東京・豊洲市場に至近の新施設『豊洲 千客万来』が今月オープンした。
東京湾を望む露天風呂を完備するなど充実した温浴施設が併設されるなど、ベイサイドエリアのまちづくりや活性化につながる新たな名所としての期待がかかる。なかでも話題なのが、超強気に価格設定された通称「インバウン丼」と呼ばれる「海鮮丼」などのインバウンド向けのグルメだ。
「日本人にはムリ!」「いくらなんでも高すぎる」…海鮮丼1食約7000円、豊洲で話題の「インバウン丼」は中国人の“爆食い”で日本の観光新境地を切り拓けるか
2月1日にオープンした、江戸グルメを堪能できる新施設「豊洲 千客万来」がにぎわっている。なかでも1食約7000円の海鮮丼は完全インバウンド向けの価格設定で「インバウン丼」として大注目の存在となった。
中国人の“爆食い”に戦々恐々
まず最初は、日本には観光で2週間ほど滞在予定で、1本3300円の牛串を食べ歩きしていたドイツ出身のガミッシュさん(37歳)。
「これが高いかって聞かれると、安くはないかもね。でも、日本のレストランはサービスがいいし、接客も親切だし、エンターテインメントの要素もある。単純に料理だけの値段じゃない。それにせっかくの旅行中くらいちょっとは贅沢してもいいと思ってる。日本人だってイタリアに行ったら、5000円のカルボナーラを食べたりすることもあるでしょ(笑)」
5000円のカルボナーラはともかく、たしかに海外旅行に出かけるときは、それなりの出費は覚悟するもの。「安くはない」と思いつつも、満足している様子だった。しかも、円安で日本を訪れやすい今、やはり日本人と外国人とでは金銭感覚が少し違うのかもしれない。
では、日本人はどう思っているのだろうか。
「本まぐろ100%のネギトロが主役の3色丼」(6400円)を食べていた小池秀道さん(41歳)は大阪から東京観光で来たついでに立ち寄ったという。
「めっちゃ高いですね。味は普通においしいですけど、なんせ高いです。さっき地元の友達のグループLINEで写真を撮って送ったんですけど、値段を言ったらみんなびっくりしてツッコんできました。『東京怖いわ』『欧米かっ!』とか(笑)。確かに高すぎるけど、おもしろい土産話ができたんで、それも込みでよしとします」
「本まぐろ100%のネギトロが主役の3色丼」(6400円)
他にもカップルで食べていた韓国人のふたりは「映え」を意識して丼を何度も撮影し、インスタにアップするのだと張り切っていた。ただ、ご飯を食べるということ以外の付加価値が「インバウン丼」にはあるのかもしれない。
今年の2月10日~17日は中国の春節に当たり、「旧正月で財布のヒモがゆるんだ中国人がツアーで爆買いならぬ“爆食い”に来るかもしれない」と同施設で働くスタッフは戦々恐々としていた。実際、リーズナブルな価格帯の飲食店にはすでに長蛇の列ができている。
2024年に誕生したこの新スポットが、もの珍しい観光地として終わってしまうか、東京の名所のひとつとして新境地を切り拓くか、オープンして最初の勝負どころが今から始まる。
取材・撮影・文/集英社オンライン編集部
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