クロノアクロニクル 第30回! 今回はオープニングムービーをめぐるエピソードを。

Mar 3, 2018 · 12:47 AM UTC

オープニングムービーはクロノアに植え付けられたヒューポーとの出逢いの記憶な訳ですが、それはゲームを遊ぶプレイヤーの分身としてのクロノアに記憶を植え付けることでもあるのです。
つまりプレイヤーにヒューポーとの出逢いの記憶を無条件で受け入れて記憶してもらう必要がありました。そこでオープニングムービーはスキップできないようにしたのです。
するとデバッグチームからクレームが付きました。 毎回新しいROMになる度にオープニングムービーを観なくてはデバッグを始められないので困る、と。そもそもオープニングムービーはスキップできなくてはダメだと。
デバッグの課長とも話し合いました。 このゲームのストーリーでは、エンディングの大どんでん返しが重要で、それを成立させるためにはオープニングムービーを観て記憶していることが必須なのだと。
しかし、デバッグの課長は、それは制作者のエゴだと言うのです。ゲームを遊ぶお客さんにはストーリーなんてどうでもいい人もいるから、その人にとってはスキップできないのは不親切だと。
でもゲームを買ってきて初めてプレイする時の一回だけスキップできなくてもそれで嫌になってしまう人はいないんじゃないか、それよりもうっかりスキップしてしまったら取返しがつかないのでその方が問題だと言いました。
とにかくここに関してはこのストーリーの根幹だったので、一歩も引かない覚悟で交渉しました。「もしこの件でクレームがあった場合はわたしが全責任を取ります!」と言って、ついにはデバッグの課長に折れてもらいました。 ここだけはクリエイターのこだわりを通させてもらったのでした。 つづく