行政書士の受験資格とは?試験内容・行政書士資格のキホンQ&A
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「行政書士試験に興味があるけど、学歴がないから受験できないかもしれない」
「挑戦したいけど、そもそも受験資格があるのかどうかわからない」
行政書士を目指したいと思っている人の中には、行政書士試験の受験資格について気になっている人もいるのではないでしょうか。
行政書士試験は誰でも受験できる試験です。しかし、行政書士登録には年齢制限があるなど、知っておきたいポイントはいくつかあります。
当コラムでは、行政書士試験の受験資格について解説します。試験合格以外に行政書士になるルートや、行政書士資格に関するよくある質問も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次 [表示]
行政書士の受験資格とは
行政書士試験には受験資格がありません。
年齢・学歴・国籍などを問わず、誰でも受験が可能です。
ちなみに、同じ士業である社会保険労務士は学歴、実務経験、試験合格のいずれかの条件を満たしていないと受験資格を得られません。
また、司法書士は行政書士と同じく受験資格こそ定められていませんが、合格率が5%程度と、非常に合格へのハードルが高い試験です。
関連コラム:司法書士と行政書士の違いを解説!仕事&試験の難易度・ダブルライセンスのメリットとは
これらの試験と比べると、行政書士試験は取り組みやすく、誰にでも合格のチャンスがあるところが魅力であるといえるでしょう。
なお、令和4年度に行われた行政書士試験の最年長・最年少合格者の年齢は以下のとおりです。
- 最年長合格者:78歳
- 最年少合格者:15歳
出典:令和4年度行政書士試験結果TOPICS 一般財団法人 行政書士試験研究センター
例えば小学生であっても100歳であっても申し込めば受験でき、合格すれば行政書士の資格を取得できるのです。
「行政書士登録」は年齢制限あり
前述のとおり、行政書士試験には受験資格がないため、何歳であっても挑戦できます。
しかし「行政書士登録」には年齢制限があり、未成年者は登録できません。
行政書士登録とは、行政書士として行政書士会に登録することです。
行政書士登録してはじめて行政書士を名乗れるのです。
未成年者は、成人するのを待ってから行政書士登録を行う必要があります。
行政書士会に登録する際の流れは以下のとおりです。
- 開業予定地の都道府県行政書士会に申請
- 日本行政書士会連合会で審査
- 登録
行政書士登録には入会金がかかります。
金額は都道府県によって異なり、10万円のところや25万円のところなどさまざまです。
ほかにも登録手数料や登録免許税、会費などを支払う必要があるため、登録時にはまとまった資金が必要です。
実際にいくらかかるかは、開業を検討している都道府県の行政書士会に確認しましょう。
関連コラム:行政書士登録しないとどうなる?合格後半数以上が登録しない理由
行政書士試験合格以外で行政書士になるルート
試験に合格して行政書士になるルートがもっとも一般的ですが、それ以外にも行政書士になるルートはあります。
試験合格以外で行政書士になる条件は以下のとおりです。
- 公務員として行政事務を一定年数経験する
- 弁護士や弁理士、公認会計士、税理士資格を取得する
公務員を経験するルートでは、行政事務を行った期間が通算17年以上(高卒の場合は20年以上)必要です。
また、上記のうちいずれかの資格を取得すると、受験せずとも行政書士資格を得られます。
ただし、他資格を取得して行政書士になるルートは、行政書士試験に合格するよりも厳しい道のりです。
なぜなら、どの資格も行政書士試験より難易度が高いといわれており、実際に合格率も低いためです。
そのため、行政書士資格を取得するためだけに、他資格試験を受験するのはおすすめしません。
地道に勉強し、通常の方法で行政書士を目指したほうがよいでしょう。
関連コラム:行政書士になるには?【受験資格なし】資格取得の3つの方法と最短の道を解説
行政書士資格所持が受験資格や試験免除になることも
行政書士資格を所持していると、ほかの資格試験の受験資格や試験免除の要件になることがあります。
たとえば、社会保険労務士試験を受験するには学歴や実務経験が必要ですが、行政書士資格を所持していれば受験資格をクリアできます。
参考:受験資格について | 社会保険労務士試験オフィシャルサイト
また、弁理士試験でも、行政書士資格があれば試験科目のひとつである「選択科目」の免除が可能です。
行政書士資格を取得することで、ダブルライセンスへのチャンスが広がります。
行政書士資格のQ&A
ここでは、行政書士試験に関するよくある質問を紹介します。
Q.行政書士試験とはどんな試験なの?
A.行政書士試験は筆記によって行われます。
試験科目には大きく分けて「法令科目」と「一般知識」の2つの分野があり、その中でもさらにいくつかの科目があります。
科目 |
出題形式 |
配点 |
|||
5肢択一式 (1問4点) |
多肢選択式 (1問8点) |
記述式 (1問20点) |
|||
法令科目 (46問) |
憲法 |
5問 |
1問 |
244点 |
|
行政法 |
19問 |
2問 |
1問 |
||
民法 |
9問 |
2問 |
|||
商法・会社法 |
5問 |
||||
基礎法学 |
2問 |
||||
一般知識 (14問) |
政治・経済・社会 |
7問 |
56点 |
||
情報通信・個人情報保護法 |
4問 |
||||
文章理解 |
3問 |
||||
合計(60問) |
216点 |
24点 |
60点 |
300点 |
法令科目とは、憲法、行政法、民法、商法・会社法、基礎法学の5科目のことです。
このうち行政法と民法はとくに出題が多く、合格のためには攻略が欠かせません。
一方、一般知識とは政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護法、文章理解の3つの分野を指します。
一般知識を苦手としている受験生は多く、一般知識で得点できないためになかなか合格できない人もいます。
出題形式は以下の3種類です。
- 5肢択一式:5つの選択肢の中から正解を1つ選ぶ形式の問題
- 多肢選択式:20個の語群の中から正解を4つ選ぶ形式の問題
- 記述式:40字程度で記述して解答する形式の問題
行政書士試験で出題される60問のうち、54問は5肢択一式の問題です。
はじめは、5肢択一式を重点的に学習することになるでしょう。
記述式は、ぜひ得意にしたい出題形式です。
3問のみの出題ですが、配点が1問20点と大きなウェイトを占めており、合否に大きく関わる可能性が高いためです。
合格するためには、重要度の高い科目や出題形式を押さえつつ、全体的に得点できるようになっておく必要があるでしょう。
関連コラム:行政書士の試験内容とは?試験科目・出題形式・科目別対策法を徹底解説!
