日本を代表する温泉町、神奈川・湯河原で寒気が走る事件が起きた。火災が発生した民家から額に包丁が刺さった女性の遺体が見つかり、火災発生の数時間前には近くのアパートの一室に男が侵入、住人の男性の頭を鉄パイプのようなもので殴って逃走した。文豪、夏目漱石の「明暗」の舞台ともなった名湯が騒然としている。
事件が起きたのは21日午前6時ごろだった。神奈川県湯河原町宮下の平井美江さん(66)方で火事が発生。約30分後に鎮火したが、木造平屋の住宅の焼け跡から、額右側に包丁のような刃物が刺さった平井さんとみられる女性の遺体が見つかった。
女性は寝室のベッド上であおむけの状態で、包丁は刃が全て隠れるほど額に刺さっていた。県警は殺人、放火事件と断定し、小田原署に捜査本部を設置。司法解剖の結果、死因は脳挫滅と判明し、遺体の頭部と顔には鈍器による打撲や刃物による数十カ所の傷もあった。
平井さんは足が不自由で、自宅近くの障害者支援施設「湯河原町地域作業所たんぽぽ」で袋詰めなどに従事していた。
出火の約6時間前には、平井さん方から南東へ数百メートル離れたアパートの一室に男が侵入。住人の男性会社員(61)を鉄パイプのようなもので殴り、頭にけがを負わせ逃走した。