ESG経営推進活動報告

2022年度ESG経営推進活動の総括と2023年度の目標

当社グループのマテリアリティである「安全」「環境」「人材」および「ガバナンス(G)」の観点からESG経営推進活動内容を整理し、まとめています。

なお、環境の活動の総括と目標は関連リンクをご覧ください。

1.安全

【ISO26000中核課題】組:組織統治、人:人権、労:労働慣行、環:環境、公:公正な事業慣行、消:消費者課題、コ:コミュニティ

〔自己評価の基準〕達成:◎ ほぼ達成:○ 一部達成:△

2022年度の目標 ISO26000
中核課題
2022年12月末の達成・進行状況 達成度 2023年度の目標
1.運航船の事故削減(安全確保)
  1. 1重大事故ゼロ
  2. 2運航船遅延時間(ダウンタイム) 10時間/年・隻
  3. 3緊急事態への準備対応
労、環

※数値については2020年度より集計方法を年度末から年末に変更しています。

  1. 1-1NAV9000監査(会社・本船)の実施
    →監査実績152隻/6社 改善提案844件
  2. 1-2DEVIL Hunting(Near-miss 3000活動)の促進
    →対象29社、報告59,920件
  3. 1-3各種安全推進会議・安全セミナーの開催
    →Global SEMC※1 Meeting(11月)(対面・リモート)ハイブリッド開催、Fleet安全推進会議(7月、2回 (午前:日本語・午後:英語))リモート開催
    社長・船機長懇談会(9月)開催
  4. 1-4安全・保安情報の発信
    →総計30通
  5. 1-5安全推進・保安キャンペーンの実施(※訪船ではなく電話やリモートによる声掛け活動)
    →241隻/401名
  6. 1-6ビッグデータを活用した機関プラント事故防止の手法開発
    →当社運航船の機関プラントをモニタリングするため、フィリピンにRemote Diagnostic Center (RDC)を設立
    →本組織とその取組に関し、(一財)日本海事協会からInnovation Endorsementのプロバイダー認証において、最高評価となるクラスSを取得
    →SIMS3搭載開始(毎1分の高粒度データ採取、更なるリアルタイム性の向上)
    →Data Quality Management Systemの運用開始(SIMSデータの品質の監視)
  7. 2遅延時間ミニマイズ活動の継続
    →(全体)15.6時間/隻 (うち機関事故)7.4時間/隻
  8. 3-1事故対応訓練およびレビューの実施
    →6回
  9. 3-2メディア対応訓練およびレビューの実施
    →メディア対応訓練(2023年1月実施予定)、社員向けeラーニング実施(11~1月)
  10. 3-3コロナ禍における船員配乗問題の対応(Covid-19 Crew Change Task Forceの設置)
  1. 1重大事故ゼロ
  2. 2運航船遅延時間 10時間/年・隻
  3. 3緊急事態への準備対応
2.船主・顧客との安全活動
  1. 1船主訪問、船主向けセミナーの実施
  2. 2船舶管理会社との情報共有の実施
労、消
  1. 1用船向けブラックアウト復旧テスト協力の呼びかけ、安全セミナーの実施、船主との情報共有、意見交換の実施
  2. 2ターミナル関係者、船舶管理会社、荷主関係者など社外関係者と緊急伝達訓練を実施(4回)
  1. 1船主訪問、船主向けセミナーの実施
  2. 2船舶管理会社との情報共有の実施
3.ターミナルの事故予防と原因究明、および情報収集
  1. 1内部監査制度を導入・実施。作業が安全基準に則って行われているかを評価
  2. 2国内ターミナル間での横断的な相互安全パトロールを継続し、現場力の底上げを狙う
労、公
  1. 1(各社社内での内部監査を実施しているため、ターミナル個別での実施はしていない。)関係各社毎での内部監査を実施中。
  2. 2安全パトロールの相互参加を定期的に実施中。ONE社との合同安全パトロールも実施している。
  1. 1各社での内部監査にて作業が安全基準に則って行われているかを評価
  2. 2国内ターミナル間での横断的な相互安全パトロールを継続し、現場力の底上げを狙う
4.造船所・メーカーの安全管理の徹底
各社の安全基準をベースに、安全管理の徹底を実施 環、公 日本海洋科学(旧郵船エンジニアリング)のQMSに基づき、各建造船の監督室における定期パトロールや日々の現場における是正要求を活用し、安全管理を実施。 各社の安全基準をベースに、安全管理の徹底を実施
5.災害に対する備え
  1. 1全社事業継続計画(BCP)文書の更新
  2. 2防災計画と事業継続計画の実効性を高めるため、防災訓練とBCP訓練を実施
組、コ
  1. 1BCP文書改訂(5月)
  2. 2定期的な防災訓練、BCP訓練の実施。全社員対象としたITツールを活用した緊急連絡訓練の実施
  1. 1全社事業継続計画(BCP)文書の更新
  2. 2防災計画と事業継続計画の実効性を高めるため、防災訓練とBCP訓練を実施
  1. ※1SEMC:Safety & Environmental Management Committee

