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俺はお前らより元気だ。

マラソン選手の高橋尚子さんがゲストランナーとして出た大会に、男性K様が参加した。35キロ地点までは順調に走り続けたが、そこを超えたあたりで突如足の痛みに襲われて、歩くよりも遅い速度でK様は進み続けた。「これは棄権するしかないか」と思った時、後方から高橋尚子さんが走ってきて、K様に「最初は心が諦めるんです。でも、体は全然元気なんです!」と満面の笑顔で声をかけた。高橋尚子さんに声をかけてもらった喜びと、かけてくれた言葉の内容におおいに励まされたK様は「うおおおお」と奮起して、ゴールまで辿り着いた。驚いたことに、ボロボロの状態から走り出した35キロ地点からゴールまでのタイムは、まったく疲れていなかったスタート地点から七キロ地点の距離までのタイムを上回った。K様は、ボロボロの状態に置かれて、自己ベストを更新したのだ。

私はこの話が大好きで「俺も、ボロボロの状態に置かれた人間が、ボロボロの状態のまま自己ベストを更新するような爆弾になりたい」と思うようになった。ボロボロになった人々の真横にふわっと現れて「最初は心が諦めるんです。でも、体は全然元気なんです!」と言いたい。肉体的に男である私は、女性の苦しみを理解することができない。できることと言えば、想像力の翼をはためかせることだ。女性の苦しみの代表格的なものに「母親との折り合いの悪さ」があると思う。男の私が邪推するに、女たちには悲しみの穴が空いているのだと思う。悲しみの穴が母の体に空いていて、もし、母が娘を使って悲しみの穴を埋めた場合、母の悲しみは娘の体に流れ込む。小さな子供が、大人の悲しみの全部を引き受けることはできないから、娘は自分の体に穴を開ける。そして、その穴から母の悲しみを排出する。そうすることで風通しはよくなるのだが、悲しみの穴があるせいで、いいものも悪いものも全部が排出されてしまう。

結果、自分の中に安心が溜まることがないために、常に疲れているような状態になる。周囲の人間や自分の人生に対して冷めた態度になり、本当は真剣になりたいと願っているのだが、真剣になる気力が溜まらない。決して不真面目な訳ではない。真逆だ。真面目過ぎるほど、常に「ちゃんとしなくちゃ」と自分に鞭を打つ。だが、動くための気力がない体は何もすることができず、ちゃんとしなくちゃと思うほどに、自己嫌悪や罪悪感を深める。言葉の鞭で自分を痛め続ける。理想の自分とのギャップに苦しむのだが、理想とは、表面的には未来に対して抱くものだと思われがちだが、過去の「本当はこうして欲しかった」という叶わなかった理想が、未来に映し出されているのだと思う。だからなのだろうか、理想を追うほどに、苦しくなる。

仕事が嫌だとか家事が苦手だとか人間関係が築けないとか、それらは表層的なものであって、内奥には母親との確執があるような気がする。向き合うのが怖いと感じる現実(逃げ腰になってしまう要因)は、母だ。そんな邪推をした。私は頻繁に的外れなことを考えてしまうので、違うと思った方は教えて欲しい。人間理解を深めたい。悩みを持つと、ついつい「私はどうしたらいいでしょうか」と外側に答えを求めてしまう。最悪の場合、悪い男や、悪いスピリチュアルに騙されたりして、多額の金を奪われる。穴を金で埋めることはできない。穴を埋めるのは、意思だと思う。自分で決めるしかない。人生に正解も不正解もない。自分で決める。最後の最後は、自分で決めた道を正解にしていく。自分の気持ちを代弁してくれる人間はいない。自転車に乗るのは自分だ。他者は補助輪くらいにはなるだろうが、自転車に乗るのは自分だ。

男の特権と女の特権があると思う。男の私は、裸一貫で飛び出して各地を流転したり野営をできる。女の体は、多分、そう言う風にできていない。男の特権が肉体的にボロボロになることなら、女の特権は何だろうか。女の特権を思う時、峰不二子の顔が浮かぶ。女の特権は「男を騙す」「男を手玉に取る」ことだろうか。峰不二子は、社会貢献とか言わない。清々しくて、欲深い。騙された男も、なんだかちょっと嬉しそうだ。女の穴を埋めるために「ちゃんとしなきゃ」と言葉の鞭を打つことは、虐待に近い。ボロボロの状態で自己ベストを叩き出す。理想とのギャップに苦しむだなんて愚だ。いつだって今が最高。今が自己ベスト。そんな今をぶん殴って更新する。自分を愛するというよりは、自分をぶん殴る。ぶん殴る愛を発動させる。ある人から「坂爪さんに講演を依頼したい」と言われた。だが、私の講演なんて十秒で終わる。壇上にあがり、一段高いところから下々に向かって「みんな元気?」と満面の笑顔で声をかける。その直後、俺はお前らより元気だと高らかに宣言をして、あばよと言ってその場を去る。みんな元気?俺はお前らより元気だ。あばよ。

坂爪 圭吾 さま

こんにちは。ここ10年ほどずっと坂爪さんのブログを熱読させてもらっている◯◯と申します。今は沖縄に住んでいますが、10年前くらいは東京に住んでいて、坂爪さんのお話会に2回、熱海のおうちに1度遊びに行かせてもらいました。体調不良と事故のケガでめちゃ心配な一方、さわやかのハンバーグでほわほわされた記事を読み、最高に清々しい気持ちになりました。

ものすごく私事ですが、最近本を作りました。それが、同封させてもらった『あなたのキャリアはどこから?わたしはクビから』というベンザブロック構文タイトルの冊子です。新卒2ヶ月で会社をクビになるところから始まる、10年間のお仕事話をまとめてみました。新卒2社目で、私は「不登校になった子の生きづらさを解消し、社会適応を促す会社」に勤めたのですが、のちに坂爪さんが書いた「年間3万人が自殺する社会に適応する方がヤバい」という言葉にズゴゴゴゴゴッと脳髄をぶち抜かれました。ホンマそれや。現にその時わたし死にたかったわ・・・!となり、もう教育組織も会社員もちゃうかも、と、おかげさまで転職をむかえました。その後しばらくフリーランス、そしてここ数年に再び会社員をしていたのですが、日々坂爪さんのnoteを読むたびに「アーーーーー安心安全なだけの心躍らん人生アカーーーーーン」と頬をエアビンタされ、うじうじ悩みまくった末に去年いっぱいでエイヤッと退職しました。明日から、ずっと念願だったタイ留学に行き、戻ってきたら沖縄でタイ古式マッサージをしようと思っています。

長々と書いてしまいましたが、とにかく、人生の要所要所で坂爪さんの言葉に背中を押されてることを御礼とともにお伝えしたく、さらにそんな私の五里霧中なお仕事ライフについて坂爪さんに読んでもらえたら爆裂うれしいなと思い、本を送らせていただきます。気が向いたら見ていただけると、鼻血が出るほど嬉しいです。

本のエピソードに『合法麻薬「お給料」』というタイトルがあり、文字通りお給料と社会保険という名の安心安全シャブ漬け状態だった話なのですが、文脈は違えど坂爪さんの書く文章は私にとって合法麻薬みたいな存在です。気づけば無性に読みたくなり、ギンギンの目でついつい熟読しちゃう。読めば読むほど安心安全からは遠ざかるけど、おかげさまでこの先の人生めっちゃ楽しみです。最後に、坂爪さんの体調&ケガの回復を心よりお祈りします!!

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おおまかな予定

2月14日(水)東京都品川区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!

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