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第二章 青春少年
第62話 水川とのデート

マリアとの昼ご飯を終えると今度は水川とのデートの時間が始まった。


「よ、よろしくお願いします……」

「あ、ああ、こちらこそ」

ただの練習なのに水川が緊張しているものだから俺にまでその緊張がうつってしまう。


俺は変な緊張感を振り払うように咳ばらいを一つすると、

「水川の理想のデートってなんなんだ?」

自然な口調で訊ねてみた。


「え、えっと、わたしは……水の生き物が好きなので水族館とか行きたいです」

「水族館か、俺も好きだぞ水族館」

水族館は基本薄暗くて静かなので俺は結構気に入っている。


「あ、そ、そうですか。よかったです」

「じゃあこれから水族館に向かえばいいのか?」

「は、はい。お願いします」


そうして俺と水川は近くの水族館へと足を運んだ。



☆ ☆ ☆



クラゲの水槽の前で立ち止まる水川。


「クラゲが好きなのか?」

「はい。すごく神秘的で幻想的でわたしすごく好きなんです……あっ、あのクラゲはミズクラゲといって鑑賞用にペットとして飼われることもあるクラゲなんですよっ。きれいだな~」

水川はいつになく高いテンションで俺にクラゲの説明をしたかと思うと次の瞬間「あっ、あっちにもっ」と駆け出して別のクラゲの水槽に向かっていった。


本当にクラゲが好きなんだなぁ。

水川の後ろ姿を眺めながら思う。


と、

『佐倉、今のうちよっ。蓮華のためにお土産売り場でクラゲのキーホルダーでも買っておきなさい。それをあとで渡すのよ』

長澤の声がイヤモニに届いてくる。


「クラゲのキーホルダー? よくわからないけどどうせならぬいぐるみとかの方がいいんじゃないのか?」

俺の中では女子はぬいぐるみが好きというイメージがあるのだが。


『蓮華はクラゲのぬいぐるみは山ほど持ってるから別のものの方が絶対に喜ぶわ。とにかく蓮華に気付かれないうちに早く行ってっ』

「はいはい、行きますよ」


俺は長澤の指示に従ってお土産売り場に向かうことに。

誰の目にもとまらぬ速さで瞬時にお土産売り場に移動するとそこでキーホルダーを探した。


がしかし、

「おい長澤、クラゲのキーホルダーなんかないぞ」

どこを探しても目当てのものはみつからない。


『えー、よく探しなさいってば。絶対あるわよ』

長澤は言うが時間的にもう余裕がない。

もしかしたら水川が俺がいないことに気付いて探しているかもしれない。


俺は「これくださいっ」と適当に近くにあったものを手に取り購入すると水川の待つクラゲの水槽へと瞬間移動のごとく素早く戻った。



☆ ☆ ☆



「あ、あの今日はありがとうございました。す、すごく楽しかったです」

水族館を出たところで水川が頭を下げた。


「そう、それならよかった」

イルカショーやアシカショーなどではなくクラゲやイソギンチャクといった地味なものしか見ていないのだが心底喜んでいるようなのでよしとしよう。


水川との水族館デートもこれで終わり。

俺はきびすを返そうとして、「あっ!」と声を上げた。


「ど、どうしたんですか?」

「いや、水川にプレゼントを買っておいたんだよ。今の今まですっかり忘れてた」

「プレゼント……ですか?」


俺はズボンのポケットから買っておいたものを取り出し水川に、

「はい、これやるよ」

と手渡した。


「えっ、これって……!」

「本当はクラゲのキーホルダーを探してたんだけどみつからなくてな、だからありきたりだけどぬいぐるみにしちゃったよ」

俺が水川に渡したのは三センチほどの大きさのクラゲのぬいぐるみだった。


「悪いな」

「そ、そんなことないですっ。わたしキーホルダーよりぬいぐるみの方が全然よかったですっ。ありがとうございますっ」

水川は心底嬉しそうに表情を明るくさせる。

……おいおい、話が違うぞ長澤。


「で、でもこれ本当に貰っちゃってもいいんですか?」

「ああ、初デートの記念てことで」

「あ、ありがとうございます佐倉さんっ。わ、わたしこれ一生大事にしますっ」


水川はその後何度も何度も俺にお辞儀を繰り返したのだった。

それはもう通り過ぎていく人たちが不審に思って振り返るくらいに。

『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』

という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m


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