日本知らずの黄文雄の日本論
黄文雄という台湾人の拓殖大学教員が、「中国が嫌われる7つの理由」という文章で、「日本人は「死ねば神」「死者悉皆成仏」といって、死後にまで生前の利害や怨恨を問わない心を持っている」と書いている。
「死ねば仏」というのは聞くことがあるが、「死ねば神」「死者悉皆成仏」などという言葉は聞いたことがない。
「生き神」「生き霊」信仰もあり、戦前に天皇を現人神とした。
天神様などの怨霊話、たたり神の話もあるし、『東海道四谷怪談』などもある。
差別戒名で、死後も差別した。
死者の利害や怨恨を一族郎党に負わせることもあった。
戊辰戦争では、薩長などの官軍は、会津での戦勝後、しばらく、会津兵の死体に触れることを禁止し、弔わせなかった。
仏教では、「一切衆生、悉有仏性」(道元『正法眼蔵』)である。
曹洞宗や日蓮宗では、「成仏」は、生きているうちに可能としている。
黄氏は、日本の文化や精神や思想や死生観について、深い理解がないことを上の言葉で示している。
同文書では、帝国主義植民地化の先兵を務めてきた宣教師の中国観などを批判的に検証するでもなく、肯定的に引用したりして、彼が文化だの国民性だのについて、きちんとした深い理解を持っていないことを露わにしている。
その程度の人が言っていることだということを念頭に置いておけば、彼のエキセントリックな物言いに惑わされることはないだろう。
| 固定リンク
「雑文」カテゴリの記事
- 都知事選と階級問題(2014.01.12)
- 階級社会について(2014.01.06)
- ブントにあらずば人にあらず?(2013.12.25)
- 都市の主体者とは(2013.12.05)
- インドと近代化(2013.04.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
やはり、黄文雄は学者ではなく、台湾独立派のプロパガンデストに過ぎなかったのですね。
こんな似非学者に振り回されている嫌韓と言う連中。
笑ってしまいます。
投稿: dazaiyukio | 2006年6月12日 (月) 01時37分
それにしても台湾独立派と韓国の盧武絃を支持する様なリベラル派って本来思想的な立場が似通っているはずなのに、どういう訳で日本の馬鹿右翼を喜ばすような言説が目立ってしまうのですかね?これって思想的な問題というより政治学的な問題なのか??
投稿: 杉山真大 | 2006年6月12日 (月) 22時46分
その領域の専門ではない方が、知ったかぶりして扇動するのには参りますね。
まあ、かえって免疫がつくのかもしれませんが。。。
>韓国の盧武絃を支持する様なリベラル派
今は誰かに「支持」されてると言うよりも、もはや反日発言の瞬間的な人気頼みでしょう。ナショナリズムに縋るしか道のなくなった政治家って本当に哀れ。というかあまりにお粗末。
>馬鹿右翼
ああいう手合いは群れて遊んでいるだけで、保守でもなんでもないのではないかと。ただのチンピラゴロツキです。
投稿: hor | 2006年6月16日 (金) 10時33分
ただ、
>日本の文化や精神や思想や死生観について
これは日本人でも皆が共通認識を持っているかと言えば怪しい。逆に、誰かの著作などから影響を受けて合成されると言うこともあるでしょう。(「武士道」のように)
日本人は(自分自身でも)無宗教だと言うことがよくありますが、実際は仏教のみならず神道や儒教、道教の影響も受けていますし、外国人にとっては難しいでしょうね。
中国に対する牽制、と言った視点を抜きにしてはならないですね。台湾に関しては…
投稿: hor | 2006年6月16日 (金) 11時09分
黄文雄氏の本は如何わしさが漂うのでまともに手に取って読んだことがありませんが、私は中国に留学していたことがあって、そこで体験した中国人の死生観の厳しさに比べると、確かに何も知らない人間が見たら日本のそれは非常に死者を尊ぶようなものに見えるかなと思います。
>天神様の怨霊
と、戊辰戦争や四谷怪談の世界における死体損壊は同じ次元の話ではありませんよ。天神様の怨霊などは、死者を神として崇めるが故に恨みを呑んで死んだ人間の死後に天変地異が起きると怨霊のせいと恐れるのであって、死者を悪霊として冒涜するものではないでしょう。それから差別戒名は江戸時代に支配層が檀家制で庶民を抑圧し身分制を定着させるための政策の一つでしかなくて、正法眼蔵などの宗教観とは異なるんじゃないですか。江戸時代の国家宗教=儒教に基づく身分制度や宗教政治的束縛があまりに厳しく矛盾だらけだったために、幕末の水戸学から派生した廃仏毀釈と国家神道の復興が明治になると過熱し、それが戦時中の靖国信仰にまで結びついていくというのが、最近では定説になっていますが。
