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隊員1人殉職の呉服町ビル火災、現場小隊長のみ懲戒処分 静岡市消防局

2024.2.3

 2022年8月に静岡市葵区呉服町の雑居ビル3階から出火し、市消防局駿河特別高度救助隊の男性=当時(37)=が殉職した火災で、市消防局は2日、小隊長として現場で隊員の指示に当たった30代男性職員に対する減給6カ月の懲戒処分を発表した。同日付。殉職事故を巡る懲戒処分の公表対象はこの男性1人で、今後も関連する処分の予定はないとした。  市消防局は、男性の処分理由について、殉職した男性を含む隊員3人を建物に進入させる際、市消防局警防活動基準で体に命綱などを結び付ける必要があったが、基準に反してロープなどの命綱を使わない進入を指示したと指摘した。男性1人に対する懲戒処分について、市消防局は「殉職の原因全てが男性1人にあるわけではないが、少なくとも命綱があれば防げた事故。指示を重くみた」と説明した。  当時現場で駿河特別高度救助隊よりも早く現場に到着し、消火活動に当たったとみられる別の隊の隊員1人も処分したが、公表基準に該当しない人事管理上の措置として処分内容や理由の「回答は差し控えたい」と説明した。当時の現場最高指揮官(大隊長)で、その後、道交法違反(酒気帯び運転)で実刑判決を受けた50代男性も殉職事故を巡って訓告処分対象の評価を受けたが、失職済みのため処分はなかった。  池田悦章消防局長は「安全最優先の意識を浸透させ、組織をあげ、安全文化醸成の一層の強化に努める。ご遺族には組織として誠意をもって対応していく」とコメントを発表した。  市長部局でも再発防止に向けて組織的課題の検証を進め、検証結果を2月に公表予定。難波喬司市長は「再発防止策を徹底するよう消防長に指示し、消防力強化に努める」とした。  消防関係者の一人は今回の処分について、「会見では進入方法に問題はないとしていたのに、結果的に現場隊員に処分を下しただけ。上層部が責任を取らないのは、今回の事故を全く重く受け止めていないことの表れ」と疑問を呈した。

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