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第四章
報酬確認

「むーん、いらなぁーい!」


 波瑠は床に倒れ込んで落ち込む。


「ははははははっ!」


 それを見てカレンが大爆笑している。


「うっ……これはなかなかくるねぇ」


 夜滝も笑いを堪えてプルプルと震えている。


「不思議なもんだな」


 圭はちょっと複雑そうな顔をしている。


「こんなパーティーグッズみたいなのありぃ?」


「そ、その声で話すのやめてくれ! 笑いが止まらなくなる!」


 なぜ大盛り上がりしているのか、それは波瑠の声が原因であった。

 波瑠の口から発せられる声は今圭の声と同じだった。


 波瑠が圭の声で話しているものだからカレンは面白くて笑いが止まらないのである。


『声変わりのアメ


 舐めている間どのような声でも出すことができるようになる。味は3種類ある』


 圭の声を出しているのは不思議なアメの効果。

 それは大王ゴブリンを倒した報酬でもらったものであった。


 圭の奇妙な剣やカレンのミスリルに比べて少しネタ的なものっぽい感じの報酬に波瑠は不貞腐れている。

 4位だったしカッコいいものをとは言わないけれどもっと何かあるだろうと思わずにはいられない。


 ただ効果は確かなものでアメを舐めている間に出したい声を頭の中で想像すると思った通りの声が出る。

 同じ女性であるカレンや夜滝だけでなく男性の圭や和輝の声まで出すことができるのだ。


 男性の声でいて普段の波瑠の話し方をするのだから面白いのである。

 自分の声で話されている圭としては少しばかり気分は複雑であるがなかなかユニークなアイテムである。


「お兄さぁ〜ん、私悲しい!」


「うおっ、おま、そんなのやめろ!」


「ぷっ、はははっ!」


 今度はカレンの声で甘えたようなセリフを口にする。

 ゾワッとカレンが鳥肌を立てて慌て、夜滝は堪えきれずに笑い出す。


「いやん、カレン怖ーい」


「恥ずかしいから変なこと言うなぁ!」


 普段なら絶対にしないであろう猫撫で声にカレンが顔を真っ赤にする。

 戦いには役立たないがこんなアイテムも貰えることがあるのだなと圭は感心してしまった。


「あとは夜滝のやつだね」


「ふっふ、私の声は美声だねぇ」


 夜滝は研究のために自分の声を録音して聞いていたりするので圭たちほど自分の声に恥ずかしさを感じない。


「夜滝ねぇがもらったのは羽……か」


「うむ、そうだねぇ。綺麗な羽だよ」


 夜滝が大王ゴブリン討伐の報酬でもらったのは真っ白な大きな羽であった。

 腕の長さぐらいある大きな羽であって、触ってみるとかなり手触りが良くて気持ちがいい。


『ホワイトフェニックスの羽


 ホワイトフェニックスの抜け落ちた羽。

 清純なホワイトフェニックスの魔力が込められていて持っているだけで魔力の回復を助けてくれる。

 火属性に対する耐性も所有者に付与してくれる。

 手触りが良く大量に集めて布団にすると良い』


「まあ良いもんなんだろうけど……」


 見てみた感じ効果はかなり良さげ。

 魔力の回復を助けてくれて火属性耐性をつけてくれるなどアーティファクトだとしたらかなり高性能なものになる。


「けれど大きすぎるねぇ……」


 ただし持っておくにはこの羽デカすぎるのである。

 長さもさることながらフワッとしていて横幅も結構ある。


 ゲートから出てきてゴブリンと戦っている時も白いデカい羽を持っている夜滝はちょっと浮いて見えた。

 戦いの邪魔そうにもしていたのでいつも持ち歩くには不便な大きさである。


 羽は一枚しかないので試しに加工してみようとも出来ない。

 もちろん集めて寝具に、なんて不可能である。


「うりうり」


「なんか……くすぐった気持ちいいな」


 夜滝が羽の先で圭の首をサワサワとくすぐる。

 くすぐったい感じはあるけれど羽の感触は気持ちいい。


「まあなんか入れ物とか考えてみるか」


 そのまま持ち歩くことは出来ない。

 なので身につけるために何かに入れておくなどの工夫すればいい。


「なんか私だけが大外れな感じ〜」


「いや、俺だって折れた剣と謎の鍵だぞ」


「でもなんかそれは将来性感じるじゃん? こっちは声変わるアメだよ!」


「私はいいもんだったからな。次があるなら貢献できるように頑張れよ」


「むー! お兄さーん、カレンがいじめるぅー!」


「ええい! 私の声でやめろって!」


 わかりやすい価値ならカレンのミスリルが良いものだったと言える。

 波瑠が自慢げにドヤ顔をしているカレンの声真似をしてまたギャアギャアと騒いでいた。

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