「解決をいつまでも願っている」 八王子3人射殺から28年

2023.7.29

 「暑くなってくると思い出すんです」。東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で1995年7月、女性3人が拳銃で射殺された事件は、30日で発生から28年となった。店のアルバイトをしていた高校2年で、犠牲者の1人となった矢吹恵さん=当時(17)=が通っていた東京都町田市の私立桜美林高で、学年主任だった元数学教諭伊藤孝久さん(72)は「解決をいつまでも願っている」と話す。

事件で亡くなった矢吹恵さんが通っていた高校で、当時学年主任だった伊藤孝久さん=14日、相模原市
事件で亡くなった矢吹恵さんが通っていた高校で、当時学年主任だった伊藤孝久さん=14日、相模原市
1995年7月、女性3人が射殺されたスーパー「ナンペイ大和田店」を調べる捜査員=東京都八王子市
1995年7月、女性3人が射殺されたスーパー「ナンペイ大和田店」を調べる捜査員=東京都八王子市
事件で亡くなった矢吹恵さんが通っていた高校で、当時学年主任だった伊藤孝久さん=14日、相模原市
1995年7月、女性3人が射殺されたスーパー「ナンペイ大和田店」を調べる捜査員=東京都八王子市

 事件が起きたのは日曜日。気温の高い日だった。伊藤さんは野球仲間の友人らと出かけた神奈川県内のキャンプ場で校長から電話で一報を受けた。「矢吹さんが事件に巻き込まれて亡くなった」。切迫した声色に血の気が引いた。理解が追いつかないまま、車で急いで自宅へ戻った。
 おとなしくまじめな生徒だった。休み時間になると友人がたくさん集まり、楽しそうに談笑していた風景が今も目に浮かぶ。高校に入って保育士になる夢が固まり、ピアノやオルガンの練習を懸命に頑張っていたと耳にした。「優しく明るかった彼女にはぴったりの職業。すてきな保育士さんになっていただろうに」。そう話すと、言葉を詰まらせた。
 28年は長かったようで「事件のことは昨日のことのように感じる」。犯人が憎い。許せない。気持ちは年々高まる。「どうか少しでも解決に向かってくれれば」
 95年に矢吹さんの同級生らと「銃器根絶を考える会」を立ち上げた。今でも毎年、数人と高校の文化祭で事件を振り返り銃の根絶を訴える活動を続けている。「人の命を簡単に奪えてしまう銃は必要なのか」と問い、命の大切さを訴えている。
 2017年に退職した後も高校で開かれる追悼礼拝に足を運ぶ。「事件を風化させないよう今後も少しでも多くの人に伝えていきたい」

 八王子の3人射殺事件 1995年7月30日夜、東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で、ともにアルバイトで高校2年の矢吹恵さん=当時(17)、前田寛美さん=同(16)、パートの稲垣則子さん=同(47)=が拳銃で頭や顔などを撃たれ殺害された。高校生2人は粘着テープで手を縛られていた。2010年に殺人罪や強盗殺人罪の公訴時効が撤廃されたため、捜査は継続している。警視庁八王子署捜査本部は延べ約22万人の捜査員を投入。情報提供は1599件に上る。現金約500万円が残された金庫にも弾痕があり、強盗と怨恨の両面で調べている。

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