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第二章 青春少年
第64話 土倉兄弟

『真琴様、長澤様を助けてくださいませっ』

『佐倉さん、紅ちゃんを守ってあげてくださいっ』


イヤモニからマリアと水川の声が飛んでくるが長澤のレベルはたしか90台だったはず。

相手の男性二人の心配をした方がいいのではないだろうか。


「てめぇオレらのこと格闘系youtuber最強の兄弟だって知らねぇわけじゃねぇよなぁっ!」

ヒゲ面の男性が声を上げた。

その怒声で遊園地に来ていたほかの客たちが「なんだなんだ」と騒ぎ出す。


「はぁ? 何それ、初めて聞いたわ」

長澤は男性にひるむことなく返すと「馬鹿じゃない」と切って捨てた。


その瞬間だった。

「おらぁっ!」

サングラスをかけた男性の方が長澤に殴りかかった。


あれ? 結構速い?


すると、

ゴッ。

鈍い音とともに長澤は左頬を殴られ後ろに吹っ飛ぶ。


「長澤っ」

『長澤様っ』

『紅ちゃん!』



「ぅう……くっ」

長澤はなんとか立ち上がろうとするも膝に力が入らないようで這いつくばっている。


そんな長澤を冷たい目で眺めながら、

「オレたちは兄弟そろってレベル99だぜ、女なんかに馬鹿にされてたまるかってんだ!」

「土倉兄弟を馬鹿にしたんだ、きっちり土下座して謝れやっ!」

自称youtuber最強兄弟がほえた。



いくら得物を持っていないとはいえ長澤を殴り飛ばすとはレベル99っていうのは本当らしいな。

そうなると長澤一人じゃ荷が重いか……。


「あん? なんだてめぇ? 男は引っ込んでろ!」

「断る。彼女が殴られて黙っているわけにはいかないからな」

俺は兄弟と長澤の間に割って入っていた。


「佐倉……馬鹿……何やって……」

「悪い長澤。お前の方が強いと思ったから助けるのが遅れた」

「おいてめぇ、女の前だからってカッコつけてっと殺ぶふぅっっ!?」

ヒゲ面の方が唇がくっつきそうなくらい近付いてきたので俺はたまらず持っていたアイスのスプーンで腹をどついた。


ヒゲ面は気を失ったのか膝から崩れ落ちる。


「佐倉っ……!?」

「なっ……!? き、貴様兄貴に何しやがったっ!」

グラサンの方がそれを見て声を荒げた。


「いや、ちょっとつついたら倒れた」

「き、貴様、殺してやるっ! スキル、真空魔法ランク10っ!」

グラサンが魔法を唱えた。

直後無数の真空の刃が襲い来る。


「佐倉ぁっ!」

「馬鹿がっ! オレたちに逆らうからこうなるんだっ! せいぜいあの世で後悔するんっ………………な、な、なんで生きてやがるんだ貴様ぁっ!?」

「さあ? 俺にもよくわからん」

手ではじき飛ばすつもりでいたのだがスキル【魔法耐性(強)】のおかげだろうか体に当たっても切り傷一つ出来なかったのだ。


「くっ……き、貴様なにもんだっ!」

「俺? 俺は……一応彼氏かな」

一時的な練習相手だけど。


「ふざけんなっ! スキル、真空――」

「それはもういいよ」

俺は瞬時にグラサンの背後に回り込むとアイスのスプーンで背中をついた。


グラサンは「ぐぁっ……!?」という声にならない声を出すと地面にばったりと倒れ込む。


その後、

「真琴様ーっ」

「紅ちゃーん」

すぐに駆け付けたマリアと水川によって長澤は無事何事もなかったかのように立ち上がった。

お読みいただいてありがとうございます!

ブクマや評価などもとても嬉しいです!

これからもよろしくお願いいたしますm(__)m

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