2.人材

【ISO26000中核課題】組:組織統治、人:人権、労:労働慣行、環:環境、公:公正な事業慣行、消:消費者課題、コ:コミュニティ

〔自己評価の基準〕達成:◎ ほぼ達成:○ 一部達成:△

2022年度の目標 ISO26000
中核課題
2022年12月末の達成・進行状況 達成度 2023年度の目標
1.働き方改革
  1. 1性別を問わず、多様な人材が活躍できる、環境の整備と職場風土醸成
  2. 2労働時間の削減、ワークライフバランスの推進、ワークスタイル変革やITの活用等による環境の整備、効率性・生産性の向上
  3. 3社員の健康増進
人、労、公
  1. 1イクパパセミナー、産休前・復職前面談、復職後面談に加え、メンター制度を実施し、働き方や時間的制約があっても高い意識でキャリア形成できるよう支援を行った
  2. 2引き続き全社員を対象に在宅勤務を実施しており、フレックス勤務制度の利用促進など働き方を見直し、労働生産性向上に対する社員の意識付けを行った
  3. 3健康経営優良法人(大規模法人部門)に6年連続で認定
    チャリティRUN+WALK+αを開催、健診受診の徹底(本社健診受診/予約率99.3%)
  1. 1性別を問わず、多様な人材が活躍できる、環境の整備と職場風土醸成
  2. 2労働時間の削減、ワークライフバランスの推進、ワークスタイル変革やITの活用等による環境の整備、効率性・生産性の向上
  3. 3社員の健康増進
2.国内外の人材育成
  1. 1幅広い事業分野で、グループ社員が能力を最大限に発揮できるよう、HR理念※2に基づき、国内外にて各種研修・人事交流を実施
  2. 2DXを主軸とした課題解決リーダーの育成
人、労
  1. 1-1グループ社員の総合力強化を目的とした研修体系「NYKビジネスカレッジ」の実施(約55コース)
  2. 1-23年ぶりに対面でのGlobal NYK Group Week開催
  3. 2.独自の内製プログラムにより人材育成を実施(2019年開始以降、延べ61名)
  1. 1幅広い事業分野で、グループ社員が能力を最大限に発揮できるよう、HR理念※2に基づき、国内外にて各種研修・人事交流を実施
  2. 2DXを主軸とした課題解決リーダーの育成
3.船員教育
  1. 1NYKマリタイムカレッジ(NMC)のレビュー実施
  2. 2危険体感訓練の実施
  3. 3LNGプロジェクトにおける船員育成、技術移転
労、環
  1. 1研修の質向上の為、NMCのレビューを実施、既存の船員教育内容の見直し、新規教育内容の検討並びに導入を行った。また、継続してNYKグループ全体の船員へのNMCの普及活動を行った。eラーニング化も進めている
  2. 2フィリピンNTMA研修所敷地内およびインド商船大学TOLANIに設置する、訓練所において危険体感訓練を実施。コロナ禍でもNYK-FIL MARITIME E-TRAINING, INC.で2021年度150名、2022年度293名が受講(2015年開始以降、延べ7,066名)。コロナ禍のため、実施見送り中のインドでは2023年2月に再開予定
  3. 3コロナ禍により一時中止していたアンゴラ人・ナイジェリア人への教育機関での基礎学習を再開
  1. 1NYKマリタイムカレッジ(NMC)のレビュー実施
  2. 2危険体感訓練の実施
  3. 3LNGプロジェクトにおける船員育成、技術移転
  1. ※2HR理念:国内外グループ各社の多様な人材を、グローバルなフィールドでたゆみなく育成する

