●ルール13 武力攻撃に対する自衛権
武力攻撃のレベルに達したサイバー作戦(cyber operation)の標的となっている国家は、固有の自衛権を行使することができる。
サイバー作戦が武力攻撃に相当するかどうかは、その規模と影響に依存する。
●ルール20 武力紛争法(law of armed conflict)の適用性
武装紛争の一環として実行されたサイバー作戦は、武力紛争法の対象となる。
●ルール30 サイバー攻撃の定義
サイバー攻撃とは、人に怪我もしくは死をもたらし、または物に損傷若しくは破壊をもたらすことが合理的に予想できる攻勢的又は防勢的なサイバー作戦である。
●ルール32 市民攻撃の禁止
一般市民ならびに市民個人をサイバー攻撃の対象としてはならない。
●ルール34 合法的な攻撃の対象となる人々
次の人々は合法的な攻撃の対象となる。
①軍隊の構成員
②敵対的行為に直接に参加している一般市民
③国際的武力紛争では、総動員法による参加者
●ルール36 テロ攻撃
一般市民に恐怖を広げることを主目的とするサイバー攻撃は禁止される。
●ルール37 民間施設への攻撃禁止
民間施設をサイバー攻撃の対象としてはならない。
軍事施設のコンピューター、コンピューターネッワークおよびサイバー基盤はサイバー攻撃の対象とすることができる。
●ルール44 サイバー・ブービートラップ(Cyber booby traps)
武力紛争法で指定された特定の対象物へのサイバー・ブービートラップ(罠)の使用は禁止される。
●ルール45 飢餓
サイバー戦の手法として一般市民を飢餓に陥れることは禁止される。
解説:このマニュアルでは、「飢餓」という用語は、一般市民を弱体化または殺すために、意図的に一般市民から栄養源(水を含む)を奪うことを意味する。
●ルール66 サイバーエスピオナージ(サイバースパイ活動)
①武力紛争中の敵に対するサイバースパイ活動および他の形の情報収集は武力紛争法に違反しない。
②敵が支配している領域でサイバースパイ活動に携わる軍隊の構成員は、その構成員が所属する部隊に復帰する前に捕獲された場合、戦争捕虜の資格を喪失し、スパイとして扱われる。
解説:サイバースパイ活動は、コンピューター・ネットワーク・エクスプロイテイション(CNE) と区別されなければならない。
CNEは、国際法から除外される教義上の概念である。CNEはしばしば敵の領域外から、リモートアクセスにより行われる。
サイバー運用者は時々、「サイバー偵察」という用語を使用する。この用語は、敵の活動、情報能力またはシステム能力に関する情報を獲得するためにサイバー空間能力を使用することを意味する。
敵の支配する領域外から実行されるCNEとサイバー偵察は、サイバースパイ活動とは異なる。
●ルール70 医療および宗教関係者、医療部隊並びに医療搬送
医療および宗教関係者、医療部隊並びに医療搬送は尊敬かつ保護されなければならない。具体的には、それらをサイバー攻撃の対象にしてはいけない。