生活保護受給者の向精神薬処方、7割「不適切」
生活保護受給者が向精神薬を不正に大量入手していた問題で、厚生労働省は3日、複数の医療機関で向精神薬の処方を受けた生活保護受給者の7割が不適切な受診だったとする調査結果を発表した。不正転売など犯罪につながる情報はなかったが、同省は今後も、受給者のレセプト(診療報酬明細書)を点検し、指導を徹底する。
今年4月、大阪市西成区の受給者が病気を装い入手した向精神薬がインターネットで転売される事件が発覚。同省が全国の自治体に調査を依頼していた。
調査は、生活保護の医療扶助を受けている受給者のうち、今年1月に精神科に通院した約4万2千人を抽出。うち1カ月間に複数の医療機関から向精神薬の処方を受けていた2555人を対象に、主治医などと協議して処方内容・量が適切だったか調べた。
調査によると、70.3%に当たる1797人が必要量を上回る処方を受けるなど不適切な受診だった。このうち、重複受診をやめさせるなどして既に改善していたのは721人で、指導中は927人、生活保護受給をやめ指導に至らなかったのは149人だった。
不適切受診者が最も多かったのは、都道府県では東京都(479人)で、政令市・中核市では大阪市(132人)。