長女受験を終えて
1.はじめに
タイムラインでお祝い頂いた方も多いですが改めて御礼をお伝えします。とりあえずは無事に長女の中学受験を終える事が出来ました。ありがとうございました。
場合によっては全滅も覚悟した長女の受験ですが、皆さまのおかげさまで2勝3敗という結果に終わりました。ただ取った勝星のうちの一つが第一志望だったという事もあり、非常に良い結果だったと考えています。改めて応援、いいね!、コメントなど頂いた方、本当にありがとうございました。
2.このnoteの目的
このnoteは中学受験を家族揃って経験して思った事を父親視点で書きますが、特にこれから受験される方向けのアドバイスという感じになると思います。変に上から目線に感じてしまう方がいれば先にお詫び申し上げます。申し訳ありません。ただこれから受験という試練を迎える皆さまにとってほんの少しの参考となれば幸いです。だいたい5000字くらいです。長いですが、ご興味ある方は最後までお付き合いください。
3.結論
いきなり結論を書いておきますが、僕が子供の中学受験を経験して必要だったなと思う要素が幾つかあります。この要素を満たせるなら良い結果が出やすいと思いますし、この要素を満たせないのなら成功の難易度は上がると思います。以下を見て、ご自身の家庭が中学受験に向いた環境かどうかの一つの判断材料になれば有難い限りです。
【中学受験をするにあたって有った方がいいもの】
①経済力
②親の時間
③親(一番近くにいる方の父、母どちらか)の指導力
④子供が好きになれる先生
⑤子供の強いやる気
まぁ「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、我が家では②④は有って、①③⑤が有りませんでした。以下、それぞれが有った方が良い理由です。
①経済力
これがあれば良い塾や先生を探して試行回数が増やせます。我が家では塾を1回変えて、塾で足りなそうなところを個別指導で補強しました。経済力的には本当にギリギリでした。余裕があればもっとやれたなと思います。
②親の時間
準備、調べもの、指導、宿題や忘れ物などの管理、送り迎え、子供が不得意な部分の補強など、親の時間がかなり割かれます。ここは2馬力のバリバリ労働夫婦には苦しいポイントだと思います。我が家は妻がパートタイマーだったので妻がカバーしてくれました。ここは本当に良かったです。妻に顔射。間違えた、感謝です。
③親(一番近くにいる方の父、母どちらか)の指導力
これは勉強を教える力ではなく、子供を導く力です。時に褒め、叱り、なだめ、すかし、子供を前向きに勉強させる力、時に強引にやらせる力。これが
無いと辛い。子供が自走しないからです。あれば楽です。
④子供が好きになれる先生
これが合格不合格の成否を大きく分ける最大の要素な気がします。良い塾でも先生との相性が悪ければダメ。逆に塾が小規模でも先生が良ければ子供はやる気になると思います。
⑤子供の強いやる気
何でも良いですが「勉強したい!」という子供のやる気があれば自走してくれます。これがあればとても楽です。無ければ「親の管理」という役割が発生します。やる気のない子供なんて親の管理無くして勉強する訳がありません。
以上、5点が有るか無いか。これは中学受験で成功しやすいかどうかの判断材料になるとは思います。
4.ここから先は細かい話
以下、上記①~⑤に紐づく細かい話です。
5.長女の受験のきっかけについて
元々僕は中学受験反対でした。自分は中学受験経験者でしたがあまり良い思い出なく、辛い経験でしかなかった記憶があったからです。一方で妻は中学受験未経験組で、今我が家が住んでるエリアが中学受験組が多いせいもあり、妻は周辺情報に引っ張られる部分もあり、長女に受験をさせたいと思うようになっていました。
一方で長女ですが、自ら「自分は運動も芸術もダメっぽいから勉強を頑張る」と小学3年時から言い出すような変わり者で、親としては「子供をやる気にさせるこれは良いタイミングだ」と思いまんまと某大手塾に入学させたのでした。この時僕は「中学受験をするかしないかはある程度受験が近くなってから本人が決めれば良い」と思っていましたが、小学5年が始まった頃には自分含め周りの関係者が「ここまでやったのに今更辞めるなんてもったいない」という空気になっており、結局受験はさせる事にしました。
6.長女の変化
小学3年から某大手塾に通い始めた長女ですが、最初は簡単な問題をたくさんやらせる塾方針もあり、成績が良く、塾からも褒められ、20人弱の中で1位の成績を取るなど、勉強が好きな様子でした。この頃は僕も「お、このまま行けば才女になるのではないか?」などと呑気に考えていたものです。ただ元々の塾の方針でタブレット学習を推奨しており、
