愛知県在住の女性Ａ様が「裏切られて、しんどくて、自分なんかいなくてもいいってなって、イケナイことなんだけど死にたいって毎日思うようになって、自分に自信を持つことができない」と言って、涙を流した。最初、Ａ様は普通にしていた。普通に連絡をくれて、普通にカフェで合流して、普通に世間話をした。ただ、その「普通」に無理を感じた。言葉に気持ちが乗っておらず、話したいことを話していると言うよりは、こう言う場ではこう言う話題が適していると言った感じの、場に合わせた表面的な話ばかりが続いた。Ａ様は、自分を殺していた。

嫌われてもいいから肉薄する。表面を突き破って、コアに肉薄する。本心以外に用はない。俺とお前のショック療法。そんなことを念じながら、私はＡ様のコアに肉薄した。せっかく出会ったのに、表面的な会話ばかりしていても埒があかない。本当の意味で出会えたと言えない。俺に会いたいと連絡をくれた時点で、表面的な会話がしたかった訳ではないだろうと喝破し、泣いてもいいから本当のところを話そうぜと肉薄した。Ａ様は「怒りを感じたとしても、相手に自分の気持ちを伝えることを諦めてしまう」と言って、涙を流した。泣いたのではなく、涙が、出た。初対面は苦手ではないし、友達も多い。でも、いざ、本音を出そうとするとわからなくなる。世間話はできるのだけど、自分の深いところを出そうとすると、わからなくなる。

色々な人に会う。数年前からは「傷つきたくない」とか「嫌われたくない」という悩みを多く耳にした。今、悩みが「ちゃんとしなきゃ」に変わっている。うまくやらなきゃ、ちゃんとしなきゃという足枷にガチガチに固められて、他人のイメージの奴隷になる。自分のダメなところを認められず、自分のダメなところを出すことができず、周囲の評価に合わせて「褒められた自分」になろうとする。表面的にはうまく行くのだが、本音は常に隠されたまま。誰も本当のことを言わない。優しい言葉に殺される。本当の優しさは、触れると元気になる。偽物の優しさは、言葉だけ見ると優しいのに、どんどん気力を奪われる。人格的に認められることはないまま、期待と責任だけがのしかかって来る。

私が会う人はいい子が多い。涙が出るくらい、いい子だ。いい子は断ることができない。いい子は怒れない。怒らないのではなく、怒ることができない。代わりに自分を犠牲にする。いい子は聞き役になる。話を聞くのが好きだなんて嘘だ。自分を出さずに周囲の評価を得る一番の手段が「聞く」ことだ。それが身売りになっている。自分の身体と時間を、周囲の人間に利用される。いい子とは「都合のいい子」であり、人格的な問題ではなく、誰かにとって都合のいい時は「いい子」となり、誰かにとって都合の悪い時は「悪い子」になる。他人の評価なんて何の役にも立たない。自分が最も生き生きとする瞬間は、必ず、ある程度不謹慎だ。褒められたものではないかもしれないが、それでも、どうしても生き生きとしてしまう。正しいことではないかもしれないが、それでも、どうしても涙が出るほど感動してしまう。その涙に、答えがある。褒められることではなく、ギリギリ怒られてしまうようなことの中に、答えがある。

他人の評価なんて何の役にも立たないんだよ。褒められることをやっても何にもならないんだよ。褒められることじゃなくて、ギリギリ怒られることをやらなくちゃ。褒められる自分になるのではなく、褒められない自分にならなくちゃ。うまくやろうとなんかするなよ。うまくやれないことを、本気になってやるんだよ。自分のダメな部分を認めるのは怖い。だからこそ、ダメな部分が愛されたら本当なのだ。ちゃんとするほど虚しくなる。ちゃんとしている場合じゃないんだよ。人の目なんか気にするなよ。それが自殺なんだよ。周りの人は「もっと社会の人を納得させるような理論を作れ」とか「応援してくれる人を増やせ」とか「ちゃんとやれ」とか「うまくやれ」とか、色々なことを言う。大事なことなのかもしれないが、私は全部をガン無視する。一切理解されなくていい。一切迎合しない。大衆迎合じゃない。説明しない。弁解しない。忖度しない。誰一人理解されなくて大いに結構。誤解されて誤解されて誤解されて死ぬのだ。私の私による私のための政治（鳥肌実参照）。忖度、気遣い、迎合、一切しない。俺は俺をひたすら押し通す。尖り続けてやる。ノーと叫ぶ姿が、大きなイエスになるのだ。絶対に迎合しない。肉薄する。熱海の家は誰でも使える。屋根がある。布団がある。米しかないが、米はある。最悪でも死ぬだけだし、最高でも最後は死ぬ。死にたくなったら俺を見ろ。最悪、熱海の家がある。最悪で最高な俺がいる。