プエルト・プリンセサ、新世界七不思議

2011.11.11
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
フィリピン南西部、プエルト・プリンセサ地底河川国立公園にある洞窟の入口。岸辺で無人のボートが観光客を待っている。ユネスコの自然遺産に登録されているこの公園も、「新・世界七不思議自然部門(New7Wonders of Nature)」に選ばれた。

Photograph by David Tipling, Alamy
 フィリピン南西部、プエルト・プリンセサ地底河川国立公園にある洞窟の入口。岸辺で無人のボートが観光客を待っている。ユネスコの自然遺産に登録されているこの公園も、「新・世界七不思議自然部門(New7Wonders of Nature)」に選ばれた。 洞窟内を流れる地下川は全長8.2キロ、広い鍾乳洞をいくつか抜けて南シナ海に流れ出る。探検ツアーでは、天井から下がる鍾乳石と上に向かって伸びる石筍(せきじゅん)が並ぶ光景を至る所で楽しめる。入り口には、古い樹木に取り囲まれた澄んだ池が形成されている。

「この地域はフィリピンでは最後の未開拓地の1つだ」と旅行ガイド出版社「ロンリープラネット」のロバート・リード氏は話す。

 しかし、ベトナムのハロン湾と同様に、プエルト・プリンセサ地下川の周囲でも汚染や開発を懸念する声が上がっている。「同コンテストのようなイベントは、このような自然に対して無造作にスポットライトを浴びせる。環境保全の観点からは、むしろ害になる可能性が高い」とナショナル ジオグラフィック トラベラー誌のコスタス・クリスト氏は指摘する。

「結局はコンテストの目的が何であるのか、という点に尽きる」と同氏は述べる。「将来の世代のために、世界中の危機に瀕した自然環境や海洋地域を保護しようという活動だろうか。それとも、サスティナブル・ツーリズムを通じて発展途上国の貧困軽減を支援する取り組みだろうか。いずれにも当てはまらないようであれば、“観光名所の大々的なアピール”に過ぎず、貴重な自然環境に深刻な被害をもたらすことになると思う」。

Photograph by David Tipling, Alamy
  • このエントリーをはてなブックマークに追加