【塾で勉強→家でタブレットで宿題】
というサイクルを推奨して来ていたのですが、このタブレットのアプリ自体が宿題中に落ちたり、【回答完了】ボタンを押しても反映されていなかったり、長女にとってそれがかなりのストレスとなり「塾は好きだけどタブレット学習が本当にイヤ!」と長女が言い出したのが小学4年の夏頃でした。この時からなんとなく勉強嫌いの気配が出始めて来ていたと思います。徐々に勉強の難易度も上がり始め、コロナ禍での勉強期間と入り、リモートが増え、更にタブレット学習の機会が増えました。そしてテストが増える頃にはすっかり勉強嫌いになっており、特に強い動機で志望する中学があった訳でも無かったため、勉強に対するマインドは小4後半からどんどん落ちていったように思います。
7.塾の変更
上記を受けて塾の変更を検討しました。割とドSスパルタカリキュラムで入試結果の成果が出ていそうな大手塾から「個別指導」や「伸び伸び」みたいなキーワードの中堅塾に変更をしました。結果、子供のモチベーションは少し回復しました。元来、長女はマイペースで競争が苦手。学校の委員長などの役割も「自分からは立候補しないけど誰もやらずに推薦されたらやるし、やる事自体は苦もない」みたいな競争心もなく積極性もないパーソナリティ。競争が厳しい環境よりもある程度マイペースにやれる場所の方が良かったのかもしれません。当たり前ですが、子供に合った塾選びは大切であると痛感しました。良い先生にも恵まれ、これは「④子供が好きになれる先生」が確保出来たという点でも非常に良かったと思っています。
8.妻の指導力の無さ
さて小5になり、塾もマイペース指導の所に変わった流れで新たな課題が見えてきます。妻の指導力の無さです。スパルタ式教育カリキュラムの時は半強制で進んでいた塾の勉強ですが、マイペース指導塾になると子供の尻を叩いてくれる存在がいなくなります。この役割が親に回って来ます。これが「③親(一番近くにいる方の父、母どちらか)の指導力」の話です。
我が家は僕がフルタイムワーカー(と言ってもかなり自由が利くリモート多め)で、妻がパートタイマーです。結果として、妻が一番長女の近くにいる存在でしたが、専門学校を出て専門職(医療系)という狭い社会を経て短い勤務期間で退職し、その後の社会人経験も短いまま僕と結婚し、部下の指導などもしてこなかった妻に指導力があったか?と言うとハッキリ言って無かったと思います。所謂「叱れないタイプの親」であると見ていて思います。妻の名誉のために言っておきますが、これは僕が見た妻の弱点であり、ただその他の部分(例えば献身的な細かいサポート、毎日の家事、毎日の雑務、事務処理、情報収集、女性ならではの娘のメンタルケア(特に長女は受験直前に生理を迎えた))においては全て妻がやってくれたし僕には出来なかったと思うので多大な感謝をしていますが、「子供を誉めて、時に叱り、なだめ、すかし、モチベートさせ、決めた事をやらせ切る力」については妻には全く無かったです。決めた事をやっていなくても子供を叱れないのですから。
この点で大いに僕と妻は衝突しました。僕は長女の一番側にはいる事が出来ないのに、肝心の隣にいる妻が叱る事が出来ないという、解決不能状態になりました。暫く妻との関係性も険悪になりましたが、妻との複数回の話合いを経て「2人とも出来ないものは仕方ない」という境地に至りました。結果どうなったか。長女の勉強スケジュールはいつもギリギリになりました。時間通り起きず、期日ギリギリでも宿題は終わるか終わらないか。時間通りにやらないので寝るのが遅くなり、起きるのが遅くなり、いつも夫婦どちらかが「起きろ!」「やれ!」の強めの声掛けが家で飛び交う状況です。誰にも良い事がないこの状態。なんと解決しないまま2年やり切りました。パワーソリューション。いや、ソリューションはしてない。これはこの2年間の永遠の課題であったし、今も解決していないし、たぶん今後も解決しないのだろうと思います。
9.評価軸はなんなのか
小5になり、模試が増えて来ました。基本妻がその結果を子供にフィードバックするのですが、毎回評価軸が変わるのです。
・前回テストから上がったか下がったか
・偏差値の上下
・クラス内順位でどの位置だったか
・志望校偏差値に届いているかどうか
