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俺もお前も京都タワー。

スーパー銭湯などに行った時、誰もいない隙を見計らってドライヤー二刀流で髪を乾かすのが好きだ。風神と雷神になった気持ちになる。昨日、俺には足があるじゃないかと思って、ドライヤー三刀流に挑戦した。ドライヤーのスイッチをオンにして、両足で挟みながら前髪を乾かし、両手のドライヤーで側頭部と後頭部を乾かす。比較的無様な格好になったところで、掃除のおばちゃんに見られた。ぎょっとした顔を浮かべたおばちゃんを前に、私は「これが俺からのプレゼントだ」と開き直った。こんな風に生きた人間がいたことを覚えておいてくれと思いながら、結局、三刀流は効率が悪いだけであることを思い知り、通常運転の二刀流に戻した。

暇潰しに大阪のスカイビルにある絹谷幸二天空美術館に行った。まったく期待をしていなかったが、想像していた五億倍よく、元気が出た。絹谷幸二も「人類を元気にしたい!」と言っていた。政治家が同じセリフを言ったら胡散臭いだけだが、絹谷幸二は有言実行の漢だった。芸術家にありがちな小難しい論理や面倒臭い美学を並べるのではなく、ただただ「人類を元気にしたい!」とだけ宣言する絹谷幸二を大好きになった。彼の絵をよく見ると、ところどころに「あああああ」とか「色即是空空即是色」とか文字が書いてある。絵に文字を書くのはタブーとされているが、タブーを平気で乗り越える様がよかった。タブーを前にしても、全然気にしない。全然困らない。天衣無縫さに打たれた。

展示室には動画もあり、生きた絹谷幸二を見ることができた。良い男は、なによりも面構えが良い。俺はこれで生きてきたのだという無言の矜持を感じる。生き方に正解はないのだから、生き方に間違いもない。どのような生き方をしたにせよ、自分の生き方に言い訳をしないで、自分自身に胸を張る姿を見るのは気分が良い。館内には3Dシアターも完備されており、迫り来る絹谷幸二作品を没入感マックスで楽しむことができた。絵空事を思う存分楽しむ感じが最高で、私は思わず笑ってしまった。最悪な言い方になるが「こいつは馬鹿だ」と思った。これは最高の褒め言葉である。自分の小ささを恥じた。ドライヤー三刀流でドヤ顔をしている場合ではない。俺も馬鹿にならなければならない。

京都で訪れた「土と炎の詩人」でお馴染みの河井寛次郎記念館でも、自分の小ささを恥じた。自分の好きに突撃し続けた男たちの姿は圧倒的で、その生き様から「もっとやれ」とケツを叩かれているように感じた。自分の薄っぺらさを恥じている暇があったら、もっとやれ。もっと駄目になれ。真面目になるな。馬鹿になれ。俺たちの中にあるマグマを忘れてはならない。金があるとかないとか、夢があるとかないとか、自信があるとかないとか、つまらない条件は破り捨てて「俺はこれがやりたいんだよ」に突撃する。生きて結構。死んで結構。所詮この世は極楽浄土。嫌なことを嫌々やって生きるより、好きなことをぶわあとやって死に給え。河井寛次郎の言葉「はだかはたらく仕事すっぱだか」は、私の心にぶっ刺さり血となり肉となった。

京都でおはなを配っていたら、大阪在住の女性M様がこども二匹を引き連れて来てくれた。本当は一人で行きたかったのだが、こどもたちが「僕たちも行きたい!」と騒ぎ、止めることができなかったのだと。精神年齢の低い私は、こどもたちに特別モテる。様々なちょっかいを出され、にらめっこをしたりさせたりしながら、楽しい時間はあっという間に流れた。帰り際、またねと言ったら「お前にはもう永遠に会うことはないでしょう」と言われた。はっきり言われたからおかしくなってしまって、お前らはいいねと思った。こどもは無邪気に残酷だ。人生と同じである。元気がない人間はいない。金がなくても元気。友達がいなくても元気。独身でも元気。不具でも元気。孤児でも元気。社会不適合者でも元気。勝ち組でも元気。負け組でも元気。俺も元気。お前も元気。全員、元気。俺たち全員、宇宙の子だ。これから東京に行く。

坂爪 圭吾 さま

こんにちは。ここ10年ほどずっと坂爪さんのブログを熱読させてもらっている◯◯と申します。今は沖縄に住んでいますが、10年前くらいは東京に住んでいて、坂爪さんのお話会に2回、熱海のおうちに1度遊びに行かせてもらいました。体調不良と事故のケガでめちゃ心配な一方、さわやかのハンバーグでほわほわされた記事を読み、最高に清々しい気持ちになりました。

ものすごく私事ですが、最近本を作りました。それが、同封させてもらった『あなたのキャリアはどこから?わたしはクビから』というベンザブロック構文タイトルの冊子です。新卒2ヶ月で会社をクビになるところから始まる、10年間のお仕事話をまとめてみました。新卒2社目で、私は「不登校になった子の生きづらさを解消し、社会適応を促す会社」に勤めたのですが、のちに坂爪さんが書いた「年間3万人が自殺する社会に適応する方がヤバい」という言葉にズゴゴゴゴゴッと脳髄をぶち抜かれました。ホンマそれや。現にその時わたし死にたかったわ・・・!となり、もう教育組織も会社員もちゃうかも、と、おかげさまで転職をむかえました。その後しばらくフリーランス、そしてここ数年に再び会社員をしていたのですが、日々坂爪さんのnoteを読むたびに「アーーーーー安心安全なだけの心躍らん人生アカーーーーーン」と頬をエアビンタされ、うじうじ悩みまくった末に去年いっぱいでエイヤッと退職しました。明日から、ずっと念願だったタイ留学に行き、戻ってきたら沖縄でタイ古式マッサージをしようと思っています。

長々と書いてしまいましたが、とにかく、人生の要所要所で坂爪さんの言葉に背中を押されてることを御礼とともにお伝えしたく、さらにそんな私の五里霧中なお仕事ライフについて坂爪さんに読んでもらえたら爆裂うれしいなと思い、本を送らせていただきます。気が向いたら見ていただけると、鼻血が出るほど嬉しいです。

本のエピソードに『合法麻薬「お給料」』というタイトルがあり、文字通りお給料と社会保険という名の安心安全シャブ漬け状態だった話なのですが、文脈は違えど坂爪さんの書く文章は私にとって合法麻薬みたいな存在です。気づけば無性に読みたくなり、ギンギンの目でついつい熟読しちゃう。読めば読むほど安心安全からは遠ざかるけど、おかげさまでこの先の人生めっちゃ楽しみです。最後に、坂爪さんの体調&ケガの回復を心よりお祈りします!!

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おおまかな予定

2月8日(木)東京都中央区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!

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俺もお前も京都タワー。|坂爪圭吾