モンティホール問題を初めて知った。アメリカのクイズ番組の司会者モンティ・ホールに由来するらしいが、確率論の話で、前提が変わると確率も変わると言うアレだ。物凄い簡略化して言うと、直感に従うと当たる確率は三分の一だが、臨機応変に選び直すと当たる確率が二倍になることが証明された。詳細は検索して欲しいが、私はこれを人生に適用した。激しく乱暴にまとめると「決め過ぎると人生はつまらなくなる」ということで、２割の本気と８割の遊びがちょうどいいということを思うようになった。

一日のはじまりに「今日はこれをしよう」的なことを誰もが考えると思う。やるべきことを十個決める人もいれば、なんとなく二〜三個だけ決めてあとは流れ次第とする人もいると思う。私は完膚なきまでに後者で、ガチガチに決められた環境にいると精神が錯乱して病気になる。普通、金がない時は働くと思う。だが、私は迷わず路上を選ぶ。広い庭の家を見た時は「ここにテントを張らせてくれとお願いしたら生きていけるかな」と沈思黙考するし、南国に行った時は「最悪ここでルンペンになろう」と思う。俺に人権は要らないから、好きなことをやらせてくれと思う。やるべきことは少しにして、あとは適当に散歩をしたりぼけっとしていると、空いた８割に奇跡が舞い込む。運とハッタリだけで生きて来たこの人生を、気に入っている。

酒が大量にあるから誰か飲みに来てくれと書いたら、昨日、内定が決まった女性Ｔ様が祝いの酒を飲みに来てくれた。Ｔ様が生まれた家は激しく貧しく、食べるものがない時は兄弟でジャンケンをしてパン屋さんに廃棄を貰いに行っていた。ある日、六歳になるかならないかのＴ様がジャンケンに負けて、パン屋さんに行った。パンの耳をくださいと言う幼女を見た店員は驚き、思わず「人間が食べるの？」と聞いた。その言葉が印象的で、今でも覚えているとＴ様は言った。別に、恨んでいるとかではない。品格もあり見目も麗しいＴ様の全身からは野性が漂っている。「学校に行っていないからだと思います」とＴ様は言った。私が使うノートは絶対に無地。線が引いてあるノートは嫌だ。人の言うことを聞きたくないのですとＴ様は笑った。

Ｔ様は「女子校出身の女はすぐわかる。女家族で育った人には独特の下品さがある」とか「スピリチュアル集団に迷い込むと、すぐにハグをしてこようとするから気持ち悪い。大事な何かをすっ飛ばしている気がするから、私は全身をハリネズミにするイメージで阻止をする」とか「女風呂は悲惨だ。女は男がいなければ女になれない。サウナであぐらをかく女は論外」などの持論を展開した。話題は女性の生理に移り、私は女体の神秘に感動した。私は、女性の生理を知らない。排卵と生理が別物と言うことさえわかっていない男は、私だけではないと思う。Ｔ様は排卵した瞬間が分かると言った。だが、多くの女性は多分気づいていないだろうと言った。私は真面目に話を聞き続けた。Ｔ様は「排卵日に高まる性欲は常軌を逸しており、高校三年生の男子も驚くレベルである」と宣言した。

私は、ある女性のエピソードを思い出した。その人は「三日三晩寝ないでセックスをしたら、私の肌艶はかつてなく輝いたが、男の人は枯れ果てていた」と言った。自分で言うのもアレだが、私は結構頻繁に女性に襲われる。男が女を襲うと犯罪になるが、女が男を襲うのは自然に感じる。動物界では、着飾るのは女ではなく男だ。女に精力を奪われて死ぬのは、男にとって理想的な死に方だと思う。カマキリに通じる。現代社会は「男のタイミングに女が合わせる」ことが多い気がするが、逆の方が自然なのではないだろうか。尽くす女は男をダメにするとよく聞くが、女のタイミングに男が合わせる。合わせなくとも、女のタイミングを理解することが世界平和に繋がるのではないか。男女の仲を思う時、私はシヴァ神の体に乗って暴れ狂うカーリーの姿を思い描く。多分、あれが理想だ。女性目線の話は面白い。学ぶ喜びは、教える喜びを凌駕する。もっと女を知りたいと思った。