才能も幸運についてもののようであるがどういったシナジーがあるのかもまた分からなくて困る。
戦闘中に運が良いことが起こるかと言えばそうでもないのだから。
「なあなあ、私は?」
「カレンは……」
『八重樫カレン
レベル16
総合ランクF
筋力E(E+)(伝説)
体力D(D+)(神話)
速度F(一般)
魔力F(英雄)
幸運F(一般)
スキル:大地の力
才能:不屈の再生力を持つ肉体』
カレンもだいぶレベルアップした。
圭たちが強くなってカレンから見て等級が上のモンスターとも戦えるので圭たちに比べるとレベルアップするのが早い。
体力筋力の伸びが良くて装備や才能の影響もあってステータス的に高い。
才能やスキルもカレンの役割にマッチしていて能力以上の働きをしてくれることに期待もできる。
戦いに不慣れであったが度胸もあるし周りのことも良く見えている。
カレンがタンクとして前にいてくれることに信頼感や安心感も出始めてきていた。
武器もどこでも殴りつけられるようなメイスを最終的に選んだ。
筋力の値も伸びてきているので単純な破壊力なら馬鹿にできない。
和輝としてはカレンが前に出るタンクをやるのは心配なようであるが無理に合わないポジションにやる方が危険である。
タンクの負担を減らすためにアタッカーである圭や波瑠にしっかりと戦えるよう厳しく指導していた。
「カレンも強くなったな」
「本当か?
それなら嬉しいな!
少しは圭の役に立ちたいからな」
ニカっと笑うカレン。
タンクは危険な役割であるけれどみんなを守る重要なポジションで大きなやりがいがある。
覚醒したので覚醒者装備も作れるようになったし強くなっていく実感もあって充実していた。
直接的にモンスターを倒すことは多くないけれどタンクとしての役割を果たせばしっかりとカレンもレベルアップしていた。
「うん、カレンが来てくれてパーティーのバランスもだいぶ良くなったしね」
「へへっ」
圭に褒められてカレンが少し耳を赤くする。
体がデカくてあまりよかったことなどないけれど今ばかりはこの恵まれた体型が誇らしく感じる。
「けーい」
「夜滝ねぇも?」
「うむ、ここいらで一度確認しておくのもいいだろう?」
「そうだね。
夜滝ねぇは……」
『平塚夜滝
レベル35
総合ランクE
筋力E(E+)(一般)
体力F(F+)(一般)
速度E(一般)
魔力D(C)(伝説)
幸運E(英雄)
スキル:思考加速
才能:魔道的並列思考』
「あっ、夜滝ねぇも強くなってる」
「おお、それは素晴らしいね」
総合ランクEということは覚醒者等級に直すとD級ということになる。
夜滝は完全に魔法寄りのステータス、スキルや才能をしている。
同じ一般の才能値であっても夜滝の場合は体力よりも筋力や速度の方が伸びやすいみたいだ。
「能力として強くなるのも良いがしっかりと戦い方を学ばねばならないぞ」
「でもお爺さんは魔法を教えられないからねぇ」
「むむ……確かにそこは痛いところだ」
今の時代覚醒者というのは能力頼みな戦いになりがち。
そこを忘れてはいけない。
戦い方を学び、能力を最大限に活かして戦うことが大切なのである。
だが和輝は魔法使いタイプではない。
経験則による立ち回りを夜滝に教えても魔法による戦い方は流石に教えられない。
夜滝に言いくるめられて和輝が困った顔をする。
ただ夜滝も頭はいいので自分で考えて動けている。
「そろそろ中ボスがいるみたいだから気をつけよう」
グルグルとダンジョンを回ってイービルアイを倒してきた。
情報によるとこの先に広い部屋があってダンジョンの中ボスと言える存在がいるらしい。
「イービルグリーンアイか……ネーミングもなんとかならないものかねぇ?」
「わかりやすくていいんじゃない?
私は全然いいと思うけどな」
「もっとこう……かっこいい名前があると思うんだけどなぁ」
夜滝はイービルアイの名前に文句を付けている。
どうせ倒すならもっと凶悪そうな名前のモンスターの方がやった感がある。
だけど圭は個人的に夜滝のネーミングセンスの方がちょっとアレなんじゃないかと思う。
毒棒君も麻痺ん棒も夜滝命名だけどこちらもまたどストレートな名前である。
「みんな、静かに」
地図上ではもうすぐイービルグリーンアイがいる部屋に着く。
会話をやめて気配を殺して進んでいく。
「あれだな」
「なんか……眠そう?」
部屋を覗き込むと真ん中にイービルグリーンアイがいた。
イービルアイよりも2回りほど大きい。
目はイービルアイよりもほんのりと緑色で名前の通りだった。
けれどイービルグリーンアイの目は今半開きになっている。
ゆっくりと瞬きを繰り返していてまるで眠っているようにも見えた。
他にイービルアイはおらずイービルグリーンアイ1体しかいない。
「寝ているなら好都合だ。
夜滝ねぇの魔法で奇襲してそのまま押し切ろう」
モンスターも一応生き物としての性質を持っている。
時に寝ていたり、なぜかぼんやりと油断していることもあるのだ。
それならばこちらも遠慮なく油断を利用させてもらう。
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