3.ガバナンス

【ISO26000中核課題】組:組織統治、人:人権、労:労働慣行、環:環境、公:公正な事業慣行、消:消費者課題、コ:コミュニティ

〔自己評価の基準〕達成:◎ ほぼ達成:○ 一部達成:△

2022年度の目標 ISO26000
中核課題
2022年12月末の達成・進行状況 達成度 2023年度の目標
1.人権デューディリジェンス・人権啓発
  1. 1-1人権課題への取り組みを強化すべく、社内体制の整備
  2. 1-2国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した人権への取り組みの強化
  3. 2ハラスメント等、各種相談窓口の運営
  4. 3全グループ会社対象のHRサーベイやeラーニング人材編のアンケート、LGBT無記名アンケートを通じて、グループ会社従業員の人権に関する意識調査の実施
組、人、公

ESG経営推進委員会の分科会の一つとして国連グローバル・コンパクト推進分科会を組成(2010年に設置されたグローバル・コンパクト推進委員会を2022年度より改組)。当社および当社グループ会社における国連グローバル・コンパクトの推進とそれに基づく体制の整備を目的とし、3か月に一度の頻度で開催した

  1. 1-12022年11月に「日本郵船グループ人権方針」を策定し、対外発表を行った
  2. 1-2Verisk Maplecroft社によるリスクアセスメントや人権デュー・ディリジェンスワークショップを通じて、当社グループにとっての顕著な人権課題を特定した。またインドの自動車物流業に関わる労働者へのインパクトアセスメントを実施した
  3. 2新入社員研修、新任チーム長研修では、人権啓発研修を実施。人権週間には、「ファミリー・ハラスメント」をテーマに情宣活動を実施
  4. 3人材eラーニングや無記名アンケート等でLGBTの認知度向上を図り、職場のLGBTへの取り組み指標である「PRIDE指標」において2021年から2年連続でブロンズ認定
  1. 1国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した人権への取り組みの強化
  2. 2ハラスメント等、各種相談窓口の運営
  3. 3全グループ会社対象のHRサーベイやeラーニング人材編のアンケート、LGBT無記名アンケートを通じて、グループ会社従業員の人権に関する意識調査の実施
2.環境に配慮した売船・解撤
NYK解撤ポリシーに基づいたシップリサイクルの推進 人、労、環、公 NYK解撤ポリシーの要素を盛り込んだシップリサイクル現場での監督マニュアルの作成とモニタリング機能の強化・プロセスを確立 NYK解撤ポリシーに基づいたシップリサイクルの推進
3.コンプライアンス活動
  1. 1コンプライアンス総点検活動実施(NYK本体及び国内グループ会社)
  2. 2 コンプライアンス研修の実施
組、公
  1. 1-1NYK本体の意識調査の回答結果については、10月開催のコンプライアンス委員会で報告すると共に、社内掲示板を通じ従業員へのフィードバックも実施
  2. 1-2国内グループ会社については、年度末に実施状況の確認を行う予定
  3. 2独禁法、贈収賄等を含むコンプライアンス研修を実施
  1. 1コンプライアンス総点検活動実施(NYK本体及び国内グループ会社)
  2. 2コンプライアンス研修の実施
4.独禁法リスクアセスメント
  1. 1NYK本体各部門及び国内外グループ会社の独禁法遵守に関するアンケート、リスク評価、リスクアセスメント後の定期点検の実施