この4点どこか至らないと妻がそこを指摘して「前回から下がっている!」「まだ○○中学に至る偏差値に届いてない!」みたいな話を長女にするのです。これに長女はかなり精神的にやられていました。僕にこっそり相談してくるくらいでした。「ママは何をやっても褒めてくれない。どこかでケチをつけてくる」と。そこで我が家では評価軸を一つに絞りました。「偏差値の上下」だけです。前回より上がったか、下がったか。あと「下がったとしても次で挽回すればそれは本番ではないので構わない。次も挽回できない場合何かしらのペナルティーがある」としました。これは我ながら良いマネジメントをしたと思います(もっとオレを誉めてくれ。。。)。事ある毎に「模試で死んだりする訳じゃない」「次で挽回すれば問題なし」「最後に笑えばそれでOK」と何度も何度も言いました。効果あったか、子供のメンタルは大分回復しました。妻をコントロールするために負荷をかけたので僕と妻の関係はまた少し悪くなりましたが。
非常に言葉は悪いですが子供なんて基本おだてておけば良いのです。気づいてる人もいるかもしれませんが、僕がやっている事はほぼ「新卒指導」です。これが出来るか出来ないか。「③親(一番近くにいる方の父、母どちらか)の指導力」の大切さです。
10.メインの塾+補強という考え方
基本、塾に不満は無かったのですが、それでも完璧ではありませんでした。志望校が定まって来る頃、過去問を解き始めるのですが、我が家が選んだ塾は過去問を繰り返し解かせるものの、過去問自体の研究はまりせず、本年度入試の予測のような事はしていませんでした。なんとなくそこに不安を感じた妻が所謂「勉強スタイルが有る程度生徒主導で指導を受けられるところ」を探し、結果として有名家庭教師塾に行く事にしました。家庭教師と言っても家に訪問してもらうタイプではなく、駅近くの自習室のような場所に行き、そこで質問をして解説や解答をしてもらったり、次にやるべき課題を出してもらったりするスタイルの塾です。これは当たりでした。
メインの塾で不足に感じていたところをうまく埋めてくれる存在が現れました。これで
・徹底した志望校の過去問の繰り返し
・各校の問題の傾向と対策と予測
が出来たと思います。これでわかった事は、
「偏差値はほぼ難易度を表すが、子供の得意不得意によって各校との相性はある」
という事でした。長女の場合、
第一志望A校:偏差値は一番高いが意外と点は取れる。問題は基礎重視で理社の配点も高い
第二志望B校:偏差値は真ん中だがあまり点が取れない。問題は応用まで幅広く出題され数国の配点が高い。
第三志望C校:偏差値は一番低く点も取れる。問題は基礎重視で数国の配点が高い。
という事がわかり、各校に合わせた勉強が最後の半年で出来たように思います。
11.長女が得たもの、失ったもの
長女は元来愛想も良く、目が細くなり口を横に引っ張って歯を見せたような笑顔がチャームポイントで、素直で、本当に育てやすい子供でした。ただ小5の模試の連続と親の強制的な勉強で彼女の勉強嫌いが助長され、猫背になり、視力が悪くなり、愛想が悪くなり、内向的になり、少女らしさはこの小6で失われたような気がします。かといって反抗を強くする訳でもなく、言葉で言えば「諦念」、「どうせ私は受験するしかないから仕方なく勉強する」、そんな風に思っていそうな雰囲気の小6になりました。代わりに得たものは多少の学力くらい。これが良かったかどうかわかりません。良かったと思えるようにこれからを生きていくしかありません。ただ長女にもし「どうしても〇〇という職業になりたい!」「どうしても〇〇中学に行きたい!」などという情熱があれば、多少は長女の姿は違ったのかな、と思います。これが「⑤子供の強いやる気」が有ったら望ましいと思う背景です。
我が家の場合はまだそれなりに良い結果で終われたので良かったですが、これでもし悲惨な結果になっていたら
「子供に勉強を強制させ、子供を勉強嫌いにさせて、更にそこに挫折体験を与えて、子供らしさを失わせて終わった」
みたいな地獄のような結末が待っていたかもしれません。子供を受験させる親に必要なのは、実は最悪上記のような結末で終わる覚悟を持つことなのかもしれません。
まとめ
我が家は良い結果で終われたし、例えすべり止めの1勝のみで終わっていたとしても「家族全員(次女は癒し担当でした)協力しながらも、ぶつかり合いつつも、受験を乗り越えた」という経験を得られて良かったように思います。ただ誰しもにお薦め出来るかと言うとやはり違うなぁという思いがあり、このnoteを書く事にしました。中学受験をするにあたって有った方が望ましい5つの要素が無いご家庭は本当に覚悟して臨む事をおススメいたします。
2024.02.04 ヤマダ カズキ
P.S.
この記事があまりに拡散されて妻の目に届くくらいになりそうなら、有料化して歯止めをかけます。無いとは思いますが。手に届く範囲の人に見られれば良いとは思っていますので、拡散希望はいたしません。
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