和風ファンタジーの設定案

夢咲蕾花

設定

:舞台

 双龍神・アマツタツヒコとダイヂタツヒメ(天津龍彦と大地龍姫)が作り上げた瑞穂国を舞台にした話。双龍神話として国づくりの話は伝わっており、それによればヒトを見限ったアマツタツヒコと、ヒトの支えにならんとしたダイヂタツヒメの双龍は夫婦喧嘩の末天と地下に別居。

 アマツタツヒコは高天原を棲家とし、ダイヂタツミヒメは根の国という地下で眠った。アマツタツヒコは激怒して大嵐を引き起こす。

 ダイヂタツヒメは長い年月をかけ大地に還り、大地そのものとなった。最愛の妻がそうまでして守ろうとしたヒトの存在を認めたアマツタツヒコは大嵐を止ませ、ヒトの営みを見守るようになった。

 現在地上で見られる龍脈やその資源である龍脈炭はダイヂタツヒメの神力によるものとされている。

 作中物語の舞台となるのはそんな瑞穂国と呼ばれる地域で、他国の名前は出てきても基本的には国内で物語は完結する。他種族国家であるため単一の国でありながらバラエティに富むというのが理由の一つである。

 瑞穂国では後述の理由により八年にも及ぶ内乱が起きており、それから六年が経った今でも各地で混乱が見られている。また、資産凍結を免れた華族連合『征琉団』の構成員などの行方もわかっておらず、国はその所在を探り残党制圧に駆り出されている。



:文明水準

 明治時代風+アルファ。龍脈炭の登場でスチームパンク的な機械技術も台頭してきている。それらはカラクリと呼ばれている。

 移動手段は一般人は徒歩、馬車、あるいは馬など。長距離移動には金はかかるが汽車や船があり、一部富裕層は飛行船を使う。

 幻獣と呼ばれる生物が存在し、普通の馬を遥かに上回る耐荷重や持久力を誇り、速力にも優れる快馬(かいば)もいるため、それを用いる者もいる。

 神が存在する・怒りに触れてはならない・触れた場合の実例があることから、自然をみだりに破壊したりすることはせぬように、というのが燦仏天及び神闇寮の教えである。



:瑞穂国

 大陸から離れた極東の海に位置する大国。377万7400㎢の面積に、全種族合わせて約6億7000万人の人口を擁する。

 アルダーノヴァ大陸において現在大陸三位の国土と国力を誇り、127年前に終息を見た大陸会戦後に武装中立を宣言した国。しかし神皇政国家のあり方に疑問を持った前神皇が一部議員制を導入した際、結託した一部華族連合との間で八年に及ぶ内乱が勃発している。瑞穂内乱は六年前に終息している。

 冥暦前8000年〜6000年:双龍神話の時代 ダイヂタツヒメが大地に還る

 冥暦1621年:徳河将軍が瑞穂国を平定

 冥暦1883〜1885年:討幕戦争

 冥暦1886年:神皇統治国家になる

 冥暦1889年:芽黎神皇、議員制度を導入。反感を買い、内乱勃発

 冥暦1897年:内乱終結 泰冥神皇即位

 冥暦1913年:本編開始


 自然豊かな土地で多種族国家なため、人間だけでなく数多くの妖怪など全種族が手を取り合い暮らしている。

 永世武装中立を掲げ、専守防衛国家として知られる。特に莫大な妖力を持つ大妖怪を擁した国軍は精強そのもので、大陸最大のエレボス帝国でさえ不用意に手を出せないほど。この理由は話の舞台をみだりに広げないための措置である。

 国外からの移住は認めているが、不法就労は強制送還の対象となる。

 現在の泰冥神皇一二六代目。

 国軍の軍人と人口比率は5.2%。

 通貨は冥貨で、1冥貨1円。大体500冥貨もあれば現代日本で言うとコンビニ弁当で十分な一食が取れるくらいである。

 平均月収は一般家庭で手取り三十万冥貨ほど(年齢・職種により違う)。もちろん中には月十万も行かない者もいる。



:征琉団(貴族連合)/蝕

 内乱の際に当時の125代目神皇の芽黎神皇を打ち倒すため、何より既得権益を守るために一部の華族たちが結託した組織。

 政治の場に市井から有識者を集い、議員制度を導入するとした芽黎神皇に反発した結果発足されたもの。

 筆頭は四大名門の濤川公爵家の濤川了染公爵。

 敗戦が色濃くなった際、その後の逆襲に備え資産を凍結される前にロンダリングに回し、兵員ともども分散させ各地に散らせた。

 征琉団に与する企業やなんかを通じ、それらのネットワークは今も細々と生き残っており、国軍の残党処理は終わっていない。

 元老院の一人、泰平寺美鶴とも秘密裏に繋がっており、内乱の際には様々な援助を受けていた。

 内乱後、了染は話が違うと美鶴に詰めかかったが、あっけなく殺害される。美鶴はそれを戦死として処理し、征琉団を実質的に支配。己の私兵部隊として『蝕』と名を変え、甘言と説得を駆使し人心を掌握して使役し始める。

