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第四章
使いすぎにもご用心1

『ストーンゴーレムを5体倒せ!


 シークレット

 ゴーレム製作者の研究所を探して彼の望みを知ろう』


 中国からの接触はあったので次はアメリカかなとか思っていたけどそんなこともなく塔の二階にやって来た。

 試練をクリアしていない時には一階にある二階へのエントランスへの入場は拒まれたけれど試練をクリアするとそれがウソだったかのように通ることができた。


 二階にやってくるとまた試練の表示が現れた。

 塔の試練も様々である。


 階によって試練が固定のこともあれば人によって微妙に違っていたり、何種類かのパターンがある階があることも現在では確認されている。

 二階の試練は固定でストーンゴーレムを倒すこと。


 一階にしかいなかった圭であるが低層階の試練の話はエントランスを守る警備の覚醒者から聞いたことがあった。

 二階の試練であるストーンゴーレムを討伐することも知っていた。


 ネットで探しても知ることができる情報である。

 しかしここでもシークレットという項目が圭にだけ見えていた。


 二階のシークレットの情報はネットにも転がっていなかった。


「つまりはゴーレムを作っている存在がどこかにいるってことかねぇ?」


「確かに! えっ、ゴーレムって人工的に作られたモンスターなの?」


「うーん、私は聞いたことないねぇ」


 シークレットがなんなのかはなんとなく分かったし、今それを深く考えても仕方ない。

 けれどゴーレム製作者なる言葉に夜滝は引っかかった。


 ゴーレムがいるのは別に良いがそれを作っている存在がある。

 モンスターであるゴーレムを作り出す存在がいる、あるいはモンスターであるゴーレムを作り出せるということは驚きの事実だ。


 恣意的にモンスターをコントロールするための実験としてモンスターを人工的に生み出そうとした禁忌の実験もあったがどれも失敗に終わった。

 本当にゴーレムを人工的に作れるのだとしたらとんでもない話なのである。


「まあ……分からないねぇ」


 どの道今の段階では情報も少なすぎた。

 どのような考えも推論に過ぎないために夜滝はめんどくさくなって考えることをやめた。


「とりあえずゴーレム倒しゃいいんだろ?」


「そうだねぇ」


 シークレットはシークレットだ。

 秘密の項目であるしクリアしなくても次の回に行くことはできる。


 もし見つけられたらいい。

 見つけられなくてもそれはそれでいい。


 そんなにガチガチに攻略しようとしているメンバーでもないのでのんびり構えて二階を攻略することにした。

 二階は一階と打って変わって荒野のような場所である。


 赤茶けた地面が広がっていて植物らしきものはほとんど見えない。

 少しヘルカトに引きずり込まれた時のことを思い出す。


 ヘルカトに引きずり込まれた先の空は赤く、二階は普通の空だけど景色はこのような荒野だった記憶がある。


「ストーンならどうにか倒せる……よな?」


 ゴーレムにもいくつか種類がある。

 ストーンゴーレムはゴーレムの中でも弱い種類である。


 他にマッドゴーレムやアイアンゴーレムなど素材の違うゴーレムも確認されている。

 弱いと言ってもゴーレムを倒すのは簡単ではない。


 体が石で出来ているので硬く、攻撃力も意外と高い。

 いわゆるアンデッド系モンスターにもあたり、痛みなどを感じない性質があるのでダメージも与えにくい。


 その分速度は遅く、油断しなければ攻撃を食らうことも少なくはある。

 倒す方法はゴーレムの核と呼ばれる弱点を破壊することである。


 ゴーレムは体のどこかに核と呼ばれるものを持っていて、それが弱点なのである。

 それだけ聞けば倒すのも簡単に聞こえるが核を破壊するためには核を探さねばならないのだ。


 これが多少面倒でどこにあるか分からない上に硬い石の体を破壊して核を露出させねばならないのである。

 E級相当の覚醒者アタッカーならストーンゴーレムの体にも攻撃が通じるらしいが筋力値がどれぐらい必要なのかまでは実際に戦ってみないと分からない。


「たぶん大丈夫だと思うけどな」


 一応E級相当の筋力値はある。

 それに今回はちゃんとメイスなどを破壊のしやすい打撃武器も持ってきた。


「夜滝さんがピピーンと見つけてくれたらいいんだけどね」


「それもストーンゴーレムにあってみないと分からないねぇ」


 魔力感知に優れた魔法使いならゴーレムの核の場所を何となく感知できる事もあるらしい。

 もし夜滝がゴーレムの核の位置を感知できたら倒すのも楽になる。


 ただ感知できるかどうかは実際ストーンゴーレムに遭遇してみないことには分からないのである。


「見えてきたな」


 現在圭たちは現在荒野に立てられた旗に沿って進んでいた。

 旗に沿って進むと縦に大きな岩のオブジェみたいなものが見えてきた。


 これは三階へのエントランスとなるゲートであった。

 二階へのエントランスゲートは金属で作られたオブジェのようなものだったが三階のエントランスゲートは岩で出来ていた。


 旗はエントランスゲートまでの道しるべとなっているものであった。

 一応夜滝が手を伸ばしてみるけれど試練をクリアしていないので通ることはできなかった。

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