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第3章 《煉獄の森》の外
第93話 気づかない人工精霊

「んん? ……今、なんか変な感じがしたような……」


 フォルネウスがそう呟いた。

 どうやら、彼?彼女?はまだ気づいていないらしい。

 しかし、他の者たちはその変化に気づいたようだ。


「にゃっ!?」


「わ、わふっ!(と、殿!)わふわふ!?(その方は一体……!?)」


 キャスとマタザがそんな風に驚いた表情を見せる。

 もちろんリベルも同様で、


「……わふ?(羊系の獣人、でしょうか?)」


 そんなことを呟いた。

 この言葉に俺は、


「……おっ? もしかして、見えているのか?」


 と三匹に尋ねれば、それぞれが頷いた。

 どうやら、俺との間に繋がりが出来たことで、なぜか見えるようになったらしい。

 これも《聖王》技能の効果か?

 

「えっ? どういうこと? 僕が……君たちにも見えてるの?」


 フォルネウスがキャスたちにそう尋ねつつ、彼らの目の前で手を振ったりしてみると、しっかりと自分がその視線で追いかけられていることを理解して、驚いて言った。


「わっ、見えてる! こんなにたくさん《神子》が現れたなんて、一度もないよ!?」


 どうやらフォルネウス的には見えれば《神子》認定らしいが、俺はそれは違うのではないかと思った。

 というか、今キャスたちにフォルネウスが見えている理由は……。


 そう思って俺は《カード》を確認する。

 するとそこには、《従属契約》の欄にしっかりと、


 従属契約:魔猫(幼)、犬魔精(10)、犬魔足軽(2)、普人族(1)、黒骸骨王、人工精霊(1)


 の記載があった。

 

「やっぱりな……」


 ため息を吐きつつ、しかし深く納得した。

 フォルネウスは先ほど、自ら俺と契約を結ぶと、従うとはっきりと口にした。

 それによって俺との間に従属契約が結ばれてしまったのだろう。

 フォルネウスからすれば、冗談まじりというか、そこまで本気ではなく軽い約束、くらいの感覚で言ったのかもしれない。

 しかし、俺の技能がその軽い本気を《同意》として理解し、俺としてもこいつに協力してもらえれば、と思っていたことと合わせて、意思の合致と解釈したのだろう。

 相変わらずガバガバ認定でどうなってるんだと言いたくなるが、キャスたちやコボルトたち、それにアトについてだって似たようなものだ。

 黒骸骨王なんか、他人の契約をそのまま奪い取っているみたいな形をとっている。

 今回ほどはっきりと口にすれば、それは契約したものとされるだろうなという感じだ。


 そんなことを考えている俺に、フォルネウスは尋ねる。


「……? どうしたんだい? 何か問題でも?」


 どうやら、フォルネウスにはこの状況がよく分かっていないらしい、とそれで理解できた。

 仮にも神として祀られてたような存在なのだから、自らの状態はしっかりと認識しておくべきではないか、と思ったのだが、彼はどうもそう言うところに無頓着な感じはある。

 だから仕方がないのかもしれない。

 ただ、もう結ばれてしまったものはどうしようもない。

 これの解除の方法はいまだに俺にも全く分からないのだ。

 だからとりあえず、フォルネウスに説明する。


「問題というか、俺とお前の間に契約が結ばれてしまったんだよ」


「……ん? うん。君が村を作り、僕がそれに協力するって契約だよね」


「いや違う。俺に対して、お前が従属する、という契約だ。お前の力とか技能とかはこっちが管理する……というか出来る。お前の情報は基本的に俺に丸裸になる。俺の命令も多分、そこまで逆らえないんじゃないかな?」


 今まで契約してきた相手が実際、そのように振る舞ってきた。

 キャスは微妙に逆らってるような気がするとか、アトは逆らう気はゼロだけどまぁまぁ俺に対して厳しいとか、そういうのはあるにしろ、基本的に俺が命令したことはこなす。

 本人の自由意志に干渉してなのか、それ以外の手法に基づいているのかはいまだに謎だが、まぁ大体そういう感じだから、その経験則からの説明だった。

 しかしフォルネウスはあっけに取られたような顔で、


「いやいや、そんな。僕だっていくらなんでもさっき会ったばかりの君と、そこまで理不尽な契約を結ぶはずがないじゃないか。君もいくらなんでも要求しすぎだよ? そういうことなら、君との協力関係も考え……ん? あれ、なんだろうな。それを拒否する気にはなんだかならないような」


「なるほど。完全に自由意志を奪うわけじゃないのかな? それともお前が人工精霊だからか……? 検証が必要そうだが、まぁ、今はいいか」


 フォルネウスの種族は人工精霊、と記載してあった。

 邪神とか亜神とかの記載があるかもしれないと想像してはいたが、その中では最も穏当なものだな。

 とはいえ、精霊というのは基本的に人間に従うような存在ではない。

 それは人工精霊であってもそうだ。

 我が故郷では生み出したあと、無理やり言うことを聞かせたり、エネルギー源的に扱って言うこと聞くとか聞かないとか問題ではないような利用方法をしたりしていた。

 そのことを考えると、技能によってでも、人工精霊を従属させられると言うのは驚異的である。

 

「あの……これってどう言うことなんだい?」


 流石にことここに至って、フォルネウスも変だ、と理解してきたらしい。

 だから俺ははっきり言った。


「お前は俺の技能によって、俺に完全に従属してしまった。これの解き方は俺も知らないから、これからお前は俺に従うものとして存在し続けることになる」

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