(4)筆者コメント
筆者は、サイバー空間においても既存の国際法が適用できることは明白であると考えている。
2017年4月、イタリアのルッカで開催されたG7外相会合でも、「サイバー空間において国際人権法(国際連合憲章,慣習国際法および関連する条約を含む)が適用されることを再確認する」とするG7(ルッカ)宣言が発出されている。
また、既存の国際法をサイバー空間に適用した場合、ルール66「サイバーエスピオナージ」の解説にあるとおり、サイバー偵察は禁止されないものと解される。
サイバー偵察は、敵の活動、情報能力またはシステム能力に関する情報を獲得するためにサイバー空間能力を使用することを意味する。
能動的サイバー防御を実施するためには、事前の情報収集活動であるサイバー偵察は不可欠である。
そもそも、能動的サイバー防御をやろうと思っても、すぐに標的のネットワークに侵入できるものではない。
特にセキュリティ対策がしっかりしている組織を標的とする場合は、何か月もかけて、潜入していることが検知されないようにサイバー偵察を行い、標的が使用しているOS(基本ソフト)やソフトウエアの種類・バージョン 、通信プロトコル、暗号化の方式などを調べる必要がある。
時には、バックドアを仕掛けることもある。