Q.行政書士試験の合格基準は?
A.合格するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 法令科目の得点が122点以上
- 一般知識の得点が24点以上
- 試験全体の得点が180点以上
行政書士試験は300点満点です。
そのうち180点以上得点できれば合格です。
「全体の60%正解できれば合格できる」と考えると、そう難しくないようにも思えます。
しかし、注意しなければならないのは上記の条件のうち1と2です。
法令科目、一般知識それぞれに基準が設けられているため、試験全体の得点が180点に到達していても、法令科目、一般知識のどちらかが基準に満たないと不合格になってしまうのです。
例えば、一般知識で20点しか取れなければ、法令科目の出来がどれだけよくても合格できません。
3つの合格基準をクリアするため、できるだけ苦手を作らないように学習しましょう。
関連コラム:行政書士試験の合格点(合格基準)とは?必要な点数について解説
Q.行政書士試験は難しい?
A.行政書士試験は決して簡単な試験ではありません。
しかし、だからといって司法試験などのように、一握りの人しか合格できない試験ではありません。
過去5年間の合格率は以下のとおりです。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
令和5年度 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
令和4年度 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
令和3年度 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
令和2年度 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
令和元年度 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
合格率が10%前後と聞くと、狭き門に思えるかもしれません。
しかし、行政書士試験は誰でも受験できる試験です。
そのため、受験する人がすべて本気で学習した人とはかぎらず、中には何も対策もせずに受験する人や、記念受験の人なども一定数います。
数字に惑わされず、ぜひ挑戦してみてください。
たしかに行政書士試験は難しい試験ですが、きちんと対策をすれば誰でも合格を目指せる試験なのです。
Q.行政書士になるには何年かかる?
A.行政書士になるまでにかかる年数は、「どれだけ勉強に時間を割けるか」によって変わります。
行政書士試験に合格するためには、600〜1,000時間の勉強時間が必要です。
そのため理論上は、1日に2〜3時間勉強できる人であれば1年で合格レベルに到達できます。
- 1日×2時間×1年間=730時間
- 1日×3時間×1年間=1,095時間
なお、行政書士になるには試験合格以外にも手段がありますが、最短ルートは行政書士試験合格です。
例えば1章で紹介したような、公務員を一定年数経験して行政書士資格を得るルートでは、最長20年かかってしまうためです。
また、他資格を取得するルートも、行政書士試験よりも勉強時間を多く必要とすることから、膨大な時間がかかる可能性が高いでしょう。
行政書士は、行政書士試験を受験するルートで目指すことをおすすめします。
関連コラム:行政書士試験合格に必要な勉強時間はどれくらい?1日あたりの勉強時間&必要な期間とは
Q.行政書士はどんな人が向いているの?
A.行政書士には、以下のような人が向いています。
- 人と関わることが好きな人
- 人の話を聞くことが好きな人
- 人のためになる仕事がしたいと思っている人
- 事務処理能力の高い人
- 行動力のある人
- 責任感が強い人
行政書士は依頼者をはじめ、市区町村役場の各課の担当者や自治会長など、さまざまな人と関わる機会の多い職業です。
人と関わることが好きな人には向いているといえるでしょう。
また、どのような依頼も、相談やヒアリングから始まります。
中には、深刻な悩みを抱えて相談に来る人もいます。
人の話を聞くことが好きな人や、人のためになる仕事がしたいと思っている人は適任でしょう。
そのほか、事務処理能力の高さや行動力、責任感があるかどうかなども行政書士として仕事をしていくうえで重要な要素です。
責任の重い仕事が多いため、とくに責任感が強い人には向いているのではないでしょうか。
Q.行政書士は儲かる?
A.厚生労働省の調査では、行政書士の平均年収が約580万円であるとのデータが出ています。
しかし行政書士の収入は個人差が大きく、働き方や年数などによっても異なります。
年収200万円以下の人もいれば1,000万円以上稼いでいる人もいるため、一概に儲かるとも儲からないともいえません。
行政書士として稼いでいくためには、独立前に準備をしたり積極的に営業をかけたりといった地道な努力や人脈づくりが必要でしょう。
関連コラム:行政書士の年収とは?平均年収&業務別報酬額の例を紹介
まとめ
行政書士試験の受験資格について解説しました。
最後に、このコラムの要点をまとめます。
このコラムのまとめ
- 行政書士試験には受験資格がなく、年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できる
- 行政書士登録には年齢制限があり、未成年者は登録できない
- 行政書士試験を合格する以外にも行政書士資格を取得するルートはあるが、試験合格が最短ルートである
- 行政書士資格が、ほかの資格試験の受験資格や試験免除になることもある
- 行政書士試験は簡単ではないが、勉強すれば誰でも合格できる試験でもある
行政書士は誰でもチャレンジできる資格です。
また、勉強はいつから始めても遅くはありません。
少しでも興味があるのなら、受験を検討してみてはいかがでしょうか。