスラボがいずれスーパーロボットを開発する際の試験用として、五十メートル超の巨躯へサイズアップされたゲシュペンストS型の発展機である。

 

 超合金Z製のムーバブル・フレームにガンダニュウム合金の装甲、更に搭載した巨大核融合炉はコンバトラーV同様に超電磁エネルギーを生産し、プラズマステークから超電磁ステークへと強化された三本の突起物は両腕に装備されている。

 胸部のブラスターキャノンはより大口径大火力化した事でメガブラスターキャノンに改められ、ゲシュペンストMk-Ⅱ同様ミノフスキークラフトを搭載し、両肘にはより高出力広範囲のビームシールドを内蔵している。

 元はMSだったがSRG計画による技術交流の産物である為、MSではなくスーパーロボットに分類された初のゲシュペンストだ。

 

「ゲッターチーム、陸はこっちに任せてくれ!」

 

「その代わり、あの空母を頼むよ。ズバリ、あれが沈めばメカザウルスは退くでしょう!」

 

「了解です。こちらは頼みます。行くぞ、ハヤト、ムサシ!」

 

「ふ、熱くなりすぎるなよ、リョウ」

 

「同士討ちするんじゃないぞ!」

 

 頼もしいレナンジェスとフフン! と探偵の如く推理を披露するミーナのアドバイスに従い、ゲッター1がゲシュペンストMk-Ⅱやプテラスと共にグダを目指して空を飛ぶ。

 

「よし、後は俺達がこいつらを片付けるだけだ、行くぞ、ミーナ」

 

「うんうん、メカザウルスからしたら“毛の無い猿”が天敵である“ゲッター炉心を搭載している”上に“自分達を模したロボット”に乗っているんだから、作戦も何も忘れて遮二無二になって攻撃してくるのも当然よね」

 

「MZに乗っている人達のカバーには気を付けなくっちゃな!」

 

「後、味方の弾に当たらないようにしないとね。ライノセラスにカノントータスばかりじゃなくって、ガンタンクタイプも引っ張り出してきているし!」

 

 後方のライノセラス級陸上戦艦と昆虫型MZモルガとカメ型MZカノントータス、更にはガンタンクⅡまでも引っ張り出して形成された火線は、水中から顔を覗かせたメカザウルス達へ平等に熱烈な歓迎を加える。

 それでもなお進軍してきたメカザウルスへは、極東支部に雇用されたジェスとミーナのゲシュペンスト・リーゼが圧倒的な攻撃力で機先を制する。

 そこにゲシュペンストMk-Ⅱ部隊と、ゴジュラス一機に付きその小型版ともいえるMZゴドス二機で組んだ複数の小隊が飛び込んで、メカザウルス達の怒りと断末魔の叫び、爆発の音が響き渡る。

 何度目かになる恐竜帝国の侵攻による、糸魚川防衛線はさらに夕日の沈む時刻まで戦闘が続くも、幸いにしてゲッターチームと地球連邦極東支部の勝利に終わるのだった。

 

 

 このようにマジンガーZやゲッターロボをはじめ、極東支部はスーパーロボットと連携しながら襲い来る侵略者達を相手に日夜激闘を繰り広げていた。

 まさに、極東は燃えていたと言うべきであろう。

 そして侵略者との闘争の火は極東ばかりではなく、プルート財閥の本拠地ギリシャへも伸びていた。

 プロメテウスプロジェクトの解散により連邦とジオンのエースが去り、自社のエース達もまた地球と宇宙の各地へと散り、守りの薄くなったヘパイストスラボが謎の勢力による襲撃を受ける数日前のことであった。

 

<続>

 

■アクシズが地球圏に接近中です。

 

■Dr.ヘルが宣戦布告しました。

■恐竜帝国が宣戦布告しました。

■キャンベル星人が宣戦布告しました。

■ボアザン星人が宣戦布告しました。

■妖魔帝国が宣戦布告しました。

 

■マジンガーZが参戦しました。

■アフロダイAが参戦しました。

■ボスボロットが参戦しました。

■ゲッターロボが参戦しました。

 

■レッドホーンが開発されました。

■ウオディックが開発されました。

■シンカーが開発されました。

■プテラスが開発されました。

■モルガが開発されました。

■カノントータスが開発されました。

■ゴジュラスが開発されました。

■ゴドスが開発されました。

 

〇強化パーツ

・光子力バリヤー

 1,500以下のダメージを軽減、発動ごとにENを5消費。マジンガーシリーズが装備するか、超合金Zシリーズの強化パーツを装備していると更に1,000ダメージを軽減。

 

・超電磁コーティング

 運動性+15、照準値+10

 

・超合金Zムーバブル・フレーム

 HP+1,000、装甲+150、EN+50

 

〇換装武器

・光子力ビームキャノン

・光子力ミサイルポッド

・光子力ビームマグナム

・光子力バズーカ

・Zカタナ

・Zナギナタ

・Zオオタチ

・Zスピア




モビルビーストまではモビルスーツ系列の機動兵器でしたが、モビルゾイドに改められてからは対メカザウルスの性質が強まったので、ゲッター炉心を積んでいます。
スパロボにおいて、クロスアンジュのアウラの民がゲッター線を上手く抑制したというか付き合っているように、モビルゾイドもほどほどにゲッター線と付き合ってゆけると良いのですね。
なおゲッターはTVアニメ版ですので、竜馬は優等生風の性格になっています。

侵略者の皆さん
「なんか地球人強くない? 強くない?」

追記
コールサインを修正しました。
×超電磁マシーン・コンバトラーV → ○超電磁ロボ・コンバトラーV

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。