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第三章
日常、平和

 騒ぎになってしまったので隠すこともできない。

 覚醒者協会が悪魔教に踏み込んだことは大きなニュースとなった。


 もちろん欧州連盟の大使でもあるヴェルターが逮捕された事も大々的に報じられた。

 欧州連盟との大きな問題になると世間では心配の声が上がっていたのに対して欧州連盟は異例の沈黙を貫いた。


 覚醒者協会だってこうしたことになるのは想定していたのでマスコミ対策も万全であった。

 悪魔教を徹底的に悪に仕立て上げ覚醒者協会の行動の正当性を訴えかけ、その過程でヴェルターが悪魔教の中でも重要な地位にあった人物であったことも明かした。


 好感度の高いヴェルターの正体に世間は衝撃を受けた。

 むしろ好感度が高かったからだろうかすぐさま手のひらを返したようにヴェルターに対する非難の声が上がり始めた。


 悪魔教であったヴェルターの正体を見抜けず大使にした欧州連盟にも非難の声があがったのだが覚醒者協会や日本政府は欧州連盟を擁護した。

 欧州連盟も悪魔教の被害に遭った人の支援救済をすることを約束し、悪魔教への非難の声明を出すと瞬く間に非難の声は収束した。


 ヴェルターは大使の身分を剥奪されて外交特権はなくなった。

 そのために日本で拘束されることになり、欧州連盟と共同でヴェルターへの捜査が進められることになった。


 ヴェルターを諦める代わりに欧州連盟への批判を抑える協力をすることが裏で行われた取引であった。

 圭たちが戦っている同時刻では他の黒月会の支部にも踏み込んだり圭が名前を上げた黒月会にお金を渡していた信者も逮捕された。


 ほぼほぼ黒月会は消滅したと言っていいほどの状況だった。


「すごいニュースだな……」


 新聞やテレビ、ネット記事を見ても悪魔教、黒月会、ヴェルターと関連することばかり。

 今もテレビでは年配のコメンテーターがヴェルターのことをこき下ろしている。


 元々怪しいと思っていたんだ、など誰にでも言えると圭は鼻で笑う。


「てゆーか……なんでいんのさ!」


「いーじゃない。

 減るもんじゃあるまいし」


「いや、飯は減るだろ」


 圭たちは食事中だった。

 圭の部屋に集まって圭が作った料理を食べていたのだけどそこにかなみと薫が押しかけてきた。


 少し話がしたい、今日の予定はと聞かれたので家にいると答えたのだけどそのまま押しかけてくるなんて思いもしなかった。

 追い返すわけにもいかなくてそのまま部屋にあげたのだけど何故か一緒に食卓を囲み始めた。


 多めに作って余ったら冷凍しておくつもりだったのにこれだと余らなそうだなと圭は思った。


「みなさんにも話されたのですよね?

 ならこのままお話します」


 薫も気付けば料理を食べている。


「どうなったのかはニュースなどでご存知かと思いますがご協力いただきましたのでちゃんとご報告をと思いまして。

 多くの死傷者は出ましたが今回の作戦は結果的に成功しました。


 一部の幹部は逃げていますが黒月会は解体状態、関連して逮捕者も大勢出ました。

 ヴェルターの逮捕で欧州連盟にある拝金教にも大きなダメージがあることでしょう」


「はい、ニュースでも見ましたしなんとかヴェルターを捕まえられてよかったです」


「今回のことで悪魔教が大きな力を持っていることが浮き彫りになりました。

 覚醒者協会としてもより警戒を強めていかねばなりません」


「あの一つ聞きたいんですけどいいですか?」


「なんでしょうか?」


「他の悪魔教の男……ヴェルターと戦っていたやつはどうなりましたか?」


 色々な情報が出た中で唯一出てこなかったことがある。

 それはマティオたちのこと。


 悪魔教とニュースではひとまとめにされて悪魔教と覚醒者協会の戦いのようにニュースでは描かれていた。

 マティオはあれだけ暴れたのにも関わらずいなかったかのようになっていたのだ。


 それが少し気になっていた。


「マティオ・エルボザールですね」


「あのクソ野郎……」


 珍しくかなみが不愉快そうな顔を浮かべる。

 追い詰められて顔まで殴られたことは忘れない。


「彼は欧州連盟の方に引き渡されました。

 拝金教とはまた別の悪魔教であっただけでなく、いわゆるマフィアであって向こうでは犯罪覚醒者として賞金首でもありました。


 こちらで拘束しておくよりも向こうに任せた方がいいということになって先日秘密裏に移送されたのです」


 マフィアということもあって危険が高く、まだマティオの組織は本格的にこちらに拠点も置いていないのでマティオを取り調べて欧州連盟で悪魔教を追いかけるという話でまとまった。


「ふーん……」


 聞けば聞くほど圭が凄いことに首を突っ込んでいたのだと夜滝も驚く。


「ともかく今回のことは覚醒者協会でも非常に感謝しています」


「私も圭君には感謝しているのよ?

 大きな借りが出来ちゃったわね。


 この上杉かなみ、圭君のお願いならなんでも聞いてあげるからいつでも連絡してね」


 パチンと圭にウインクするかなみを夜滝たちは睨みつけるように見ているがかなみは気にした様子もない。


「なんなら……圭君含めてみんな私のギルドに入らない?

 好待遇は約束するわよ」


「ありがたい提案だけど……」


 圭と夜滝はRSIに勤めている。

 ギルドに加入するのも企業に勤めるのと同じことで大海ギルドに行こうと思ったらRSIを辞めねばならない。


 大海ギルドのほどの大きなギルドに行くことができれば大企業に勤めるのと大きな違いはないがまだまだ圭たちは覚醒者として弱い。

 大ギルドに見合った能力もないのにコネで入れば周りから良くない目で見られることは間違いない。


 さらにギルドに入ってしまえば能力などを管理されるので強くなっていくことを隠せもしない。

 波瑠とカレンも圭が入らないのなら入るつもりはない。


「そ、残念ね。

 でもそうしたところも好きよ」


 簡単になびかないところもまたいい。

 かなみにみんなが対抗心を燃やしていて圭はなんだか居心地が悪いなと思っていた。

後書き、感謝、宣伝、お願い

2023年も一年間『人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~』にお付き合いくださいましてありがとうございます。


皆様の応援のおかげでここまで小説を続けることが出来ました。


まだまだ圭の物語は続きます。


のんびりと更新を続けていきますのでよければこれからもお読みくだされば幸いです。


最後にお願いですがカクヨムコンにこの作品は参戦中です。

カクヨムでお星様などで応援していただけるともっとやる気になります。


お年玉代わりに星三つやるか、という優しい方がいらっしゃいましたら応援よろしくお願いします!


いつも見てます!とか面白かったです!なんて応援コメントでもいいんだぞ!


改めて、いつもお読みくださってありがとうございます!


良いお年を!

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