  2. 2遵法活動徹底委員会の開催
  3. 3投資案件等に関する審査
  4. 4業界会合届出制度の継続運用
  5. 5独禁法・競争法遵守に関する誓約書の取得
  1. 1NYK本体各部門及び国内外グループ会社のリスクアセスメントや定期点検を実行 
  2. 2遵法活動徹底委員会の開催(2022年9月)
  3. 3相談が来た案件について、適切に対応
  4. 4適切に対応(グループ会社各社の制度・運用は定期点検において確認)
  5. 5誓約書取得済み
  1. 1NYK本体各部門及び国内外グループ会社の独禁法遵守に関するアンケート、リスク評価、リスクアセスメント後の定期点検の実施
  2. 2遵法活動徹底委員会の開催
  3. 3投資案件等に関する審査
  4. 4業界会合届出制度の継続運用
  5. 5独禁法・競争法遵守に関する誓約書の取得
5.情報システムセキュリティ対応
  1. 1サイバーアタックに関し、異常検知/対応/復旧の迅速対応が叶う体制を構築、拡充
  2. 2海上セキュリティの強化
  3. 3データガバナンスの強化
  4. 4セキュリティ基準の厳格化
組、消、コ 陸のシステムのサイバーセキュリティ対策として、SOC(Security Operation Center)による24時間監視体制構築など、グローバルに取り組みを実施。
Dualog(船舶向けサイバーリスク管理システム)とGSOCの連携により、船舶上のサイバー脅威監視を開始。
マスタデータ整備等、全社データ活用の仕組み・規程策定を推進中。
米国基準(NIST CSF)対応済
監視~検知~復旧までの体制について、実効性を高めるべく適宜工程見直し。
またグループ会社含めた対象範囲拡大にも取り組む。
異常検知後の対応体制強化、また対象隻数増加に向けて取り組む。
規程の遵守徹底、マスタデータの整備含め、継続対応。
異常検知した後の対応含め、規程遵守徹底に向けフォローアップに取り組む。
また、グループ会社含めた対象範囲拡大にも取り組む
6.投資家との対話
  1. 1機関投資家とのスモールミーティングや四半期決算説明会実施など、社長、役員らマネジメント層からの積極的な発信を促進、事務局による各種投資家への接触および対応
  2. 2機関投資家株主の議決権行使担当者との対話およびESGエンゲージメント
  1. 1決算説明会:3回、延べ526名参加(当社役員、社員を除く)。
    スモールミーティング:2回、延べ45社参加
    環境関連IR説明会:128名参加(当社役員、社員を除く)
  2. 2国内機関投資家の議決権行使担当者との対話:17社
    ESGエンゲージメント:31回、延べ63社
  1. 1機関投資家とのスモールミーティングや四半期決算説明会実施など、社長、役員らマネジメント層からの積極的な発信を促進、事務局による各種投資家への接触および対応
  2. 2機関投資家株主の議決権行使担当者との対話およびESGエンゲージメント
7.SCMの徹底(燃料サプライヤー評価)
各担当者が、取引のある全サプライヤーについて評価を行い、今後の購買活動へ反映させる。(評価項目:品質、デリバリー、価格、トラブル対応、情報提供等) 組、公 3ヵ月もしくは半年ごとの契約更新時に、価格のみならずサービス面・パフォーマンス面も含めて多面的にサプライヤーを評価したうえで、コンプライアンス契約の締結を条件として購買契約に繋げている。 各担当者が、取引のある全サプライヤーについて評価を行い、今後の購買活動へ反映させる。(評価項目:品質、デリバリー、価格、トラブル対応、情報提供等)