実際のところ圭も真実の目というものを良くわかっていないのだから仕方ない。
しかしふとマティオのことを思い出した。
マティオは圭の真実の目のことを知っているような感じであった。
あの時のことはかなり危機的状況にもあったのでやや記憶としては曖昧なところもある。
あの時のマティオはマティオであったがベルフェゴールという名前も表示されていた。
そのベルフェゴールが知っていそうな口ぶりだった。
マティオというかベルフェゴールという悪魔のが知っている相手なら、おそらく悪魔。
もしかしたら自分の目は悪魔の、というざわりとした思いが浮かぶ。
これまで考えなかったことではないがあえて目を逸らしてきたような考えだった。
「どうかしたか?」
「ん、いや、なんでもない」
ただそうだったとしてもどうしようもない。
マティオは欧州連盟に輸送されてしまって簡単には質問できない。
もし悪魔の眼だったとしても自分の目をくり抜くことだって出来やしないのだから深く考えることはやめた。
どんな目だろうと悪いのは能力そのものではない。
どんな能力だろうと使う人によって良いものにも悪いものにも変わるのである。
出来るだけ良いように能力を使っていこうと圭は周りに真実の目を使ってストーンゴーレムを探す。
ゴブリンの時のように見つからないなと思いながらも探しているともう一体ストーンゴーレムを見つけた。
一体目の時の経験を活かして核は後回しにして足から破壊して機動力を奪う。
倒してしまうと起き上がることを最優先するので定期的に手を払って転ばせてやると楽だった。
二体目も目を凝らして見つめていると脇腹がぼんやりと光って見えた。
脇腹を破壊してみると核が出てきた。
真実の目ではストーンゴーレムの核の位置がおおよそ分かるみたいだった。
最初は心配だったストーンゴーレムも意外と簡単に倒せるということが分かったので後は探すだけとなった。
「うっ……!」
「圭さん、大丈夫?」
急に圭がふらついて夜滝たちが心配そうに圭を見る。
圭は目をギュッとつぶって手で押さえている。
普通に歩いていて何の前兆もなかったので原因も分からず夜滝たちは慌てる。
「うん……大丈夫」
「いきなりどうしたんだい?」
「目が痛くなって」
「目が?」
圭がふらいついたのは急に目が痛んだからであった。
真実の目を発動させるように意識しながら周りを見ていたら目の奥がずきんと痛んだ。
「……もしかしたら使いすぎなのかもしれないねぇ」
これまで圭の真実の目の利用は単発的だった。
気になる人はいないかと町中で使っていた時もあるが常時発動していたのではなく気になった人がいた時に見るぐらいだった
こんなにずっと意識して使い続けていることは初めてである。
それに対して夜滝はスキルの使いすぎだと予想した。
スキルもタダで使い放題というものではない。
強力な力を低リスクで使えるのがスキルであるが一定以上に使いすぎると反動のようなものが現れることもある。
夜滝の思考加速も魔法を高速化させてくれるスキルであるが常に使い続けていると脳が焼き切れてしまいそうな感覚に襲われる。
波瑠の風の導きやカレンの大地の力もあまり連発して使うとある程度のところで急に疲労感に襲われたりするのだ。
なので圭の真実の目も使いすぎたために反動として目が痛くなったのではないかと思ったのである。
「そっか……そうかもしれないね」
目をパチパチとさせて確かめる。
特に見え方などに変化はないので少し安心する。
風の導きや大地の力は魔力も使うので消費している感じを掴みやすいが真実の目は消費をしている感覚もないので難しい。
少し濡れタオルを目に乗せて休ませることにする。
「常に発動しっぱなしは危険かもしれないね。下手すると失明なんてリスクもあるかもしれない」
「そうだな。何事もやりすぎはよくないもんな」
「ちょっと圭さんの目に頼りすぎだったかもね」
楽で便利だからと使いすぎてもいけない。
圭は真実の目にも限界があることも知ったのであった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。・特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はパソコン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。