「B’z」のライブツアー仕様のトラック前で、記念撮影をするファンたち=6月17日、佐賀市日の出のSAGAサンライズパーク

 佐賀県は29日、SAGAアリーナ(佐賀市日の出)で6月中旬に開催された大規模イベントの経済波及効果を示した。ロックユニット「B’z」のライブが3億8600万円、アイススケートショー「プリンスアイスワールド」が9380万円だったと試算した。アリーナはMICE(マイス)と呼ばれる大規模イベントや学会を開催できる県内初の施設。県は「経済効果を県内全域に波及させるため、市町や民間と連携していきたい」としている。

 5月13日のアリーナ開業後、初めて開かれたコンサートとアイススケートショーについて、県が主催者への聞き取りや産業連関表から県内に限定した経済波及効果を試算した。県議会の地域交流・県土整備常任委員会で、下田寛議員(県民ネット)が質問した。

 経済効果には、来場者の宿泊や飲食などの消費行動と、主催者によるアルバイトスタッフの雇用や会場設備発注などが考えられる。

 B’zのライブは、2日間2公演で1万6千人が来場。観客は県内が2割、県外が8割程度だった。県外の運営スタッフ200人が準備のために県内に1週間滞在。佐賀市と鳥栖市のホテルが満室で、武雄市や嬉野市も好調だったことから1日当たり4千人の県内宿泊があったと仮定。交通費、飲食費、お土産などの買い物を積算し、県内で合計2億5千万円の消費活動があり、経済波及効果は3億8600万円と試算した。

 プリンスアイスワールドは、2日間3公演で1万6500人が来場し、県内が8割を占め、県外が2割程度だった。運営スタッフ約150人のうち、3分の2が県外からで8日間滞在。合計6100万円の消費活動があり、経済波及効果は9380万円だった。

 課題としては、民間事業者がMICEへの対応に慣れていない点が浮かび上がった。日曜日に休みの店が多く、ライブ後に土産物を買おうとしたら閉店していたケースもあったという。

 また、MICEの種類ごとに来場者の性別や年代、消費行動が違うため、経済効果を受け止める民間には柔軟な対応が求められる。日野稔邦県SSP総括監は「主催者のニーズを適切に把握し、市町や民間事業者に情報提供することで、より多くの消費行動につなげていきたい」としている。(栗林賢)