「原作者がうるさい」という表現も「本当にうるさいのか」は一考すべきところだと思う。
『それが声優!』をアニメ化するとき、「アフレコシーンでは、台本は両手ではなく片手で持たせてください」「大勢でアフレコする場面では、カバンは椅子の上ではなく下に描いてください」とお願いして、修正してもらった。
声優の仕事を知らない人だったら「台本の持ち方なんて、両手でも片手でも一緒じゃないの?」「カバンを置く場所?上でも下でもいいじゃん」と思うかも知れない。私の修正依頼を「瑣末なことをうるさく言ってくる原作者」と感じる人もいるかも知れない。でも当然ながら(ここで説明すると長くなるのでしませんが)そう修正してもらうのにはちゃんと意味がある。
プロが見たら、例えば声優がマイク前で賞状を持つみたいに台本を持っていたら、相当強い違和感を覚えるし、大勢いるスタジオで椅子の上にカバンを置いていたら(仮に他にまだ座るところがあったとしても)ちょっと配慮が足りない人、と感じる。もしも新人声優だったら同じ事務所の先輩に軽く注意されることもあるかもしれない、くらいのことだ。カバンの位置ひとつで、キャラクターの性格の印象まで変わってくるので、譲れないのだ。
もしかしたら「うるさい」と形容されたオーダーは、本当はうるさいのではなく「単に受け手の見識が足りないせいでうるさく感じている」だけ、という可能性もあるのでは、と思う。
ちなみにアニメ化のときは、こんなふうにたくさんのことをお願いしましたが、「うるさい」と言われることは一度もなく、すべて汲み取って反映していただけてとても感謝しています。
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