陸自旭川駐屯地でも「靖国派」部外講師が講話
旧日本軍による侵略戦争を否定し航空幕僚長を解任された田母神氏が新聞・TVを賑わせています。今日11月11日には国会での参考人質問もあったようで、改めて開き直ったとか。その内容には言及するつもりはありませんが、11月10日防衛事務次官の記者会見では、空自第6航空団司令が指示し組織的に「アパホテルグループ」の「真の近現代史」懸賞論文に応募していたことが明らかになりました。「どう書くかは自由」とはいえ、尉官以上の幹部全員が書く論文。むしろ「どう書くか」が人事考課に直結するとなれば事は重大です。団のある空自小松基地と蜜月関係が続く「アパ」グループ社長の言質には、目を触れざるを得ないでしょう。それが何を意味するか。関係者のみぞ知る、ということでしょうか。
このような部隊ぐるみでの靖国派との蜜月関係は残念ながら決して珍しいことではないようです。以下2例をご紹介。
「赤旗」紙によれば、2佐以上の高級幹部が入校する自衛隊統合幕僚学校(東京都目黒区)で、田母神氏が校長在任中に新設した「国家観・歴史観」という講義で2006年4月に、「新しい歴史教科書をつくる会」の福地惇副会長(当時は理事)が「昭和の戦争について」と題し「満州事変・満州建国は日本の侵略ではない」と田母神氏が懸賞論文で主張した内容とほぼ同様の主張を盛り込んだ講義を行っていたことが明らかになりました。同紙のスクープです。
ここまで講話内容は明らかになっていませんが、同様のケースは陸自旭川駐屯地でも確認されています。陸自第2師団の準広報紙「北鎮」(月1回発行、発行所は「防衛弘済会北海道支部」)2007年8月号では次のような記事があります。2007年7月27日、「北鎮部隊の歴史に学ぶ」と題して「師団長以下全隊員」が「戦史を含む貴重な講話」を聞いたというのですが、この講師が「日本会議・上川」幹事長で、「誇りある歴史教科書を考える父母の会」代表、比布神社宮司の鎌田告人氏。第2師団司令部後援組織「北友会」の会員でもあるといいます。
鎌田氏は2004年2月、イラクに派兵される第一次イラク復興支援群の主力116名が旭川駐屯地を出発する際、「見送り」のため2000本の「日の丸小旗」の配布を師団に申し入れ、これが師団により受け入れられた経緯があります。鎌田氏は朝日新聞の取材に対し「国家の代表を応援するのはサッカーW杯と同じ。日の丸は目で見て、肌で感じられる日本の象徴。市民に強制はできないが、日の丸で見送るのは当然です」と主張するも、一方現場の自衛官には複雑な思いがあるようで、30代の自衛官は「毎朝掲げているので、日の丸は身近な存在。でも見送りで一斉に使われると…」と困惑顔だとか。
http://www2.asahi.com/special/jieitai/TKY200402200319.html
鎌田氏と「新しい歴史教科書をつくる会」との直接の関わりを示す資料は見つけられていませんが、氏が幹事長を務める「日本会議・上川」の上部団体「日本会議」は「…つくる会」の発端となった改憲団体。以下の諸点からも鎌田氏の主張と「…つくる会」の主張は同じ方向性であると推測できます。
(1) 「日本会議・上川」会長と「…つくる会・道北支部」支部長をともに田下昌明氏(豊岡中央病院理事長)が務めていること
(2) 鎌田氏が代表を務める「誇りある歴史教科書を考える父母の会」が各地で「…つくる会」の名前隠しのための偽装市民組織として立ち上げられている「○○の教育を考える父母の会」と酷似した名称であり、鎌田代表の「…父母の会」もその一翼を担っていると類推できること
(3) 鎌田代表の「…父母の会」は「…つくる会」が1999年に全国で35万部ばら撒き、いまやブック・オフでも100円の値しかつかない分厚い本『国民の歴史』を管内小・中・高校に送付していること
もちろん鎌田氏がどのような信念をもたれ、どのような主張をされるかは氏の自由であり、日本国憲法に基づき保障されている権利です。
しかしながら、雑誌等でも拝見する限り独特なその主張を含む「歴史観」に基づく講話を「旭川駐屯地」の「全隊員」に行う、というのはいかがなものでしょうか?ここで問われている責任は自衛隊サイドの責任です。部外講師として招聘した責任者は誰なのでしょうか?政治的に中立であるべき公務員が、そして憲法擁護義務を負う公務員が、改憲団体の地方組織実務責任者に歴史を聞くと言う構図はおかしいと言わざるを得ないのです。
第2師団はこの機会に、鎌田氏の行った講話全体像を進んで明らかにするべきではありませんか?問いかけとしたいと思います。
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