まあ、たぶんご存知のことを論っても空しいだけですが、ちょっと気になったので。
投稿: BM | 2006年7月 2日 (日) 05時08分
黄文雄はただの馬鹿ですs
投稿: ds | 2008年6月 2日 (月) 00時14分
黄文雄さんの著作は全て、最初から最後までお読みになられたのでしょうか。
この記事に書かれていることは、黄文雄さんが長年主張していることの要点ではありません。
誤りを正すのはよいことでしょうが、大東亜戦争や日本統治に関する彼の主張を明確に批評しないのはいかがなものでしょうか。
さて、私は右でも左でもありませんが、北方領土のロシアによる不法占拠問題に関して、相互譲渡などというあなたの主張には笑いました。
あなたの主張が論理的に正しいかどうかよりも、あなたの言う通りにしたら何が起きるかを、まず考えるべきではないでしょうか。
あなたと同じ思想の人ばかりになれば、日本は滅びますよ。
投稿: 左から真ん中は右に見える | 2011年2月 4日 (金) 02時23分
一つ言うべきことがあるならば、日本の宗教は多神教であり、それが持つ特性として様々な宗教を取り入れ新しい方向性へ向かうという特徴があります。
ある考えがあれば、ある考えもある。
つまり、見方によって様々な解釈が可能な部分があります。
また、あなたはろくにその人を知らない癖に非難している節があり、一つの事例を取り上げて人を見下す態度は甚だおかしいものだ。
あなたの発言はそのまま、あなたに送りましょう。
厚顔無恥なあなたにね。
投稿: かかか | 2011年8月13日 (土) 19時48分
フ-ン(´_ゝ`)
投稿: 工作員乙 | 2011年8月28日 (日) 17時18分
日本の古代社会は、自然との共生が非常に大きな問題であり、古代人は自然の驚異と不思議に対し敬意を込めて「すべての自然物は神であり、自然現象は神の行為である」と考えていました。古代人にとっては、自然が神であり、土や水に戻って行った死者(先祖)もまた神でした。つまり、天皇を含めて人はすべて神の子孫。。。それが神道の根っこ。ですから、黄氏が言うように、日本では「死んだら神になる」と考えられていたというのは正しいのです。
投稿: ちひろ | 2012年10月28日 (日) 18時31分
日本知らずはアンタの方だろ。
>「死ねば神」「死者悉皆成仏」などという言葉は聞いたことがない。
ふつうに聞くっちゅうねん。結論ありきで語んなよ。
黄文雄がエキセントリックなのは著書みりゃ一目瞭然だが、
百歩譲ってもアンタより正常な感覚もってると思うわ。
ていうか、外国人に向かって「日本知らず」って勝ち誇ったようにいう感性を疑う。
がんばって本で知識をつけても何も身にならないタイプですな。頭のいいバカ。
投稿: お前の方が | 2013年1月 8日 (火) 06時33分
少なくとも彼はお前よりは日本側に誠実だろうよ
投稿: | 2013年1月17日 (木) 18時04分
私は嫌韓でも無いしその台湾人の方も著書も存じませんが、このブログで言う日本人の死生観はあまりにも偏っているとしか言いようが無いですね。多様性を無視して特殊なケースを持ち出すあたり。しかもコメントの中には同調する声も・・・。こういうのは自分で書くのか、民族的に当事者の方が書くのか分かりませんが。
投稿: | 2013年2月 6日 (水) 10時04分
諸外国の偏狭なナショナリストならまだしも、どうして日本国内からかような偏見と無知を晒す蒙昧な愚民がいで来るのでしょうか。
甚だ悲嘆にくれるばかりです。
日本人というものは元来、論証や根拠より先に妄信している結論があって、それに当てはめるようにそこかしこから情報の断片を無理やり切り貼りしているだけに過ぎないのですね。これでは学術研究やまともな批評を下せというほうが無茶な話です。
誠に恥ずかしい人たちだなあ…
投稿: | 2013年3月15日 (金) 04時34分
最初の方の書き込みは、プログの提灯記事ですね。後の方が一般的な考えだと思います。日本人は優しい、海外へ行けば判る。
投稿: kmaru56 | 2013年3月18日 (月) 11時04分