今回のゲストは俳優の藤山扇治郎さんです。
父は小唄白扇流の家元。祖父は喜劇王と称された藤山寛美さん。
母は寛美さんの娘で、女優の藤山直美さんは伯母にあたります。
幼少期から舞台稽古に励み、6歳の時には当時の5代目中村勘九郎さんに誘われて東京歌舞伎座で初舞台を踏みました。
以後歌舞伎や舞台、ドラマで子役として活躍し
大学卒業後に俳優として本格デビュー、
2013年には「藤山扇治郎」として松竹新喜劇に正式に入団しました。
2015年12月には、松竹新喜劇の新たな顔として次代の上方文化を牽引する存在との期待を受け、平成27年度咲くやこの花賞を受賞。
公演活動のほか、テレビドラマ、映画でも大活躍し、
2016年には若手俳優の勉強会「若藤会」を立ち上げ、10月に国立文楽劇場で自主公演を行うなど役者としての幅を広げています。
今回は来年1月の「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」のお話を中心に
俳優業、伝統芸能などについて米團治と盛り上がっていただきます。

今回のゲストは橋本関雪美術館 館長の橋本妙さんです。
ご主人は京都画壇に大きな功績を残した日本画家橋本関雪画伯の孫。
妙さんは現在三代目として画伯の遺した作品や邸宅の保存維持事業を行なっておられます。
橋本関雪画伯は、1883年、兵庫県神戸市に生まれました。
帝国美術院会員、帝室技芸員として活動、
京都画壇を席巻した四条派の写実的な動物の描写を取り入れた新南画、新古典と呼ばれる絵画を次々と発表し、大正・昭和期の京都画壇において中心的人物の一人となりました。
有名な白沙村荘は1945年に没した画伯が自身の制作を行うアトリエとして造営した邸宅です。
2014年には関雪画伯が晩年に抱いていた「展示棟建設計画」を現代の建築基準において実現した橋本関雪美術館が開館。
妙さんが館長に就任されました。
今年は橋本関雪画伯生誕140年。
京都画壇で輝きを放った画伯の作品や人となりについてお話をお聞きしましょう。

今回のゲストは書家の川尾朋子さんです。
川尾さんは6歳のころより書道を学び、国内外で様々な賞を受賞してきました。
2004年より祥洲氏に師事、書の奥深さにさらに惹かれることとなりました。
古典に向きあう日々の中で、代表作である「呼応」シリーズが生まれます。
これは点と点のあいだにある、空中での見えない筆の軌跡を三次元でとらえる試みです。
30歳を機に独立。その作品は新聞、テレビ等の各メディアや寺社、ファッション、インテリアなど、あらゆる媒体に登場しています。
KBSテレビのタイトルも手掛けていただいていますね。
近年は、自身が文字の一部となるHITOMOJIシリーズや、英語を縦書きにする二十一世紀連綿シリーズ等を発表し、ますます活躍の場が広がっています。
映像出演、さらにはミュージシャンやファッションブランドなどとのコラボレーションも積極的に取り組み、書の可能性を追求しておられます。
表現の枠をどこまでも広げる川尾さんに、書とは何か、その奥深さをお聞きします。

今回は特定非営利活動法人 京都文化協会から
青山峻丈さんをお迎えします。
日本が世界に誇る文化財は厳重に保管され
通常は見ることができないものがたくさんあります。
京都文化協会はそれらの保存、継承に大きな貢献をされています。
たとえばキャノンのデジタル技術や
京都の伝統工芸の技を駆使して高精細複製品を制作。
貴重なオリジナル作品をよりよい環境で保存、次代へ継承するとともに
展覧会などを通じて内外の多くの人に公開し、その素晴らしさにふれてもらう。
また作品研究に生かしていく、という「綴(つづり)プロジェクト」を
キャノンと共同で推進されています。
撮影、カラーマッチング、箔、表装、プリント。
高度な技術によって完成する複製品もまた世界に誇る文化です。
さらに京都の食文化の体験施設として錦市場内に「斗米庵」を開設。
文化財をそのままの姿で残すということ、文化を体験すること。
その価値、そして未来へどのように貢献するのか。
京都文化協会の活動について、青山さんにじっくりお話をお聞きしましょう。

今回のゲストは大蔵流狂言師 茂山七五三(しげやま しめ)さんです。
七五三さんは昭和22年、人間国宝 四世千作の次男として生まれました。
茂山家代々の慣わしどおり2歳頃から祖父の三世千作に師事。
兄の五世千作さんを支えることに徹し、大学卒業後は銀行員との二足の草鞋。
勤めているから狂言が下手だと言われないよう、人一倍稽古に励みました。
40歳で狂言一本でいくことを決意。
軽妙で確かな芸で千五郎家の狂言を引っ張ります。
1995年に2世七五三を襲名。
京都府文化奨励賞、京都府文化賞功労賞、京都市芸術文化協会賞など受賞多数。
このたびご自身も人間国宝に認定されました。
令和元年に急逝された五世千作さんに代わり、
茂山狂言をたくさんの人に愛されるものにしたいと決意も新たにされています。
人間国宝としての新たな思いや茂山千五郎家のお豆腐狂言の魅力について語っていただきます。