 美鶴の目的は神敵=双龍神に従わぬ異教徒の抹殺と、足並みが揃わぬ国の強制統治。そのために己が唯一生存しているアマツタツヒコと合一し、絶対神として君臨することという神への愛が行きすぎた野望を抱いていた。そのため高天原への道を作るため、唯一その道を知るダイヂタツヒメの核が眠るとされる神櫃を浮上させるべく、その場所を探っていた。

 ちなみに神櫃は龍脈回廊の収束地にあり、それを知らなかった蝕たちはまず遺跡や遺物、そのありかを探っていた。美鶴は表向きには遺跡発掘に熱心な歴史の研究家の側面をもっていた。

 美鶴がここまで双龍神に執心するのは幼い頃に目を患い失明、その結果、一度だけ神の残滓と呼ばれる特異な夢を見たことが原因。アマツタツヒコの気まぐれか、当時の美鶴の純粋な信仰ゆえかアマツタツヒコの姿を拝謁したことがきっかけで恋心ににた感情を抱き、身に余る愛ゆえに徐々に暴走していった。なお、その夢を見ていらい目が回復している。



:国家評議会

 選出された華族たちと神皇、元老院が運営する政治の最高機関。現在はそこに一般人議員も参入しているが、その議会の発言力は未だ小さい。ほぼ元老院の独擅場であるのは、周知である。



:月光工房組合

 月川以蔵という一般家庭出身の鍛治師が組合長を務める鍛冶工房組合のこと。国内では最大手。



:衛兵隊/自警団/市警隊

 各地の都市や村などが持つ治安維持組織。主に都市内部の犯罪の取り締まりなどを行うほか、攻めてきたりする幻獣や山賊から防衛のため戦うこともある。



:猟胞団

 一定規模のコミュニティに存在するハンターの団体。いわゆるギルド。

 幻獣退治や山賊退治などの荒事を担当する民営組織(黙認)。王国評議会は猟胞団を疎ましく思いながらも存在しなければ国が立ち行かないため存在を認めている。



:龍脈

 地下に巡らされている力場の脈。ダイヂタツヒメの力でそのエネルギーを龍脈炭という形で地表に露出させた。

 神話的背景に準え完全生物の龍から名を取って龍脈と呼ばれているが、実際に龍脈回廊と呼ばれる最下層の龍脈エリアの最奥部にはダイヂタツヒメの亡骸が琥珀となった神櫃があった。



:擬竜

 龍脈に人為的に干渉する手段として計画されていたもの。その目的は龍脈をいじって龍脈資源を効率よく採掘するためのものだった。内乱以前から研究され、当時秘密裏に組織されていた征琉団が主導で研究を行っていた。

 三〇年前に研究中プロトタイプを何人かの卵子に投入したが、その後神皇直属の武士隊に捜索に入られた。その際研究成果である『龍の子供達』は各地に逃がされた。そのうちの一人が主人公。

 その後美鶴が計画を引き継ぎ、アマツタツヒコへの干渉手段として研究を再開した。



:龍戦鎧

 龍気機関を搭載した戦闘甲冑のこと。いわゆるパワードスーツ。

 装甲による耐久力上昇に加え、竜気が幕を張ってさらに防御効果をあげているほか、身体能力も上昇させている。

 最大の特徴は『龍技』とも呼ばれる機能。いわゆる超常現象的なパワーを得られる機能。



:龍脈炭

 龍脈上に発生する龍気を孕んだ炭。龍気を効率的に得られる炭であり、石炭や木炭と違い環境汚染物質を吐き出さないクリーンなエネルギー源。現代の金脈であり、富の証とも言えるもの。

 龍戦鎧などに搭載される龍気機関などを動かす動力源となる龍脈液炭(液体龍脈炭)の大元でもある。

 龍脈炭を一旦ドロドロに溶かし、高密度なエネルギー媒体に変えたものを龍脈液炭と呼ぶ。



:穢物

 穢物と呼ばれる異形がいる。それは穢れに落ちた生物の総称であり、言ってしまえば様々な生物が吐き出す負の感情による澱んだものであり、それを浴び続け発散できない者は徐々に壊れ、堕ちてしまう。

 穢物となったものは救うことは不可能で、早急な祓葬をして存在自体を祓って被害を防ぐのが先決である。

 穢物となるのは人間だけでなく動物もまた然りである。

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