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第4章 旧アジール村にて
第126話 意外な情報

「さて、次は、と……」


 とりあえず、命令して静かにさせた。

 やはりそれを聞くときの彼らは一瞬、目が虚ろになり、その瞬間のことを認識できていない。

 こういうものなのだな……。

 そんなことを思いつつ、俺はゆっくり《カード》の内容の確認を始める。

 この場合の《カード》とはもちろん、俺の《カード》のことだ。

 男たちの《カード》も一応、表示が全て見れる状態で差し出させているので比較してみるつもりだが、俺の教会製のものの方が色々見れるはずだ。

 《従属契約》の項目に彼らの情報全てが閲覧できるから。

 まず俺は《従属契約》それ自体の内容の変化から見ることにする。

 男たちと俺との間に《従属契約》が結ばれたから、ここが変わっているはずだ……。


「よし、やっぱりな」


 案の定、予想が正しかったことに俺は頷く。 

 そこに書いてあった内容は、こうだ。


 《従属契約》魔猫(幼)(1)、犬魔精(15)、犬魔足軽(2)、普人族(7)、匠人族(1)、黒骸骨王(1)、人工精霊(1)


 当然のことながら、変化している部分は、普人族の数字である。

 あとは、匠人族と言うのも増えているな。

 いつの間に?

 ちなみに普人族の数字は元々、アトだけが俺との間に契約があったので、1だったが、今は7になっている。

 先ほど契約した五人が入っているのは勿論だが、もう一人分は……?

 そう思いながら項目をタップしていくと、そこに名前が表示されたので納得する。

 あぁ、なるほど、クザンかと。

 となると……匠人族の方も予想がついた。

 というか、匠人族とはドワーフのことだからな。

 最近、俺の周りにいるドワーフで、しかも俺に何らかの理由で従っていると考えられるのは一人しかいない。

 見てみると、やはりメリクーアだった。

 考えてみれば、クザンとメリクーアについては明確に契約をしよう、とは言ってない。

 まぁ、他の者たちもそうだと言えばそうなのだが、他の者については従属関係が生じるようなやりとりが、一応あった。

 クザンとメリクーアについても似たようなことはあったにはあったはずだが……よくよく考えてみれば、クザンは友人として、メリクーアは職人としてある種対等に扱った記憶がある。

 その辺りが影響して、その場では契約が結ばれることにならなかったのかもしれない。

 しかし、どこかの段階で結局契約が結ばれることになって、その結果、カードの記載が変わった……原因は、俺の意識の問題かな?

 村長として、クザンとメリクーアも村民だ、と思った瞬間などはあったから、そういう時とか。

 従属関係、ということを考えるとその辺りな気がする。

 ただ、確認しようがないからこれについては今のところは保留かな。

 ともかく、彼らの状態も確認できるようになったのは、便利だ。

 後で確認することにしよう。

 今はまず、目の前の男たちだ。

 まず彼らの名前はまずリーダー格の男が、アルバート、剣士の男がコーディ、槍使いがリックで、弓術士がサイモンで、魔術師の男が……パブロか。

 魔術師の男だけ、どうも出身地が違うな、と名前の感じ思ったので、さらに《カード》の記載を細かく見ていく。


 名前:パブロ・アレセス

 種族:普人族ヒューマン

 称号:《密偵》

 根源技能:《詐欺師3》《魔術師3》

 派生技能:《風属性魔術2》《土属性魔術3》《話術3》《思考誘導3》

 一般技能: 《隠密2》《変装2》


 ……おい。 

 なんだこいつは。

 密偵?

 何を探るための? 

 俺についてか?

 だとすればまずい……。

 俺にこいつらが突っかかってきたのも偶然ではないということか。 

 そこまでを一瞬で考えてから、いや、と思う。

 俺がこの街にいる、ということをそうそう簡単には分からないはずだし、そもそも教会は俺を死んだものと考えている。

 だからそんな俺を探りにやってくるというのは考えにくい。

 勿論、どこかから漏れたとか、もう教会が俺の生存に気づいた、という可能性はないではないが……。

 それに、考えてみればこれはラッキーだ。

 たとえ俺を追ってきた者だとしても、期せずして完全に従属下に置けた事になる。

 まぁ、とりあえず、本人に色々聞いてみるか……。


「おい、お前……パブロ。俺の質問に答えろ。お前は何者だ?」


「わ、私は……」


 と、彼が自らの意識で話せたのはそこまでだった。

 そこから先は、やはり目が虚ろになる。

 答えまいという意識が強くなったからだろう。

 しかし、俺の命令に抗うことは出来ないようで、そこからは素直に話し始める。

 意思によらずにただ情報を口にする状態を素直に、と言えるかどうかは微妙だけどな……。


「私は、密偵です。冒険者という身分は、そのために便利であるから使っているだけで、本来の職業ではありません」


 その言葉に、他の四人が驚いた表情をしている。

 ……どうも、他の四人は知らなかったようだな。

 この情報について、この四人に知らせるのは問題だろうが、命令すれば他言しないように、もしくは普段は思い出せないように強制することが出来ることは分かってきたから、その点は問題ないだろう。

 今はとりあえず、質問を続ける……。

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