今回のゲストは日本近世芸能研究者で京都市立芸術大学教授でもあり
そして常磐津太夫でもあられる竹内有一さんです。
竹内さんは長野市生まれ。
国立音楽大学大学院音楽研究科修士課程修了。
同大学音楽研究所、近世邦楽研究部門の研究員、
お茶の水女子大非常勤講師などを経て
現在は、京都市立芸術大学教授。
文化庁 文化審議会文化財分科会委員も務めておられます。
演奏者としては1986年より人間国宝今藤政太郎に長唄三味線の手ほどきを受け、
1991年常磐津清若太夫に入門。1994年に初舞台。
1995年には常磐津若音太夫を名取りました。
常磐津節の伝承者として演奏活動を行いながら近世邦楽について学術的調査と歴史的研究を精力的に進めておられます。
著書、論文も多数。
研究者でいて演奏者でもある。それはより深い探求の道なのでしょう。
研究と実践、双方の視点から伝統芸能の成り立ちや発展、その奥深さについて語っていただきましょう。

今回のゲストは女優の藤山直美さんです。
1年ぶり3回目の登場です。
往年の喜劇王藤山寛美さんの三女として大阪市に生まれた直美さん
三歳の時に寛美さん主演のテレビドラマ「初代桂春団治」でデビュー。
5人姉妹の中で唯一父と同じ道を歩む直美さん。
舞台を中心にテレビ、映画にも活躍の場を広げています。
10月には京都の南座公演『錦秋喜劇特別公演』が控えます。
演目は祇園町の茶屋を舞台に巻き起こる騒動を描いた「祇園小唄」と、
藤山寛美の十八番「大阪ぎらい物語」の二本。
中村鴈治郎さん、扇雀さんの成駒屋兄弟、田村亮さんなどと満を持しての共演です。
お芝居の話、上方喜劇と上方歌舞伎の関係など
興味深い話題も盛りだくさんでお届けします。

今回のゲストは米朝一門の噺家桂吉坊さんです。
吉坊さんは1981年、兵庫県西宮市で生まれました。
17歳で桂吉朝に入門。
その2か月後の初舞台を経て、翌年2000年より桂米朝のもとで内弟子修行を開始。
2003年に内弟子を卒業し、以降は古典落語を中心に舞台を重ねてきました。
笛、太鼓はもちろん、三味線や長唄もこなし、
歌舞伎や能・文楽などの古典芸能に深い造詣があります。
得意分野は歌舞伎を題材とした芝居噺。
能、狂言、歌舞伎役者など、落語以外の伝統芸能の世界にも知人が多いことで知られています。
第3回繁昌亭大賞輝き賞、第47回なにわ芸術祭奨励賞
第29回咲くやこの花賞、年第49回なにわ芸術祭新人賞など多くの賞を受賞するほか
2023年7月には古典芸能の発信者として第3回「古典の日文化基金賞」を受賞。
落語だけにとどまらず古典芸能をこよなく愛する吉坊さん。
米團治とともに落語の面白さ、伝統芸能の奥深さなどを語っていただきます。

今回のゲストはピアニストの熊本マリさんです。
彼女は東京都出身、5歳でピアノに出会います。
10歳で家族と共にスペインへ移り住み、スペイン王立マドリード音楽院、
ジュリアード音楽院、英国王立音楽院にて学び、
数々のコンクールで優秀な成績を収めました。
1986年、英国ニューポート国際ピアノコンクールで入賞。
故・ダイアナ妃より賞を授与されました。
知られざる作曲家、フェデリコ・モンポウに魅せられた彼女は
1991年、ピアノ曲全集の録音を世界で初めて完成させました。
さらに1993年にはモンポウの伝記「ひそやかな音楽」を翻訳。
情熱のピアニストとしてその活躍は日本国内にとどまりません。
近年は、国際ピアノコンクールの審査員なども務め、テレビ、ラジオの出演、執筆活動など多才な活動で幅広いファンを獲得されています。
クラシック好きの米團治とどこまで話が盛り上がるのか、乞うご期待です。

8月16日の夜。夏の終わりを告げるように 五山の送り火が灯ります。
その瞬間を人々は手を合わせて見守ります。
亡き人を送る炎は京都の夜空を焦がし、
そしてははかなく静かに消えてゆきます。
送り火はお盆の先祖供養の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びついたもので、
お盆に帰ってきた先祖の魂が各家で供養された後、あの世に帰る道しるべです。
残るのは先祖の霊を送ったあとの寂しさと安堵。
私たちは明日からはまた顔をあげ、新たな生活を始めます。
送り火は京都の人々の心に寄り添う行事なのです。
その炎は平安時代、あるいは室町時代から守られてきました。
先祖を送るために雨が降っても風が吹いてもなんとしても火を灯す。
火床を守り続ける人々の思いは確固たるものがあるでしょう。
今回も特定非営利活動法人大文字保存会 理事長長谷川英文さんに
改めて送り火についてじっくりとお話をお聞きしましょう。
