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第2章 《煉獄の森》の魔物たち
第40話 覚悟を決めて

「技能を……借りる? ですか? ええとそれは一体どういう……あっ、模倣されて身につけられたことをそのように表現されているということでしょうか? 確かに根源技能の中には《模倣士》と言う技能もあったはずです。それに近い技能ということでしょうか……」


 アトが色々考えるようにぶつぶつとそんなことを言っていく。

 流石に技能にはかなり詳しいらしく、頼りになりそうなことがそれだけでも分かる。

 しかし……。


「《模倣士》? そんな根源技能もあるのか。全然聞いたことないな、それ」


「他人の技能を模倣することに特化した根源技能のようですね。いかなる技能であっても真似をすることで自らの技能とすることができるのです。ただし、所詮は模倣に過ぎないために、劣化した効力しか持たないというデメリットもあります。また、あくまでも《誰かの》模倣であるためか、その模倣先が亡くなるなどしてしまうと、模倣した技能も消えてしまうようです。便利と言えば便利ですが、器用貧乏になりやすい根源技能ですね。かなり珍しいので今は保有者はいなかったかと思います」


「へぇ……面白いな。だがこれで結構理解してもらいやすくなったかもしれない」


「ええと?」


「俺の技能もそれに近いんだ。他人の技能を借りることができる、という表現で、模倣じゃないんだが」


 この辺りの表現にどういう違いや意味があるのかは俺にもわからない。

 《神の頭脳》が勝手につけている表現であるので、その正確な内容はそれこそ神か何かにしか理解できないだろう。

 ただ、色々と考えることはできるし、ヒントにもなる。

 表現が違うということは、意味も違う、というのは少なくとも間違いない。

 そこから先はやはり、試行錯誤で探っていくしかないところだな。


「模倣ではなくて、借りられる……ちなみにどのような効果があるのか、具体的にお尋ねしても?」


「あぁ、もちろんだ」


 ここまで話したのだ。

 もう隠す必要はない。

 それにアトは多くの技能に詳しいようだから、俺が一人で考えるよりもずっと色々なことが分かる可能性がある。

 言いたくはないけど、頭の回転も俺より早そうだしな……俺は所詮、凡庸だ。

 公爵家に生まれたし、両親や弟も愛してはくれたけれど、多分家族の中で最も普通だった。

 他の三人は非常に有能だっただけに、たまに劣等感に苛まれる時があったが、それでも父上は俺が家を継ぐことを動かさなかったし、弟も支えると言ってくれていた。

 俺は幸せだったんだろうな……こんな、根源技能を得るまでは。

 ただ、これがあるからこそこうして生きていられるわけで、なんだか恨めばいいのか感謝すればいいのかわからない。

 まぁ、これからの人生次第か。

 後ろ向きなのはやめておこう。


 そんなことを考えながら、俺はアトに今まで検証した結果を話した。

 その際、《従属契約》についてどう話すか迷ったので、これについては後回しにした。

 今、重要な部分……技能を借りるというところについてまず話すことにしたのだ。

 そして、詳しい内容を聞いた後は、頷きながらも珍しく驚いたような表情で、


「……極めて有用な技能ですわ。もちろん、全く努力が必要ないというわけではなさそうですが、理論的にはこの世に存在する全ての技能について習得が可能ということになります……。そのような技能は一度たりとも聞いたことがございません。ちなみにですが、借りる先というか、相手に、何か制限のようなものはございますの? それだけの技能です。何も理由なく、どんな相手からも借りられる、というのは流石にないかと思うのですが……」


 技能名も、誰から借りてきたかも話していないのに、すぐにそこに到達するあたり、やはりアトは非常に勘が良かった。

 やはり話さずには技能に関する議論も出来ないし、いう以外に選択肢はない。

 俺は覚悟を決めて、アトに言うことにした。


「借りられる相手は決まってるんだ。それは俺と契約を結んだ相手からだけ」


「契約? 一体どのような契約を……?」


 アトは怪訝な表情で首を傾げる。

 それも当然で、アトは先ほど俺が《飛舞剣》を放ったことを見ている。

 あれはアトの技能で、当然、アトから借りたことになるわけだが、その彼女がなんらかの契約相手になっている、ということになるからだ。

 アトはすぐにその結論に到達しただろう。

 しかし彼女からすれば、そんな契約など結んだ記憶がない。

 これはおかしい、と。

 それが現れた表情なのだろう。

 話の進ませ方を間違えると俺の命がなさそうだな……。

 ちょっと怖いが、もう覚悟は決まったのだ。

 言うしかない。


「……技能名は《従属契約》と言う。俺に従属すると言う意思を相手方が示し、それを俺が受け入れる意思を示せば、それによって契約は成立する。そして契約後、契約相手から技能を借りられるようになる。そんな技能だ」

 

 なんの誤魔化しもなく、正確に技能の内容を説明する。

 変に隠してもアトの頭脳であればすぐに隠された事実を暴くだろうと思ってのことだった。

 さて、アトの反応は如何に……?

読んでいただきありがとうございます!

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ブクマ・感想・評価、全てお待ちしておりますのでよろしくお願いします。

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